【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#53】「TAPIR (タピ)」
ここ数年で全国的にカレーのお店が急増しています。おいしいお店も確かに増えたのですが、おいしいだけで面白さには欠けるというお店も少なからずあります。どういうことかというと、どこかのお店の味やスタイルに似ていて個性がないのです。どこかのインスパイアでも元のお店を超えているか独自の工夫があるなら良いのですが、多くの場合はただの真似で終わっていて元を超えているということはなく、もっと個性があったら良いのにと思うのです。
では個性あるお店とはどのようなお店なのか。僕がよく地方のカレー好きの方から「東京じゃないと味わえないカレーってありますか?」と聞かれたとき、いくつか挙げるお店のひとつに確実に入る、神楽坂「タピ」を今週はご紹介しましょう。唯一無二の存在なのです。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/19445997-82B0-4E5F-84E2-E31D9F2A6D58.jpeg)
タピはかつて大久保にあった知る人ぞ知る人気店。その後要町で間借り営業をして、今は神楽坂でご自分のお店を構えているというのは知られている所なのですが、実は大久保でお店を構える前から東中野や新井薬師などでも営業していたり、要町の後には浅草橋で間借り営業をしていたりと、とにかく流浪のお店。「引っ越しが好きなんですよ」とタピ店主の岡野さんは笑顔で語ってくれました。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/1A9DD9EC-720A-43EF-821F-01B1C71D0101.jpeg)
間借りも経験したものの、やはり自分のお店を構えた方が良いと友人にも勧められ、今の場所を見つけたということでした。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/586643A2-1A1D-4510-B997-147D3A72F918.jpeg)
タピのメニューは基本的に週替わりのワンメニュー。レギュラーメニューはありませんが季節感のある様々な料理をいただけます。毎回カレーがあるとも限らないのですが、スパイスを使った料理であることにブレはありません。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/FB14DE6F-526A-4038-84F0-CB87543DC022.jpeg)
この日のメニューは「チキンコフタカレー」と「マトンカレー」。「2種」1,800円をご飯少なめ(-50円)でいただきました。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/24D7C522-DA8A-44D0-B3FA-5E10315122DC.jpeg)
コフタとはわかりやすく言えば肉団子のこと。チキンの肉団子なのですが、しっかりと合わせられていて挽肉団子というよりはチキンの塊肉を食べているような感覚になります。それでいてスプーンを入れると簡単に切り分けられることから、やはりコフタなのかと確認できるような。まろやかなスパイス使いで鶏肉のうま味を堪能できる絶品カレーです。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/E57280A2-DFBE-4E01-927E-AAA21015B0C2.jpeg)
一方マトンカレーはストレートに現地感のあるテイスト。実は岡野さん、バングラデシュに1年ほど住んでいたそう。その際に自然と身についたという現地料理がベースになっています。バングラデシュのカレーと言えば毎日食べても飽きないような滋味深いおいしさという印象を僕は持っているのですが、このマトンもバングラ感のあるじわじわとおいしいカレーでした。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/248EFC46-2854-49EF-8AA2-DF0F5D93196E.jpeg)
副菜もおからを使ったスープや、おからブレッドなど個性的でヘルシー。これがまたこのカレーと合うんですよ。
食後に「ブランデーキャロットケーキ」450円もいただきました。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/D6E2C1EA-1E36-472B-807F-7160DC752BB1.jpeg)
タピは食後にお茶がつくのですが「おいしいマドラーをどうぞ」とお菓子のような食べられるマドラーをひとつ一緒に出してくれます。
これで混ぜて飲むミルクティーがタピの個性的世界観を締めくくってくれるのですが、今回はケーキも一緒。出てきたケーキの盛り付けがまず意表をつかれるものだったのですが、程よく酸味のあるクリームと細かくカットされたケーキやナッツを一緒に食べると、それぞれのおいしさが見事に融合。満足度が加速して増幅しました。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/77609FEF-F839-459E-84F4-005998A9CC7B.jpeg)
さらにこの日はカレーパンもあったので「ししゃもカレーパン」300円と「サツマイモカレーパン」300円もテイクアウト。帰宅してから食べました。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/7F21E3D8-E555-4C84-9F23-DCF21AEE3F6D.jpeg)
ししゃも、さつまいもと、普通はカレーパンの具材としては思いつかない意表をついたものなのですが、ししゃもは一匹そのままカレーをまとい、さつまいもはインド料理のサモサのように芋自体がスパイスで味付けされており、カレー自体の仕込みも違うこだわりように驚きました。いつだって想像の斜め上を行くお店なのです。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/1F0DD1FB-0440-406A-A26C-62E0FD37AE09.jpeg)
メニューにカレーが無い日でも、例えばパスタの日にトッピングでカレーがあったりもしますし、またそのパスタが独創的で他には無いものだったりします。あるいは豆料理の日にはワダというインド料理の豆で作る甘くないドーナツがあったりして、このワダがとんでもなくおいしかったり。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/B38FC4BA-0C3A-4A41-9378-83AE2B9F286A.jpeg)
何にせよおいしいことに間違いありません。大久保時代から今に至るまで、行けば確実に満足させてくれるお店なのです。個性ってこういうことだよなといつも感心します。
この個性はどこから来るかというと、岡野さんがアーティストであることも大きいのでしょう。元々は絵画の世界で創作活動をし、現在は漆の食器を製作しているそうです。実はお店で出される箸やスプーンも岡野さんの自作。「ゆくゆくはすべて自分の作った器で出したいんです」と。素晴らしいですね。
![](https://magazine.tabelog.com/uploads/2022/03/7E5B725D-3063-415B-9761-C7062D95961D.jpeg)
味はもちろん、内装から器にまで個性を感じるお店。日本全国、いや、世界中探してもここに似たお店はありませんし、ここを真似しようと思ってもできるものではないでしょう。同じようなカレーが増えてきてつまらないなと感じている方、是非食べに行ってみてください。
営業はお店のSNSをご参照ください。土日は朝から営業していたりもするので、最高の朝カレーから週末をスタートさせるのもおすすめですよ!