【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレーとスパイス】2022年1月を振り返る

今月のカレーとスパイスは、立川、高円寺、神田と、JR中央線沿線に新しくできたお店3店舗。そして中央線から繋がる総武線の小岩にある老舗の名店1店鋪。合わせて4店舗のご紹介となりました。ここのところまた感染者数が増えてきていて、飲食店も時短営業せざるを得ないご時世となっていますが、今は人流抑制よりも人数制限が重要と分科会の尾身会長も発言していました。何よりもこの時期はストレスを溜めないことが感染しない為にも重要だと感じています。バランスよくしっかり食べて気持ちよく寝れば免疫力も自然と上がってくるもの。引きこもってばかりいては気持ちも落ち込みます。何かのついでに一人で好きな飲食店に立ち寄って、話もせずに食べたらすぐに帰る。本来は気の置けない友人との会食やお店の方とのお話も楽しいものですが、それはしばらくの間我慢。純粋に食べ物に向き合う時期ととらえて、おいしいものを食べていきたいですね。

【第1週のカレーとスパイス】その旨さに完全KO! 新たなカレー激戦区・立川の注目店がリニューアルオープン「Epice舞」

昔から中央線沿線にはカレーの名店が多い印象があります。御茶ノ水は日本一のカレー激戦区神保町に隣接するエリアであり、荻窪にはミシュランビブグルマン店や大行列店が複数あり、その他にも西荻窪、八王子、高円寺と、それぞれ独自のカレー文化が形成されています。そんな中央線の立川駅がここのところカレーで盛り上がっているのをご存じでしょうか?

立川でカレーと言えば「レインボウスパイス」が有名ですが、そちらと逆サイドの北側に、新進気鋭のカレーの名店が立ち並ぶ「立川新カレー通り」があるのです。今回ご紹介するお店はその立川新カレー通りで間借りカレー店を営み、2021年末にひとつ隣の通りで独立リニューアル移転という形で開店した「Epice舞」です。

見た目からして華やかなスパイスカレーかなと思いきや、食べてみるとまるで違うことに気づくでしょう。カレーとしてのベースはネパール料理。しかし、素朴である意味地味とも言えるネパール料理とはまるで違う華やかさを感じさせる料理の数々。

実はこちらのシェフ、大阪のミシュラン三つ星店として知られる「HAJIME」出身。さらには大阪でもカレーの人気店である「ダルバート食堂」にも一時期いらしたというのですから凄い経歴です。元々はHAJIMEでフレンチやイノベーティブフュージョンを修業していた中でスパイスに魅せられ、ダルバート食堂を経て立川で間借りカレー「野菜と創作Curry舞」を開店。2年弱の営業を経て、この度の開店となったとのこと。

「舞プレート」

看板メニューの「舞プレート」1,300円~1,500円※に「追加カレー」300円~500円をプラス。「ダルバートプレート」1,000円~1,200円※には「スパイシー半熟玉子」150円をトッピングしてオーダーしました。

※ いずれのプレートも選ぶカレーによって価格が変動します。

見るからに華やかな舞プレート。この日のメニューから、スパイシーチキンカレー、下仁田ねぎと里芋のベジタブルカレーをチョイス。ご飯の周りを彩る副菜が非常に個性的で、手が込んでいます。一番目を引くのが17種野菜の炊き合わせ。なかなかカレーやエスニックでは使われないロマネスコや紅芯大根など、それぞれ素材の食感や味が一番引き立つ形に仕込みを変えたものを合わせた料理です。

さらにはスパイスを使用したきんぴらごぼうもあり、この副菜だけでも満足できるレベル。チキンカレーはネパール料理のククラコマスをベースとしたオーセンティックなスタイル。ベジタブルカレーは、ねぎと里芋の食感がたまりません。ダル(豆のスープ)も一緒についてきます。ひとつひとつは引き算の味なのですが、混ぜながら食べて行くとこれが合わさってどんどんおいしさと幸せが重なっていく形。

自家製ヨーグルト

引き算と言ってもひとつを食べただけで十分成立するギリギリのバランスが保たれている素晴らしさ。感動的です。デザートには、黒豆がのった自家製ヨーグルトもついてきて放心状態。凄い!

