美しすぎる! 純白の「鶏白湯soba」

ふわり雲の上に具が浮かんでいるような、惚れ惚れとするビジュアル。これが「ナカムラボ」の一番人気「鶏白湯soba」です。スープの表面を覆う細かい泡が唇で優しく弾けた後、それはそれは深い、鶏白湯スープのコクが口に広がります。うまっ!! マイルドな鶏の旨味の中で、昆布、鰹節、シイタケなどの和風要素も絶妙に香ります。うま味調味料を使わず、鶏、節系など複数の天然素材でしっかりと出した奥行きのある味わい。福岡市・大名「ジョーキュウ醤油」のタレが醸す香り、ほんのりとした甘さもいいですね。いや〜、拍手喝采。さすがです。

鶏の胴ガラ、ネックなどで煮出した鶏白湯スープ。味にブレが出ないよう寸胴から手鍋に移して加熱。ブレンダーをかけて再乳化させることでキメの細かい泡が立ち、味もよりマイルドになります。

あわあわのスープの中から麺(「製麺屋慶史」に特注した中細ストレート)を引き出すと……「きゃー、きれい♡」。麺にもしっかりと泡が絡んできます。きめの細かい泡はスープの飲み口、麺の啜り心地を、よりライトにしてくれる効果もあるんですよ。

座敷でラーメンを味わいます。正座をしてしっかりと丼と向き合い、ひと口ずつ丁寧に食べたくなるラーメンですね。

黄金の「和風醤油soba」 も、うまいなぁ〜(しみじみと)

「鶏白湯soba」は白濁した泡系スープ、一方「和風醤油soba」は、透明感を残した黄金色の鶏清湯スープです。後者のラーメンの方が魚介をより立てているのが特徴。食べ進めるごとに幾重にも広がる深いコクと旨味。こりゃレンゲですくう手が止まらんバイ!

「鶏、魚介など何も特別な素材を使っているわけではありません。ごく一般的な食材でも、こんなにおいしいラーメンができることを証明したかったですし、ラーメンをより世界に広げていくためには、現地で当たり前に手に入る食材で作ることも重要だと思いますから。代わりにではないですが、毎年9月の創業祭の時だけ、とことん贅沢な食材を取り入れた麺イベントを行っています。今までは天草大王などを使ってきましたね」(中村さん)

チャーシューは、みずみずしさを損なわないよう注文後にスライス。低温調理した柔らかい2種のチャーシューも盛っています。

見据えているのは、あくまで「世界!」

先にも紹介した通り、中村さんが見据えているのは一貫して“世界”です。

「ありがたいことに日本各地での出店のお話もいろいろといただくのですが、例えば街中に多店舗展開していく、ということには興味がありません。僕はあくまで世界にラーメンの魅力をいち早く伝えたい。自分が信じる、その最善の道をまい進するだけです。今はまだ多くを語れませんが、皆をあっ!と驚かせるいい報告が近くできると思います」(中村さん)

そう語っている最中も、予約の電話やメールがひっきりなしに入ってきます。“完全予約制”だと仕込み量など予定が立てやすいという利点はありますが、中村さんは一人で店を切り盛りしているので、随時予約の電話を受け、メールにも返信するなどスケジューリングも自らで行なっています。営業もしながらの、予約管理はとても大変なんです。

中村さんは昨年、キッチンカーも導入。那珂川市を中心に時折出張してラーメンを作っています。

「大々的なラーメンイベントではなく、あくまでラーメンを通じての地域活性に貢献ができるような催しに出店しています」(中村さん)

「ナカムラボ」の中村さん(右)と筆者(右)

いかがでしたでしょうか。今回は、福岡県・那珂川市の完全予約制ラーメン店「ナカムラボ」を紹介しました。その特異な立地、システム、バリうま!の“非豚骨”という点が注目のポイントであることは間違いありませんが、今後はぜひ店主・中村さんの動向にも注目してください。また違ったアプローチで、ラーメン人気をワールドワイドにしようと意気込んでいます。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

文:上村敏行、食べログマガジン編集部 撮影:北嶋 幸作