〈食べログ3.5以下のうまい店〉

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー！

食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。 今回は、食べロググルメ著名人の山本憲資さんが「丁寧な味付けながら、カジュアルで軽妙なフランス感に溢れている」と言うフランス料理店をご紹介。

教えてくれる人

山本憲資

Sumally Founder&CEO。1981年生まれ。大学卒業後、広告代理店を経て雑誌『GQ JAPAN』の編集者に。テック系からライフスタイル、ファッションまで幅広いジャンルの企画を担当。コンデナストを退職後、自ら起業、現在に至る。スマホ収納サービス『サマリーポケット』が好評。食だけでなく、アートやクラシック音楽への造詣も深い。

隠れ家のような雰囲気漂う一軒家レストラン

豊中市といえば大阪市のベッドタウンとして発展し、阪急豊中駅周辺にも多くの飲食店やショップが立ち並ぶ。その豊中駅前の大通りを少し入った路地に佇むのが、今回紹介するフランス料理店「ペルティカ」だ。

駅から歩いて数分というのに、この店の一角だけがまるでエアポットに入り込んだような静けさ。緑に包まれた建物自体が放つ雰囲気も、どこか時間の進み方をゆっくりと感じさせてくれる。

店の脇から続く、さらに細い路地を入っていくと入口があった。扉を開けると、ずらりと並んだワインボトルの先に広がる、ゆとりのある客席。「知人が通っているのを見て、試しに足を運んだら、丁寧な味付けに魅了されました」と店との出合いを振り返る山本さん。

食べログ点数は3.08。住んでいる人以外は、なかなか足を運ぶことがない豊中という場所も影響しているのかもしれない。現在お店が提供するのは、前日までに2人以上の予約で11,000円と19,800円の二つのコース。さて今回はどんな料理が楽しめるのだろうか。

※点数は2022年8月時点のものです。

気鋭のシェフが目指すのはシンプルに「分かりやすく、おいしい料理」

ずらりとボトルが並ぶワインセラーの前で出迎えてくれたのが、オーナーシェフの白竹俊貴さん。大阪北新地の人気ワインバー「弘屋」で腕を磨いた後、2016年にここで店を構えることになった。今や新進気鋭のシェフとして注目を浴びる存在だ。

この日のメニューは11,000円、19,800円のどちらのコースにも登場するメニューを味わうことにしよう。最初に出てきたのが魚介のカルパッチョ。この日は新鮮なタイの表面を軽く炙って3種類のソースを合わせた。

魚介とハーブというシンプルな構成ながら、ソースで味に変化を持たせ、旨みを加えた一皿。「あくまで分かりやすく、おいしい料理を目指しています」と白竹さんは語るが、その手の込んだソースを味わってみれば、わかりやすさの中にもしっかりとしたこだわりが感じられる。

コースの味わいに弾みを付ける一皿が、食欲をますます刺激する

続いて出てきたのが、冷製のフォアグラとカヌレという2品。見た目の可愛らしさはもちろん、色合いのコントラストもあり、食べるのがもったいないような出来映え。デザートに出てきそうなメニューながら、コースの序盤に登場するのが面白い。