【第3週のカレーとスパイス】あの土鍋ご飯のカレー店が東銀座に移転。テーブル席メインになってグレードアップ!「一体感」

築地の場外市場エリアでスタートし、ご飯自体のおいしさを追求したカレーが一部マニアの間で話題となった「一体感」が2024年6月14日、東銀座駅近く、歌舞伎座の裏手に移転オープンしました。

歌舞伎座の裏手に移転した「一体感」

朝8時にオープンし、15時まで(14時半ラストオーダー)の営業。10時頃行ってみると既にかなりの客入りで人気のほどがうかがえました。

カレーのメニューは基本的に「和牛ビーフカレー」1,650円のみですが、ご飯の種類をどれにするか、辛さをどうするか、トッピングをつけるか、カスタマイズを楽しめます。また、辛いのが苦手な方にはハヤシライスもあります。

「和牛ビーフカレー」に「エビフライ」をトッピング

今回は、ご飯は一体感ブレンド、辛さはデフォルトの辛口、トッピングにエビフライ1本(250円)をつけて注文。

土鍋の蓋を開けるとツヤツヤの白米がお目見え

注文が入ってから1食分ずつ土鍋でご飯を炊くので時間がかかります。今回は20分ほどかかりましたが、待つ甲斐のあるおいしさ。土鍋の蓋をあけると湯気の立つご飯。まずはご飯だけ食べてみてください。お米自体のおいしさを存分に味わうことができます。一体感ブレンドは山形県産の「つや姫」と「雪若丸」のブレンド。粒立ちが良く程よい噛みごたえで、ご飯だけでも十分おいしく感じるもの。

ご飯とグレイビーを盛ればカレーライスの完成

カレーは辛口ですがフルーティなテイスト。煮込まれた和牛のうまみとスパイスの香りが調和したグレイビーでレベルの高い欧風カレーです。

カレーは欧風
米とカレーがうまさを引き立て合う

それぞれ単体でおいしいのですが、ご飯にこのカレーをかけると両方がさらにおいしく感じます。副菜も程よい酸味と食感の違いがあり、すべてを一緒に食べるとまさに店名のごとく「一体感」を味わえるという構成。見事です。

エビフライもピンとまっすぐにカラッと揚がっていて、カレーの満足度をさらに高めてくれるトッピングとなっていました。

カラッと揚がったエビフライは欧風カレーとの相性抜群

シェフは元パティシエなのですが、カレーを食べ歩き、とことん研究してこのカレーを作り上げたのだそうです。シェフに移転の理由を聞くと「築地のお店は席数が少なくテラス席がメインだったので、もっとゆっくりお客様にカレーを召し上がっていただきたいという思いから移転を決断しました。歌舞伎座裏はランチの有名店も多く、雰囲気が以前からとても大好きで、移転するなら絶対このエリアで!と探していました」と語ってくれました。

移転後はテーブル席がメインになり、よりゆっくりとカレーを味わえる環境にアップグレード

築地時代もおいしいと感じていましたが、東銀座に来てさらにおいしくなったように思います。また、場所柄もあって外国人観光客も多いのですが、海外の方へ日本のご飯とカレーのおいしさを知ってもらうのにとても良いお店なので、この場所の移転は大正解だと思います。

これを食べると「今日も一日頑張るぞ」という気持ちになれますから、少し贅沢な朝カレーにもおすすめのお店です。

先述したように時間がかかりますので、急ぎのランチには避けた方が良いかもしれません。ゆっくりした時間の中で堪能したい、日本人のDNAに訴えかけてくるような美味カレーライスです。

【第4週のカレーとスパイス】祝独立店舗オープン! 人気間借りカレー「よすが舎」が三田に移転

2024年7月8日、池尻大橋から三田に移転オープンした「よすが舎」

池尻大橋駅近くで間借りカレー店として人気だった「よすが舎」が、2024年7月8日、場所を三田に変えて独立店舗としてオープンしました。

店内はカウンター8席

都営地下鉄・三田駅からすぐ、JR田町駅からも徒歩10分しないくらいの距離感。カウンターのみ8席の店内は細かい部分まで徹底した素敵な雰囲気。路面には小窓もあり、テイクアウトにも力を入れていることがわかります。

「バターチキンカレー」と「ゴア風エビカレーミニ」

メニューは月替わりのカレーと週替わりのカレーの2種。あいがけはありませんがミニカレーも注文可能です。今回は月替わりの「バターチキンカレー」1,100円に週替わりの「ゴア風エビカレーミニ」200円をつけて注文しました。

上品な味わいのバターチキンカレー

バターチキンカレーは程よい甘さと辛さが調和した上品な逸品。重くなく、甘ったるさもないので一口食べればそのおいしさにスプーンが止まりません。

プリップリのエビが入ったゴア風エビカレー

エビカレーはカトゥーリ(インドの小皿)で提供。小さな器ですがエビはプリッと大ぶりなものが一尾。スモーキーで酸味のあるグレイビーで、バターチキンとはまた違うベクトルのおいしさ。

ご飯や副菜の大根のアチャールと紫キャベツのマリネも含め、すべてに手抜きなく、真面目で丁寧な仕事がうかがえるワンプレート。

これだけでも十分満足なのですが、その満足感をさらに高めてくれるデザートもあります。「カルダモンのアイスクリーム」300円は間借り時代から人気だったメニュー。カルダモンの甘やかな香りとナッツの食感が良く、暑い季節には特に必須のデザートとなっています。

食後の〆に最高の「カルダモンのアイスクリーム」

昨今流行のスパイスカレーのようにも見えますがそうではなく、古くから存在するインド風カレーの方向性なところに、シェフの経歴も感じさせます。

シェフは学生時代にアルバイトで1年ほど「エリックサウス」の1号店で働きながら、当時一緒に働いていた方々(初期のエリックサウスには今や全国的な人気店となった有名店のシェフが多く働いていました)の仕事を間近で見た後に一旦就職し、会社員をしながらこちらも数多くの有名シェフが学んだキッチンスタジオぺイズリーでインド料理の基礎を習い、インド旅行を経て脱サラの後、今はなき名店「桃の実」で1年3カ月勤務したという経歴の持ち主。コロナ禍を機に間借りカレー店をスタートし、そちらも人気となって今回の独立店舗オープンとなったわけです。

カレーシェフとして輝かしい経歴ですが、中でも特に感じるのは桃の実イズム。徹底的に真面目で丁寧で上品な仕事は、桃の実出身シェフに共通するところ。惜しまれつつ閉店してしまったお店ですが、その意思を受け継ぐ新店がまた生まれたのは桃の実ファンとしても非常にうれしく思います。

三田、田町エリアもカレーの新店が続々と生まれていますが、その中でも要注目のおすすめ店です。

※価格はすべて税込

撮影:カレーおじさん

文:カレーおじさん、食べログマガジン編集部