〈今夜の自腹飯〉

予算内でおいしいものが食べたい!
食材の高騰などで、外食の価格は年々あがっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで「おいしいものを食べたいとき」に使える、ハイコスパなお店とは?

早くもリピーターが増えている「浅草 ひら山」

浅草ひら山
東京メトロ銀座線「田原町駅」から徒歩2分、東本願寺のすぐ近くにオープン。

今宵はちょっとおそばでも。とはいえそれだけでは少し口寂しい気もする。そんなときにうれしいのが、つまみもおいしいそば屋だ。江戸っ子のそばの食べ方は、いわゆる「そば前」といわれるつまみをサクッと食べて酒を飲み、〆にそばを食べて長居をせずに切り上げる食べ方だが、「ひら山」ならじっくり食べてそばを楽しむことも、気軽にそばだけ食べていくこともできる。

値段も手ごろで、まさに自腹で食べるのにちょうどいい店と言える。

そば前で楽しむ、絶品のつまみ料理

ぷるぷる食感の「玉子焼き」。かけそばの出汁つゆが入っているのがポイント。写真は撮影用にカット済み。

そば前といえば、やはり玉子焼きは外せない。同店の玉子焼きは、かけそばの出汁つゆが入ったやさしい味わいだ。

丁寧に焼き上げられた玉子焼きは、ふわふわというよりはプルプルとした弾力があり、食べ応えがある一品となっている。

浅草ひら山「合鴨ロース煮と芽山葵和え」
「合鴨ロース煮と芽山葵和え」。時間をかけてじっくりと味をしみこませている。

もうひとつ、そばの前に楽しんでおきたいのが、人気の一品料理の「合鴨ロース煮と芽山葵和え」だ。合鴨ロースの塊を煮汁につけてじっくりと蒸し煮にしたもので、そこに、やわらかな辛味のある山葵の芽の部分を和えている。ほどよい辛味と、鴨ならではの甘みのある脂とが、絶妙なバランスを生み出している。

「本日のそばはどこ産のもの?」。店主こだわりのそばたち

浅草ひら山「本日のそば」
この日は群馬産のそば。わずかに緑がかっていて、さっぱりとした風味。

お腹が程よくこなれたら、いよいよメインのそばだろう。同店は十割そばで、その日の朝に粉を挽いた打ちたてのもの。少しでも新鮮なそばを食べてほしいと、店主の平山さんが毎日店で打っている。

それでいて、そばの種類を複数種類揃えているというから驚きだ。同店では現在、群馬産、北海道産、埼玉の三芳産などを扱っており、できる限り2種類のそばを用意するようにしているという。そばのお代わりの注文が入ったら、2枚目は別の産地のそばを出すので、そば粉による違いを楽しんでほしいとのことだ。

一口すすると挽きたて、打ちたてのそばの豊かな香りが広がる。ほど良いコシで歯ごたえが良く、そばの味を存分に味わうことができる。

浅草ひら山「天せいろ(白海老かき揚げ)」
「白海老かき揚げ」と「せいろ」。この日のかき揚げには、フキノトウがついていた。

シンプルにそばを楽しむのもいいが、白海老のかき揚げを合わせると満足度も高まる。白海老は、平山さんの父親が石川県にいるため、そのつてで仕入れている上質なものだ。薄衣でさっくりとした食感のかき揚げで、たっぷり入った白海老の風味が堪能できる。