【第3週のカレーとスパイス】カレーの名店スポットとして知られる神楽坂の路地裏で、新たなインド料理店を発見!「IndeesCurry」(インディーズカリー)

東京・神楽坂。路地裏などに隠れ家的なおいしいお店が多く存在し、探索しがいのある街です。カレーの名店も点在するのですが、神楽坂を上りきる途中にある、名店が多いエリアの路地裏で、新しくできたインド料理のお店を発見しました。その名は「IndeesCurry」。

IndiesではなくIndeesであるところに遊び心を感じますが、インド料理のお店です。雑居ビルの1階奥に位置するのですが、扉を開けるとインド料理店らしからぬ西洋風のビストロのような雰囲気。

メニューを見るとカレー、ビリヤニ、そして前菜おつまみ系の中に面白いものもあります。

「冷製ジャルフレッジ」

例えば「冷製ジャルフレッジ」550円。ジャルフレッジと言えばインド料理で野菜の炒め煮的な料理のこと。それを冷製にしたことにより、ラタトゥイユやカポナータのような雰囲気となり、良い前菜です。

「カリフラワーブジア」

「カリフラワーブジア」530円はカリフラワー、ジャガイモ、オクラをスパイスで炒め煮したもの。シンプルでありながら満足感を得られる料理です。インド料理店では野菜料理のレベルが高いお店ほどシェフの腕が良いと言われていますが、こちらのシェフの腕もまさに腕利きだと言えましょう。

「ビリヤニ」

「ビリヤニ」1,580円はインドのスパイス炊き込みご飯。ライタ(ヨーグルトサラダ)、アチャール(スパイス漬物)、そしてコルマカレーもカトゥーリという小皿でついてきたのですが、このコルマがとてもおいしい。コルマとは本来乳製品を使用したマイルドなインドカレーを指すのですが、こちらのコルマは玉ねぎをしっかりと炒めて出てくる甘みが味の根幹となっている濃厚なカレーです。

ジャルフレッジ、ブジア、コルマときて「おや?」と気づいた方もいるかもしれません。老舗の名店「デリー」のジャルフレッジやブジアやコルマとかなり近いのです。聞いてみるとシェフはまさにデリーで働いていた方だそうで、だからこそこのおいしさなのかと納得。

「カレーナンパン」

とは言えデリーの料理そのままではありません。「カレーナンパン」600円という見慣れぬものがあったのでこちらを頼んでみると、ナンにキーマカレーとチーズを挟んで焼いたものであり、誰もが好きであろう、味のわかりやすいおいしさ。

トータルで見ると名店レベルのおいしさの料理やオリジナルの創作料理がビストロのような雰囲気で楽しめる隠れ家的なお店だということ。まだカレーマニアの間でもほとんど知られていないお店です。

実はこちら、淡路町の「Salamanca Bar&Restaurant」というスペイン料理店の姉妹店なんだそうです。そちらのお店でもランチ限定でカレーが出ることもあるんだとか。どちらのお店も新しいお店ですが、さらにまた違うジャンルの料理店を準備中とのことです。そこでもまた違うアプローチのカレーが出ると楽しいですね。

最初に書いたようにこちらのお店は、すぐ近くにインド料理の名店「想いの木」と、創作スパイス料理とカレーの名店「Tapir」がある場所。どちらもファンが多く、予約がないと入れないこともありますが、そんな時にはこちらIndees Curryを覚えておけばちゃんとカレー欲を満たしてくれますし、デリー系の料理が好きな方なら、ここ目当てで行っても損はしませんよ。

【第4週のカレーとスパイス】カレー目指して長野旅行もアリかも! 下北沢のカレーの名店が長野に移転オープン「カレーショップ」

すっかりカレーの街として知られるようになった下北沢エリアにおいて、ネオスタンダードカレーを標榜し、見た目はシンプルなカレーライスに加えて様々な箸休めが添えられるという形でマニアに支持されていた知る人ぞ知る名店「カレーショップ」が長野県松本市に移転したのをご存じでしょうか?

実は僕も知らなかったのですが、松本の方から「最近東京から来た人がカレーのお店始めたんですがとてもおいしいですよ!」という情報を得たのです。しかしその時点では東京のどのお店かも定かではなく、どこにも詳細が出ておりませんでした。そのため、教えてもらった住所だけを頼りに行ってきました。

たどりついてみると「CURRY SHOP」の小さな看板が店頭に。これってもしかしてあのカレーショップ?と興奮しながら店内に入ってみれば、シンプルながら細部や調度品にこだわりを感じる店内。マスターのお顔を見て確信。やはりあのカレーショップです。何とうれしい再会!

カレーの種類は6種類。それぞれ単体で完成された味なのであいがけはしないスタイルです。「ビーフ」1,500円をメインに、サイドメニューの「チキンピクルス」500円と「卵のアチャール」150円もいただきました。

「ビーフカレー」

セミドライで牛肉がゴロゴロと存在感あるグレイビー。見るからにおいしそう。たくさんありすぎて箸休めにならない箸休めは、それぞれ小瓶に入っているのを取り出すスタイルに変化していました。

写真左から「チキンピクルス」「卵のアチャール」

まずビーフカレーを。ほろ苦さのあるカレー。ブラックペッパーが利いていて全体の味を程良く引き締めています。肉のうま味を引き立たせるスパイス感。基本的にはインドカレーの手法でありながら、欧風的な雰囲気も感じる個性あるスタイルであり、おいしい。

豊富な箸休め

途中から様々な箸休めを加えると見た目的にも華やかになり、味的にも爽やかな酸味や刺激的な辛味が加わって味の輪郭がはっきりし、おいしさも満足感も跳ね上がります。

カレーに箸休めを添えて味変

チキンピクルスも卵のアチャールもカレーの付け合わせとしても良いのですが、これをつまみにお酒を飲みたくなるような味。実はこちらのお店、カレーショップとしては昼のみ、夜は「tacos&mezcal bar『ixcalli』」としてメキシコ料理とインド料理をつまみにメスカル(メキシコ産の蒸留酒)を飲めるお店に変わるのだそう。しかも予約限定で南インドのミールスまであるというのだから気になりすぎます! また松本へ行く理由ができました。

マスターは多くを語らない方であり、こちらのお店もどうやら意図的に自分からは情報を出さないようにしているそうです。だからこそどこを探しても情報が無かったのでしょう。ならばこの記事も出さない方が良いのではと思われるかもしれませんが、メニューに「写真撮影SNSへの投稿はご自由に」とありますし、記事にしたい旨を伝えて許可を得ています。つまりマスターは気難しいわけではなく己の美学を貫くタイプなのでしょう。近しい方から聞いた情報によると、インド料理や欧風カレーなど様々なカレーを作ってきた経験があり、だからこそ気軽に作れるスパイスカレーではなく、手間暇かけまくって単品で満足できるカレーライスを作っているとのこと。それがこのカレーであり、数多くある箸休めとして形になっているのでしょう。6種類あるカレーもそれぞれベースから違うので通って食べ比べつつ、自分の好みを探すのも楽しいでしょう。

東京のカレー激戦区下北沢エリアでも異彩を放ち、抜きん出たおいしさだったお店が長野県は松本で味わえるというのは、長野の方にとっては朗報です。余談ですが、下北沢名物で大人気だったカレーパンの「アンゼリカ」も松本に移転したので、はしごするのもおすすめ。下北カレーを愛する方にとっては下北の名店が2店舗も松本に移転したとなれば、それを楽しむ為に行くのも良いでしょう。

松本、とても良いところですよ。そしてカレーショップ、とても良いお店なのです。

※価格はすべて税込です。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/