フレンチシェフが作るこだわりのサンドイッチ専門店「saint de gourmand」
萌え断のフルーツサンドからガッツリ食べたいカツサンド、果てはバインミーといったアジアンサンドまで。サンドイッチのバリエーションは無限大。そんなサンドイッチの新しい魅力を発見できる店がスカイツリーに程近い、押上にオープンした。フレンチサンドイッチ専門店「saint de gourmand(サン ド グルマン)」だ。
店があるのは、スカイツリー下を流れる北十間川を挟んだ対岸、1本路地を入ったところ。観光スポットの喧噪を離れ、隠れ家カフェのような趣がある。
グレーをベースにした空間はシンプルでモダンな印象。壁に飾られたモネのスイレンをアレンジしたアートがカラフルだ。イートインのためにテーブル席が12席用意されており、できたてのサンドイッチをじっくり楽しめる。
ミシュラン星付きレストランで活躍した実力派シェフ
オーナーシェフの星 阿騎野さんは店舗からほど近い浅草育ち。昔から馴染んでいた洋食をやりたいと思い、バイト先のシェフから洋食の基礎はフランス料理とのアドバイスもあって、フランス料理の世界へと足を踏み入れた。渋谷のビストロを皮切りに、オーストラリアの五つ星ホテルで経験を積み、六本木にあるモダンフレンチの名店「Jean-Georges Tokyo(ジャンジョルジュトウキョウ)」に入店。その後、「ミシュランガイド東京2022」で二つ星を獲得している、銀座のグランメゾン「エスキス」に入り、キャリアを重ねてきた。
本格的なフランス料理のシェフとしてのキャリアも十分な星シェフだが、実は以前からサンドイッチ専門店を考えていたと言う。
「フランス料理と言えば、レストランに行かないと食べられないというイメージがあります。サンドイッチという身近な食べ物でフレンチのおいしさを楽しんでもらえればと考えました」と語る星シェフ。さっそく、シェフが作るサンドイッチの魅力を紹介しよう。
ボリューム満点の肉肉しいパテ・ド・カンパーニュ
メニューはスイーツ系も合わせて13種類ほど。挟む具材は「自家製ハムチーズ」といった本場フランスの定番から、レストラン時代に“これを挟んだらおいしいだろうな”とシェフが考えたオリジナルなものまで。いずれもこれまで学んできたフランス料理の技を生かしたものばかりだ。
パンはバゲットやカンパーニュ、天然酵母種のハード系パンなどを挟む具材に合わせて使い分けている。サンドイッチはパンもおいしくなければと、シェフ自身で何軒も回って、那須高原に本店がある名ベーカリーのものを選んだ。小麦の力強い風味が感じられるパンは、本格総菜をしっかり引き立てている。
一番人気は「パテ・ド・カンパーニュ」。パテは、シェフが修業時代に食べて感動したというレシピをベースにしており、豚のレバーが入り、コクのある味わいとしっとりした食感が魅力だ。パンにはパテと鉄板の組み合わせのバゲットを使用。
運ばれてきたサンドイッチを見て、そのボリュームにまず驚いた。分厚くカットされたパテがこぼれんばかりに挟まれている。ガブリと頬張れば、パリパリと香ばしいバゲットのクラスト(表皮)としっとり滑らかな食感のパテとのコントラストがたまらない。パテの塩味とスパイスのバランスも良く、突出することなく豚肉の旨みを引き出し、肉肉しいパテになっている。