〈広島の麺料理〉
呉冷麺と言えば、呉の名店「珍来軒」発祥のご当地グルメですが、今回ご紹介するのはこの呉冷麺をリスペストしつつ、約3年もの月日をかけて生み出したという見た目も味わいもまったく新しい「旬麺 晴れる家」の冷麺です。この冷麺誕生のきっかけは客の「おいしい冷麺が食べたいのぅ」という一言だったそうです。
教えてくれたのは
今、食べたい麺がきっと見つかる! 呉市・広エリアの人気店
今回ご紹介する冷麺が食べられるのは、呉市の広(ひろ)エリアにある「旬麺 晴れる家」。冷麺やラーメンといった定番から、汁なし担担麺、台湾まぜそば、つけ麺などの新定番まで、ありとあらゆる麺料理を楽しめる一軒です。また、昼でも注文できる一品料理のほか、夜はコース料理もあり、居酒屋としても人気です。
2009年にオープンした「旬麺 晴れる家」。元々はバーテンダーをしていたという店主の小原吉晴さんが、当時、隣町の阿賀(あが)にあった実家の和食店を手伝うようになり、そこで3年もの月日をかけてオリジナルの冷麺を完成したことをきっかけに独立したお店です。
「科学的な観点から料理や味付けを考えるのも好きなんですよね」と小原さん。実家の和食店で身につけた和食の基本をベースに、これまでの経験や科学的なデータに基づいたアイディアを加えるのが旬麺 晴れる家流。開店当初からある冷麺やラーメンはもちろん、汁なし担担麺や台湾まぜそばといったトレンド麺も、流行を真似るのではなくとことんオリジナルを追求していることも人気の秘密です。
完成までに約3年! 試行錯誤という名の執念によって誕生!!
「親父の店にいた時に、常連さんから『わし、呉冷麺が好きなんよ。おいしい冷麺が食べたいのぅ~、作ってくれや!』と言われたことが、苦悩の日々の始まりでした(笑)。まさか、3年かかるとは。作ってはダメ出し、また作ってはダメ出しの繰り返しで、思い出そうとしても思い出せないほど……大変でした(笑)」と小原さん。そうは言っても、職人魂に火が付いた小原さんは、呉冷麺特有の酸味と甘みを徹底的に研究。その常連さんが「これでええんじゃないか」と、うなずいた時には3年が経っていたそうです。
「みんなで作っておいしく食べればいいじゃん!」とレシピを公開している旬麺 晴れる家の冷麺。調理の手順も丁寧に教えてくださったので、ここで公開しちゃいます。
国産豚バラ肉を、少しだけ塩を入れた水で2日間コトコトと炊いて作るという自家製チャーシュー。「塩分と熱がお肉を硬くするからね」と、“低い塩分濃度でじっくり煮る”という科学的知見に基づいたアドバイスもいただきました。そんなチャーシューをオーダーごとに炙り、甘めのタレと絡めます。
唐辛子とにんにくを熱して作るラー油と、ごまから作る芝麻醤(チーマージャン)を器に入れます。どちらも自家製で、オープン以来ずっと小原さんが作り続けている大切な調味料なのです。
茹でた麺は流水でしっかり洗い、ぬめりを除去。伸びがよく、喉ごしが柔らかい平打ち麺は、呉市・三条にある「秋山製麺所」のもの。試行錯誤を重ねた開発当時から、この麺だけは一貫して変わらなかったという自慢の麺です。
酸味と甘みのバランスを根本的なところから考え抜いたというスープ。ベースは昆布と醤油、そして自家製ラー油。完成までの3年間はこのスープが生まれるためにあったと言っても過言ではない完全オリジナル。これを麺としっかりと混ぜてから提供します。
千切りキャベツとかいわれ大根、青ネギ、そしてチャーシューをのせて完成。冷麺=夏、という固定観念にまったくとらわれない年中無休の一杯です。半熟味玉のせ(890円)のほか、辛く仕上げたジョロキア冷麺(940円)、肉味噌ご飯 or 温玉ご飯付きの冷麺定食(950円)などにも注目を。
これぞ、呉冷麺スタイルのオリジナル冷麺!
一気によ~くかき混ぜてもよし、シャキシャキ食感を楽しみながら食べ進んでもよし! オススメの食べ方を尋ねると「お客さんのお好きなようにどうぞ。いろいろ試して楽しんでみてください」と小原さん。卓上にある自家製ラー油でピリッとした辛みを加えたり、呉冷麺の定番でもあるお酢を回しかけて味変したりと、楽しみ方は十人十色。