注目のシェフたちがオープンしたイタリアン

小池シェフ就任が話題のイタリアン

5月1日、門前仲町に「オステリア ヴェッキオ スタンポ」が誕生しました。人気店「トラットリア ブカ マッシモ」の系列店ですが、何より話題なのはシェフに小池教之さんが就任したこと。広尾「インカント」を有名にし、四谷三丁目「オステリア デッロ スクード」では、イタリア全20州の郷土料理を3カ月半ごとに提供するという唯一無二のコンセプトで、私が編集する「東京最高のレストラン」でも絶賛されたあの小池シェフです。

おまかせ前菜4皿4,950円は必須オーダーで、その後にパスタやメインを追加する形。2人でワイン1本のルールもありますが(余ったら持ち帰り可)、マニアックな郷土料理が並ぶ前菜4皿で早くも小池ワールドが全開、うれしくなります。絶品の手打ちパスタも堪能できますし、事前予約制ですがキアニーナ牛のフィレンツェ式ビステッカ1キロ29,900円という豪快な一皿も。シェフの料理への愛が溢れる村田ちあきさんのサービスも的確で、さらによくなりそうな期待のイタリアンです。

ミルク豚骨付きロースのオーブン焼き 中世フィレンツェから続くアリスタ

元「リ・カーリカ」シェフの独立店

4月29日、西小山の商店街には「mici(ミチ)」がオープンしました。元「リ・カーリカ」シェフ・伊藤和道さんの独立店で、昭和30年代に建てられた木造の元商店を、梁やゆがみを活かしたまま料理店に仕立てた空間は、活気と温かみに満ちています。子どもから高齢者まで地元の人々が次々と訪れる様子は、まさに昔ながらの商店街ならでは。

素材はできるだけ自家製にしたいからと、パンはもちろん、タラコもアンチョビも手作り。着色していないタラコは色こそ地味ですが「自家製たらこスパゲッティ」にすると最高の一皿に。アンチョビを仕込む過程で生まれた魚醤は、有名な山形「お日さま農園」の野菜を使った「miciサラダ」の調味料やパスタにも活かされています。「イタリアンカツ煮」は冷たいほうが味がはっきりするからと冷製に。自家製サルシッチャは行者ニンニクも入っていて、切ると肉汁が溢れ、まるで餃子のような味わいです。商店街の酒屋でありたいという思いからスタンディングスペースも設け、さまざまな使い方に対応。近年注目のエリアとなっている西小山にまた話題の一軒が加わりました。

自家製たらこスパゲッティ

池袋の住宅街に誕生した驚きの寿司店と、久しぶりの大型本格居酒屋

「イギリス×寿司」の融合

4月25日、池袋と目白の間の住宅街に寿司店「英国鮨(イギリスシ)」が誕生しました。隣がスナックというディープな立地に6席のみ。店主は29歳の前島輝さんで、コースはおつまみ3品、握り10貫、お椀、デザートでなんと5,500円。本業が「寿司屋の仕込み代行」というユニークなビジネスモデルゆえに成立する価格です。

「イギリス×寿司」の融合は本格的で、酢飯にはギネスの黒ビール、「和風フィッシュ&チップス」や光り物にはモルトビネガー、スミイカには王室御用達マルドンの塩と、随所にイギリスが顔を出します。BGMはビートルズ。奇をてらった印象はなく、むしろ味がはっきりしてわかりやすいおいしさになっているのが巧みなところ。なんとも楽しい一軒です。

握り10貫
握り10貫   写真:お店から

和食店のような上質さを持つ居酒屋

4月21日、溜池山王では居酒屋「溜池なかむら」が扉を開けました。「高太郎」「酒井商会」など数多くの名居酒屋店主を輩出してきた中村悌二さん率いる株式会社フェアグランドが、久しぶりに手掛ける新店舗です。

総本山「並木橋なかむら」を思わせる一枚板の長いカウンターが迎えてくれる広い店内には、奥にテーブルと個室も備わります。料理はあえて1人前の提供スタイル。1人客に優しいのはもちろん、複数で来ても、それぞれが好きな料理を自分のペースで楽しめます。鰺フライ、おすすめされた北海道のぼたん海老と食べ進めましたが、魚の質は相当に高い。それゆえか、握り寿司のメニューまでそろっていました。あらゆるニーズの心をくすぐるメニュー構成はさすがの一言。60席以上の規模で、和食店のような上質さを持つ居酒屋は久しぶりです。大人にこそ足を運んでいただきたい一軒と言えましょう。

ぼたん海老

「コートドール」の遺伝子を受け継ぐフレンチと、ベルギー仕込みのビストロ

フレンチ好きがうれしくなる一軒

5月7日、北千住の住宅街に「french bistro Kairos(カイロス)」が誕生しました。5路線が乗り入れる巨大ターミナル・北千住駅から徒歩10分以上、白壁に緑のドアが映える小さな一軒家です。

シェフの荻野真司さんは、昨年2月に惜しまれつつ閉店したフレンチの金字塔「コートドール」にトータルで約10年勤務し、最後の日まで厨房に立ち続けたという人物。ポロシャツに胸当てエプロンというコートドールスタイルのシェフの姿に胸がときめきます。夫妻で営んでいて、カウンター4席、テーブル10席。「冷製季節野菜の蒸し煮コリアンダー風味」「牛のしっぽの赤ワイン煮込み」といったコートドールの名作がある一方、都内唯一の水産物専門中央卸売市場である近所の足立市場から仕入れる鮮魚のポワレも並び、メニュー数は少ないながら、フレンチ好きならうれしくなるラインアップ。ワインはグラス700円から、ボトルも4,000円台からとカジュアルな価格帯で、アラカルトも可。ディナー8,000円、ランチ3,000円のコースもあり、北千住にフレンチを根付かせたいという荻野さんの思いが伝わる一軒です。

牛のしっぽの赤ワイン煮込み

シェフの実力とセンスがキラリ

5月14日、本郷三丁目には「Bistrot 石箱」がオープンしました。店名は箱石和行シェフの苗字を逆さにしたもの。ベルギーの2つ星フレンチ「L'eau vive」で8年間修業しスーシェフまで務め、麻布台ヒルズ「Gallery & Restaurant 舞台裏」でのシェフを経ての独立です。

“ベルギービールとワインとパンと、ビストロ”をキャッチフレーズに掲げ、アラカルトで気軽に楽しめるスタイル。カウンター4席、テーブル8席のコンパクトな空間にお箸まで用意され、親しみやすいシェフのキャラクターもあってほんわかした時間が過ごせます。ベルギービール好きのシェフに相談すると料理にぴったりの一本を選んでくれるのもうれしい。季節野菜のエチュベ、ピーマンのファルシ、鴨もも肉のコンフィといったスタンダードな料理がきちんとおいしい。そこにこそシェフの実力とセンスを感じます。

ピーマンのファルシ