【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#54】「AJICO Salon」

スリランカ人シェフの間借りカレー店として高田馬場で人気を博した「AJICOカレー」が小石川に移転し独立。店名も「AJICO Salon」となり、ちょっと面白い形のお店に生まれ変わりました。

何がどう面白いのかというとまず場所。路地裏の文字通り隠れ家的な場所であり、かなりわかりにくいです。向かう途中から貼り紙があり、それを頼りに行けば何とかたどり着くのですが、それがなかったら見つからないのではと思うような場所です。

そしてその見つけた場所がまた面白い。民家なのです。靴を脱いでお邪魔しますという雰囲気で入ります。さらに面白いのが2階が「スルタン」というインテリア、トルコ雑貨のお店となっているということ。

こちらはAJICO Salonのシェフ、通称アジコさんがアートディレクターを務めているそうです。そもそも実は元を辿るとアジコさんとホールを切り盛りする店主の原さんはこのスルタンの運営が本業。SNSで料理の写真を載せていたところ、食べたいという声が多く上がり、ホームパーティやイベントをしていく中で常設のカフェもやりたいということになり、まずは曜日限定の間借りでスタート。それが好評となり常連もついたことから本格的に営業できる場所を探し、遂に見つけたのが現在のお店。一軒家だったので2階にスルタンも移し、同じ場所で一緒にやることにしたという話。

民家の居間のような場所でいただいたのは「AJICOプレート」1,200円と「サバサラダ」800円。

「サバサラダ」

サラダは鯖にアーリーレッド(赤玉ねぎ)やトマト、パクチーなどを合わせたもの。アーリーレッドは普通の玉ねぎより辛味が少なく甘味がしっかりとしているので、生食にも適しています。これにブラックペッパーやピンクペッパーも加わり、程よいスパイス感も加わって良い前菜となりました。

「AJICOプレート」

メインのAJICOプレートはパリプーというまろやかなスリランカの豆カレーがご飯の周りを埋め、手羽元使用のスパイシーなスリランカチキンカレーがご飯の上にドンとのり、ゆで卵やポルサンボルというスリランカのふりかけ的なものが添えられたワンプレート。

基本はあくまでオーセンティックなスリランカ料理なのですが、こちらにもピンクペッパーがあしらわれていたりする所は、今の日本のカレーシーンのトレンド的な要素も感じます。スリランカ人が日本的感覚を取り入れて自由にアレンジしたスリランカカレーと言えるでしょう。

味わい的にも塩気的にも、本格的なスリランカレストランで食べるガツンとしたものではなく、優しく柔らかみがあるのです。しかも高田馬場時代よりおいしさに磨きがかかっており、良い意味で日本人受けしそうな方向に進化していると感じました。これは地域の人にも受け入れられそうだなと思って聞いてみると、既にご近所の方からも喜ばれているんだとか。素晴らしいですね。

とはいえまだ諸々準備しながらの営業であり、取材時は整っていない部分もあったのですが、今後はスリランカ料理のカフェバー、雑貨屋、料理教室、シンハラ語のスクール、ギャラリー等、様々な形での営業をしていきたいということでした。料理のみならず雑貨や言葉、アートを通して異国文化に触れるというのは非常に楽しい体験です。それを一度に体感できるお店はそうそうありません。

今後ますます進化していくであろうAJICO Salon。楽しみです。

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2022年3月14日)時点の情報をもとに作成しています。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/