【カレーおじさん\(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2024年7月を振り返る

夏真っ盛り。今年の夏は特に暑いと言われていますが、夏バテ予防にもカレーはおすすめ。あまり食べる気がしない時でもスパイスの香りで食欲が湧くものです。今月は、そんな暑い中でもつい食べに行きたくなるような4店舗をご紹介しました。

  1. 北陸を代表するビリヤニの名店が神田で新店舗をスタート
  2. 大阪スパイスカレー界のレジェンドシェフが手がける週に一度のランプライス
  3. ご飯のおいしさを主役にしたスパイシーでフルーティーな欧風カレー
  4. 名店イズムを受け継ぐ丁寧で上品なインド風カレーのお店が独立

どれも「香り」が印象的な料理ばかり。米とスパイスの香り高いビリヤニ、バナナリーフに包まれてカレーとご飯の渾然一体となった香り、土鍋炊きたてご飯の香り、インド料理の手法のスパイス使いによる香り高いカレー。

やはり食欲を増進するにはまず香りです。しっかり食べて、夏バテ、熱中症を予防しましょう!

【第1週のカレーとスパイス】できたての味を東京でも! 北陸の名店が神田に誕生「ジョニーのビリヤニ 神田店」

北陸を代表するビリヤニの名店「ジョニーのビリヤニ」が2024年6月21日、東京・神田に新店舗「ジョニーのビリヤニ 神田店」をオープンさせました。

「ジョニーのビリヤニ 神田店」の外観

北陸どころか日本有数のビリヤニの名手と名高いシェフのお店ということもあって、雨の日でも開店前からの行列。その中にはスパイス料理の超名店のシェフのお顔も見え、注目度の高さを感じました。

6月21日にオープンしたばかりだが、早くも行列必至となっており期待度の高さがうかがえる

場所は以前もビリヤニの名店として知られていたものの惜しまれつつ閉店した「ベンガルカレーファクトリー」の跡地。ビリヤニの名店が入れ替わるように入ったのも興味深いです。

ちなみに列は、店頭前の赤いコーナーポストから道路沿いに、店に向かって左側に並びます。開店時刻となり、5名ずつ入店。何しろカウンター5席しかない小さなお店なのです。

「マトンキーマビリヤニ」

この日のメニューは「マトンキーマビリヤニ」1,500円。大盛り(+400円)、「コーラ」400円の注文も可能と口頭で説明がありました。並盛りは具材込みで約350g、大盛りは約450gとのこと。メニューは基本的に週替わりでチキンの週とマトンの週が交互に来ながらフレーバーや辛さを変える形なので、2種類というわけではなく週によってさまざまなビリヤニを楽しめる構成となりそうです。

また、今後リクエストが多ければ小サイズや特盛サイズも考えているとのことなので、希望する方は注文時に確認してみてください。

コーラと一緒にいただきます!

今回は並盛りにコーラを注文しました。

所々に潜む、塊状態のラッキーマトン

大鍋で一気に炊き上げるので注文後はスピーディーに盛り付け、配膳。マトンキーマカレーを炊き込んだビリヤニは程よいオイル感。まずはそのまま食べてみるとキーマが所々かたまってハンバーグのようにもなっており、それをかじると羊肉ならではのワイルドな風味がスパイスによって引き立てられ、何とも言えないおいしさです。

羊が苦手という方も少なからずいますが、それは質の高くない羊をそのまま食べた時の印象が強いからなのではないかと感じています。そんな方にこそ食べてほしいのがマトンカレーであり、マトンビリヤニ。特にこちらのマトンキーマビリヤニはマトン嫌いもマトン好きになるであろう、絶妙な味付けだと感じました。

付け合わせは、紫玉ねぎ、パクチー、ライタ

付け合わせのパクチーと紫玉ねぎ、そして濃厚なライタ(ヨーグルトのサラダ)を合わせ、レモンを軽く搾って食べれば実に爽やか。マトンの重厚さも楽しめつつ、味変で軽やかにも食べられるという一皿。見事です。

米自体の炊き具合と香りも絶妙であり、どんな具材でもシェフの腕があればおいしく仕上がるだろうなと容易に想像ができます。

米の香りの良さが引き立つ絶妙な炊き加減

ビリヤニをよく食べる国では、コーラを合わせるのが定番なのですが、それが何故なのかはこちらで試せばわかるでしょう。ビリヤニの味をコーラが底上げしつつ、一旦口内をスッキリさせてくれるので、またビリヤニを食べたくなるという無限ビリヤニの構造が生まれます。と言ってもビリヤニの量は有限。すっかり食べ終わってしまい、余韻に浸りつつ店を後にしました。食べ終わった時点ですぐまた食べたくなるような後を引くビリヤニです。

ビリヤニに欠かせない相棒・コーラ

小さなお店ですがテイクアウトも可能。回転も早いので多少並びがあってもくじけず並んでみる価値があるクオリティの高さです。シェフからお言葉もいただきました。

「今まで通販で冷凍のビリヤニを購入されていたお客様、百貨店催事やカレーイベントで当店をご利用いただいていたお客様、大変お待たせいたしました。ジョニーのビリヤニ、東京・神田にできました。フルコンディションで作る炊き立てのビリヤニを是非ご賞味ください!」

