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自然派ワイン好きのオーナー夫婦が食の楽しみを提案する「ブルチャーク (BURCAK)」
お菓子の歴史研究家である猫井登さんに「本当は教えたくない、とっておきのお店はありませんか?」と訪ねたところ、紹介してくれたのはワイン居酒屋でした。ここ「ブルチャーク (BURCAK)」は既存のジャンルにとらわれず、自然派ワインと相乗効果のある料理を提案し続けているお店です。「料理だけでなく、デザートも素晴らしい」と猫井さんが絶賛する、その理由とは?
ジャンルは不詳? 一言では語れない多国籍料理が名物
JR武蔵浦和駅の北側、高級住宅街として知られる別所地区。店先に線路のまくらぎが敷かれた一軒家レストランがある。ちょっとした探検気分で店に足を踏み入れれば、そこは懐メロが流れる不思議な空間。居酒屋らしい肩肘張らない心地の良さと、ヨーロピアンな異国情緒が同居している。
カルパッチョ、アヒージョ、パスタなどワインバルらしい定番もある一方、常時入れ替わる黒板メニューには独創的メニューがずらり。根室産白子入りの四川風麻婆豆腐、ココナツミルクで南国風に仕上げたペルー名物セビーチェ、山形秘伝豆(青大豆の一種)で中東諸国の郷土料理を再現したフムス、フォアグラと梅が入ったマカロンなど、大胆なアレンジを加えた世界各地の名物が並ぶ。
猫井さん
いつも繁盛しているお店です。予算は前菜、魚料理、肉料理、パスタ、デザート、お酒を2~3杯ずつ飲み、2人で1万円ほど。和洋中の要素を取り入れ、ひとひねりを加えつつ、どれも馴染みのある味わいに仕上げられています。こういう構成もあるのかと感心させられるものばかり。さらに、食後のデザートも素晴らしいのひとこと。是非デザート用に胃袋にスキマを残しておいて! 帰る頃には、お腹いっぱい。幸せいっぱい。
お店を切り盛りするのは自然派ワインと旅行が大好きな小林さん夫婦。実際に本場で食べたことのある料理だけでなく、お客さんのリクエストに応じたり、単純に食べたいものを作ったり。2011年のオープンからジャンルにとらわれずレシピを開発し続け、徐々にレパートリーを増やしてきたそう。
いまも新しい発見を求め、個性的な自然派ワインに合う食材の組み合わせ、味付けを模索中。解説付きの手書きグラスワインリストを毎日作成するなど、食を愛する小林さん夫婦の思いがあちこちから伝わってくる。
シンプルだからこそアイディアが光る。猫井さんが惚れ込んだ定番メニュー
オリジナリティあふれる料理が豊富に揃うなか、猫井さんのイチ推しメニューは意外にも素朴なサラダ。こちらは赤ワインビネガー、オリーブオイル、エシャロットを混ぜ合わせたブルチャーク特製ドレッシングで具材すべてを和えている。皿全体が優しい酸味と香りでまとまりつつ、それぞれ具材の個性も引き立てられており、自然派ワインと合わせるのにぴったりと評判。
猫井さん
ツナ、茹で卵、トマト、オリーブ……とにかく具だくさんなので、オードブル代わりになる一皿。2人ならばハーフサイズで充分なほど大盛り、彩りも良いです。メイン料理が出てくるまでには少し時間がかかるので、これをツマミにスパークリングワインなどを楽しみながら待つのがよいでしょう。
不動の人気を誇るというメイン料理に使用するのは、アメリカの牛肉格付け最高ランクであるプライムグレードのハラミ肉。弱火で温めたフライパンと、約200℃のオーブンを何度も行き来させながら、30〜40分かけてじっくりと塊肉に火を入れている。柔らかくておいしいステーキを食べたい一心で試行錯誤を重ね、ようやくたどり着いた焼き加減という。
猫井さん
「わぁー」と思わず歓声があがる迫力のあるビジュアル。約300gと大ボリュームですが、ハラミなので2人で食べても最後まであっさりと楽しめます。