そばはもちろんだが、つゆがうまい

浅草ひら山「せいろ」
「せいろ」。そばを食べ終わるタイミングでそば湯を出してくれるので、熱々を楽しめる。

そばもさることながら秀逸なのが、つけつゆだ。ほのかに椎茸の香りが香る、上品な味わい。基本はかつおと昆布の出汁だが、かつおはそば屋で多く使われる厚削りではなく、薄削りを使っている。そこに、香りづけの椎茸を入れているため、そばつゆでありながらも和食のお出汁の味わいに似た仕上がりになっているのだろう。

そばはおいしくても、つけつゆが好みに合わないと感じたことがある人は、一度試してみてほしいつゆだ。

フレッシュで濃厚。クセになる「木の実つゆ」

浅草ひら山「木の実つゆ」
追加で頼むことができる「木の実つゆ」。ローストしていない木の実を使用しているため、コクがありながらもフレッシュな風味がある。

そしてもうひとつ、この店に来たなら味わっておきたいのが「木の実つゆ」。胡桃とカシューナッツなどの木の実をすりつぶしたつゆで、これが驚くほどうまい。そばに合う木の実のつゆと言えば胡桃だれが多いが、カシューナッツが入ることでコクだけではなく爽やかな風味を出している。さらに、隠し味にピスタチオが入っており、このピスタチオ特有の香りが、ほのかに鼻に抜けていくことで重すぎない後味となっている。

なかなかにクセになる味で、この「木の実つゆ」でそばを食べたいと訪れる客が多いのもうなずける。

一品料理もしっかりと楽しめるそばの店

浅草ひら山
そば粉の違いによって茹で具合も変わるため、繊細な見極めが求められる。

店主の平山さんは、そばの名店「ほそ川」で修業し、この店を開いた。しかし、「ほそ川」の前はアメリカに滞在しており、そこで出会った日本そばに感銘を受けて帰国後、そばの道に入った異色の経歴の持ち主だ。その後、そばだけではなく、一品料理もしっかりしたものを出す店を持ちたいと、「ほそ川」での修業後は日本料理の名店「銀座 小十」で研鑽を積んでいる。
だからこそ、そばと一品料理、どちらも楽しめる店となっているのだろう。

ゆくゆくは、2階もオープン

浅草ひら山 店内
カウンター席5席、中央の6名席のテーブル席のほか、2名席のテーブルが2つある。

店内はそば屋とは思えないモダンな造り。現在はこのフロアしかオープンしていないが、2階、3階があり、ゆくゆくは宴会利用などで上の階を使っていきたいとのこと。
それに合わせて、御膳やコース料理なども展開したいという思いがあるが、オープンしたてのこともあり、まだ構想段階だという。
一人飯にも、宴会利用にも、様々なシーンで活躍する使い勝手の良い店だ。

浅草ひら山 店内
店内で挽いたそば粉を使い、毎日打ちたてのそばを提供している。

【本日のお会計】
■食事
・玉子焼き 1,000円
・合鴨ロース煮と芽山葵和え 1,400円
・白海老のかき揚げ 1,200円
・せいろ 900円×2
・木の実つゆ 300円×2
合計 6,000円

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2021年11月29日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:岡崎たかこ(grooo)
撮影:玉川博之