フルコンディションというのがポイントですね。各地の百貨店などの催事出店も精力的に展開しているお店なので食べたことがある方も少なからずいるかと思いますが、やはり実際の店舗で食べるのが一番おいしく感じます。

石川県は野々市の本店、そしてこちら神田店、さらには7月24日に富山店もオープン予定と乗りに乗っている大注目の名店。今後行列が長くなることも予想されるので、早めに行ってその味を体感することをおすすめします。

【第2週のカレーとスパイス】週1のみ味わえる尊いうまさ。大阪カレー界のレジェンドが新店舗を始動「CURRYFORNICATION」

大阪カレー界のレジェンドシェフの一人である黒田さん。まだ大阪スパイスカレー文化が花開く前から心斎橋のバー「アノニマス」で本格的なスパイスカレーを提供し話題となり、同時に間借り形式で「カレー週イチ」を展開してこちらも行列店となり、大阪のみならず東京にも店舗を増やした「ポンガラカレー」に監修という形で携わった方で、大阪カレー界に大きな影響を与えたシェフだと言えるでしょう。

「CURRYFORNICATION」があるのは、ウエスト梅新ビルの2F

そんな黒田さんが2024年4月28日、大阪・曽根崎の地で「CURRYFORNICATION」をスタートさせました。以前別の場所でも動いていた店名となりますが、現在はこちらの店舗で基本的に日曜昼のみ営業中です(不定休)。営業日数も時間も少ないので予約推奨。予約の方法や営業日はお店のSNSをご覧ください。

音楽ファンもワクワクするHOT!なロゴが目印

いざ行ってみるとビルの1階には、音楽ファンならニヤリとするようなお店の印象的なロゴがあり安心します。店内に入れば喫茶店のような雰囲気ですが、スパイスの香りが食欲に火をつけます。

この日のメニューは「猪肉のランプライス」1,500円。これに「ミントコリアンダー鹿肉カリー」200円も追加して注文しました。ランプライスとはスリランカ料理で、バナナリーフにご飯もカレーもおかずも一緒に詰め込んで蒸し焼きにしたもの。

「猪肉のランプライス」(写真手前)と「ミントコリアンダー鹿肉カリー」(写真奥)

この日の内容も豪華で、猪肉のカレー、バスマティイエローライス、揚げ玉子、チャナダルカレー、小海老のチリ、ナスのモジュ、フリッカデルズ(メンチカツ)、キャッサバのカレー、そしてラッサムが別皿でつくというもの。

バナナリーフを開くと豪華な中身がお目見え

食べてみると猪は驚くほど軟らかく、ジビエですが臭みは感じさせず素材のうまみを引き立てるブラッドシュガースパイスマジック。フリッカデルズも猪肉を使用していて実に贅沢です。揚げ玉子もスリランカ料理店だとハードボイルドでパサつきのあるものが多い中、こちらは黄身がとろりとした仕上げなのも日本人シェフならでは。

ランプライスになるとの組み合わせが斬新!

追加の鹿カレーもミントとコリアンダーで爽やかに仕上げたカレー。器に遊び心があるのがまた楽しいですし、ランプライスに盛りつけられたなるとも同様で、自由にカレー作りを楽しんでいることが感じられるのがとても良いです。どれもオーセンティックなスリランカ料理をベースとしながらも独自の工夫や心遣いを感じられる仕上がり。

食器にも遊び心を感じる

そして鹿カレーは黒田さんによると「『ダバインディア』オマージュです!」とのこと。ダバインディアと言えば、東京・京橋で連日大行列の人気店だった今はなき南インド料理の名店。大阪のシェフですが、東京のお店の名前が出てくるあたりも、シェフご本人がカレーが大好きで各地で食べ歩いてきているからこそでしょう。そしてダバインディアの味を知る者からしても、その言葉に納得のクオリティの高さでした。

現在黒田さんは京都・福知山に引っ越し、山の中で生活を送っているそうです。自宅の畑で採れた野菜を使い、それをカレーにしていると聞いて尊さを感じました。今まで黒田さんが携わったお店はどれもおいしかったのですが、そこに自身で育てた野菜が加わるという尊さ。レジェンドシェフは今も一歩先を行くのです。

大阪のスパイスカレーはスリランカカレーに大きな影響を受けたと言われていますが、横のつながりを大事にし、そのレシピを多くのシェフに伝えて広めた黒田さん。だからこそ大阪スパイスカレー文化が花開いたと言える部分もあります。

店内飲食のみならずテイクアウト(こちらも要予約)のお客さんもひっきりなしに来店していて相変わらずの人気ぶり。週に一度の贅沢として、レジェンドシェフの尊いカレーにありつけるのは幸せなことであり、夢のような経験。

まさに「Dream of CURRYFORNICATION」なのです。