「ダルバート」

ダルバートには赤みそキーマカレーをチョイス。これがまたおいしい! 赤みその旨みと奥深さがキーマと完璧に調和しています。副菜はダルバート(ネパールの定食)らしくタルカリ(野菜のスパイス炒め煮)、サグ(青菜炒め)、アチャール(スパイス漬物)にダル。これにスパイスカレー的なカレーを合わせるという形は都内でも珍しいです。スパイシー半熟玉子の火入れも完璧でうっとり。

スパイシー半熟玉子

完全にノックアウトされました。ノックアウトのされ方にも色々あるのですが、重いパンチで殴られまくってノックアウトではなく、いつの間にか綺麗に投げ飛ばされ、そのまま流れるように絞め技を喰らって気づいたら落ちていたというようなノックアウトです。スパイスによる力技ではなく、素材を活かした技術と惜しみなくかけた手間暇の勝利。そんな料理でした。夜にはコース料理も準備中とのことでとても気になります。

地元野菜を使うことにもこだわり「スパイスというフィルターを通して地域の食材や文化を発信したい」と語ってくれたシェフ。その姿勢も素晴らしいです。新たに盛り上がりを見せている立川の中でも、代表的と言える名店の誕生。わざわざ行く価値のあるお店ですよ!

※本記事は取材日(2021年1月5日)時点の情報をもとに作成しています。

【第2週のカレーとスパイス】スープカレーとスパイスカレーのいいとこどり! 高円寺カレーに期待の新星現る「カレー処 ニューチェック」

街が持つその独特の雰囲気から「日本のインド」と呼ばれている高円寺。その割にカレーのお店が少ないじゃないかと昔は思っていたのですが、今となっては様々なカレーの名店がひしめき合うカレー激戦区となっています。

激戦区の常ですが、お店の入れ替わりがしばしばあります。良いお店でも様々な事情で閉店や移転を余儀なくされるということも。高円寺カレーの代表的な存在のひとつだった「インド富士子」も水道橋へ移転し、高円寺のカレーファンの嘆く声が聞こえていました。しかしインド富士子があったその場所に、新たなカレーのお店が誕生しました。今回ご紹介する「カレー処 ニューチェック」です。

カレーのジャンルで言えばスープカレー。マスターはスープカレー誕生の地であり激戦区でもある札幌・平岸の「ルッカパイパイ」で修行されたという生粋の札幌スープカレーシェフなのですが、こちらのスープカレーはサラッとしたスープというよりも、シャバッとしたスパイスカレー的な食感であり、ドロッとした感じもあるのでいわゆるスープカレーとしてイメージするものとはかなり違うのが特徴です。

野菜の粒子を感じる舌触りはスープカレーが苦手という方にも違和感なく愛されそうな仕上がり。それでいてスープカレーならではのスープのうま味とスパイスの香りをしっかりと感じるので当然スープカレー好きにも愛される、スープカレーとスパイスカレーのハイブリッド的スープカレーなのです。

「豚野菜」

具材はスープカレーらしく肉と野菜のコンビネーション。「豚野菜」1,300円は大ぶりの豚の角煮にさらに大きくカットされたニンジン、ナス、ピーマンなどスープカレーでおなじみの野菜がたっぷり入ったカレー。

辛さを選べるのですが、辛さLEVEL250が中辛。その上が400ということだったので400でお願いしました。スープカレーは辛めの方が素材の甘味やうま味が引き立つことが多いのですが、この400もまさにそんな辛さ。トロトロの豚も野菜も堪能できました。

「羊」

「羊」1,300円は入っている野菜の種類は少し減るものの、ゴロゴロとたっぷり入ったラム肉のおいしさを存分に味わえる逸品。羊とスパイスって最高に相性が良いと思うのですが、それをこの一皿でも再確認しました。このカレーは特に北海道を感じます。寒い札幌で生まれたスープカレーですから、ちょうど今のように寒い時期に食べるのにぴったりなんですよね。

「ザンギ盛り」

スープカレー以外にも黒板に単品メニューがありました。「ザンギ盛り」450円を注文。ザンギとは北海道流の鶏の唐揚げ。しっかりと下味をつけるのが特徴です。こちらのザンギもしっかりした味でこれだけ食べてもおいしく、スープカレーに入れてまたおいしく、満足度の高いものでした。

元々こちらは高円寺で間借り営業をしていたところからスタートし、昨年11月にこの場所で独立開店した形なのですが、インド富士子で空いた穴を見事に埋めてくれる存在となっています。高円寺のカレーファンはもちろん、スープカレー好きな方は是非一度食べてみてほしい個性豊かな美味カレーですよ!

※本記事は取材日(2021年1月11日)時点の情報をもとに作成しています。