〈食べログ3.5以下のうまい店〉 

食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。

食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。

点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

そこで、グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくないとっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、飲食店取材歴20年以上のライター森下右子が、近年再注目されている“町中華”から、女性や一人客も気軽に利用しやすいネオスタイル店を紹介!

教えてくれる人

森下右子
出版社勤務、編集プロダクション設立を経て2010年にフリーランスに。グルメ全般が得意なライターとして、情報誌や飲食店経営者向け専門誌、グルメサイトなど、雑誌とWebを中心に取材・執筆活動を行う。20年以上の飲食店取材歴から、リサーチャーとしての依頼も多い。趣味は実益を兼ねた食べ・飲み歩き。

ネオスタイルの個性が光る「町中華 ちゃうちゃう」

錦通沿いに店を構える。一人客や女性客を意識して、外から店内の様子が見えるよう配慮した

明確な定義こそないものの“地域に根ざして昔から続いている町の中華料理店”という意味合いが強い町中華。その存在は再注目され、今では全国各地で“町中華ブーム”が起こっている。

この現象を背景に、新しいスタイルの町中華を目指している「町中華 ちゃうちゃう」は、個性的な飲食店を展開する「かぶらやグループ」の新ブランド。かつて同名の中華料理店を経営していたこともあり、古き良き町中華の趣に、時代に合わせた風を吹き込んだ新旧融合のスタイルだ。食べログでの点数は3.27だが、老若男女が集いやすい雰囲気で人気を集めている。

※点数は2021年12月時点のものです。

フラリと立ち寄り、サクッと飲み食い。町中華の醍醐味を体感

カウンターとテーブル席を用意した店内。オープンな厨房の雰囲気が客席でも感じられる
餃子を焼き上げる音や湯気、香ばしい匂いが食欲を刺激する

たっぷりの油で何かを揚げる音、鉄鍋を振る音、突如立ち上る大量の湯気……。店に入った瞬間から魅了される町中華の魅力は、きっとこんなところにもあるのだろう。ここ「町中華 ちゃうちゃう」は、“一人でも気軽に立ち寄れる大衆中華”をコンセプトに2020年8月オープン。1周年を経て、より使い勝手の良い店になるべく、最近メニューをリニューアルしたばかり。

と言っても、中華料理が軸なのはそのままで、たまにチラホラ「こ、これは!?」と目を引くメニューがラインアップしているのも以前と変わらない。定番の中華料理に気軽さやオリジナリティを加えることで、食事から飲みまでのニーズを満たしているので、0次会や飲んだ後のシメ利用など、多様な時間帯で使える。

店を切り盛りする料理長の久保幸市さん(左)と、スタッフの長江翔太さん(右)
 

森下右子さん

第一印象が「なんておいしい料理を作りそうな人たちだろう」となった料理長とスタッフのお二人。とても気さくな方たちので、忙しそうでなければオススメのメニューを聞いてみるのも楽しいかも。注文が入ると手際よく次々料理を仕上げていく姿は、もはや食いしん坊のためのエンタメです

ここはおしゃれなカフェですか? と聞きたくなるインテリア

店内はカウンター席とテーブル席のワンフロア。通常営業では20席に満たない店内だが、オープンなテーブル席以外に、少し奥まったベンチシートのテーブル席もあるので、少人数グループでも利用がしやすい。

ただ、白壁や何やらオシャレな椅子、老舗町中華ではおおよそ見かけないランプシェードなど、インテリアにどうしても注目してしまう。卓上に割り箸やコショウがなければ、カフェと言われても疑わないほど町中華“らしくない”のだ。これは、女性の一人客でも気軽に利用できるよう配慮した結果とのこと。

中国の街並みがフォトフレームに入れて飾られている店内の一角。ここだけ見るとおしゃれなカフェのよう
ハワイにあるカフェやレストランをイメージしたインテリアで、女性でも臆せず入りやすい雰囲気に