甘みも香りも飛び抜けている「飴色玉ねぎとみそのビッケタルト」
山本さん
名物料理で、この店ではこれを必ず頼むべし、です。
しっとり軟らかく、なめらかな食感の玉ねぎ。上質なオニオンスープを彷彿とさせる風味ではあるが、凝縮感が桁外れである。ひとかけら口に含むだけでも驚くほど力強い甘さが広がり、芳醇で深みのある香りが続く。
特筆すべきは淡色辛口である信州味噌との一体感だろう。例えば赤味噌の香りは熟成過程に起こるメイラード反応の影響が大きく、同様の化学反応により発生した飴色玉ねぎの香りともマッチはするが引き立て役にはなりえない。白味噌の場合は甘さが強いため、玉ねぎらしい甘さが紛れてしまう。つまり、玉ねぎの魅力だけを際立たせるのに、信州味噌のすっきりとした旨みと香りが最適なのである。
タルトづくりのため、大型レストランやホテルと同規模の玉ねぎを仕入れ続けてきた木村さん。新型コロナウイルスの影響によって営業が規制された際には「買い手が見つからない」と困っていた馴染みの仕入先から、いつも以上に大量の玉ねぎを取り寄せることにしたという。
「生産者の皆さまのお役に立てればと、お店が開けない間もタルトを焼き続けました。それをオンライン販売したところ、ビックリするくらい大盛況で」と木村さん。その人気は今なお高まり続けており、お店に訪れる常連客のもてなしとタルトづくりで手一杯の日々なのだ。
山本さん
肩肘ははらずとも上品、上質でカジュアルなお料理が揃っています。
食べログの口コミを見ても、食通たちをうならせるメニューが揃っているようだが……。取り寄せが難しい料理に関しての紹介は、ここでは差し控えさせていただきたい。