人気過ぎて予約・入れ替え制導入中の立ち食い寿司屋

寿司ブルペン 外観
一見、寿司店とはわからない、洒落ていて遊び心がある看板。

戸越銀座駅から徒歩10分ほどと決して駅近ではないながら、口コミで人気となり、オープンからわずか1ヶ月で行列ができる店となった「ブルペン」。高級寿司店として人気の「りんだ」「らんまる」の姉妹店で、立ち食いではお目にかかれないのでは?というレベルの寿司を楽しむことができる。

行列店となったことから現在は予約制を導入。午前3部、午後3部の1時間入れ替え制で営業している。

「ブルペン」の店名は野球用語からつけられている。「りんだ」「らんまる」で修業している若手寿司職人が、本店の板場に立つ前に経験の場を用意し、活躍してほしいという思いから、投手が登板前に投球練習をする「ブルペン」と名づけた。

コースの最初はマグロの中トロ。トップバッターとなる実力者

寿司ブルペン
立ち食いスタイルでコストを抑えることで、質の良いネタを提供している。

ブルペンのメニューは、基本は2つのコースから選ぶ。手ごろな「ブルペンおまかせ」(4,000円)と、ネタのランクが上がった「ダンクおまかせ」(7,000円)だ。どちらのコースも11貫(+お椀)が提供され、コース終了後、時間があれば他のネタもお好みで追加ができる。

最初はふらりと訪れて、気軽に数貫つまんで帰るといった利用も想定していたが、予約制となったことで現在はコースに切り替えた。

ちなみに「ダンク」は、若手起用の試みの「先発」を任された店長・佐々木男駆(だんく)さんの名前に由来している。

寿司ブルペン マグロ中トロ
包丁を入れることでマグロの味を高めている。写真は「ダンクおまかせ」の中トロ。

そしてコースの最初、打撃順になぞらえた「トップバッター」はどちらのコースも中トロだ。野球では、高い確率で塁に出ることを期待される1番バッターは実力者が揃っている。そこを担うネタとして、同店自慢のマグロが登場する。豊洲にある人気のマグロ専門仲卸「やま幸」から仕入れた一品だ。

もちろん、「ブルペンおまかせ」と「ダンクおまかせ」ではネタのランクが違う。一言で中トロと言っても部位によって味わいが異なることから、「ダンクおまかせ」では、より高級な部位を味わうことができる。

一つひとつのネタに、繊細な仕事が光る寿司たち

寿司ブルペン
鹿児島・出水の鯵。ほど良い脂とその甘みが赤酢のシャリと合っている。

コースに登場するネタは、その日の仕入れによって異なるうえ、1時間ごとに入れ替える1部や2部、午前と午後などで変化していくこともある。

この日、「ブルペンおまかせ」でマグロの次に提供されたのは、鹿児島・出水の鯵だった。甘みののった鯵の脂に、にんにく、生姜、ネギの薬味がアクセントを加えている。

次に出てきたハタは、仕入れた状態によって食感や食味が変わっていく魚だ。仕入れたばかりの若い状態であれば皮面を炙って提供するほか、真空にして寝かしてうまみを全体に行き渡らせたものを提供することもある。「ハタは店で育てて、なんぼなんです」と、職人としての仕事を楽しんでいることが伝わる。一口で頬張ると、まろやかな旨みが口内に広がる一品だ。

満足感ある「ブルペンおまかせ」

寿司ブルペン
「ブルペンおまかせ」の一部。ネタは仕入状況や、客のリピート回数などによっても変わっていく。

その後、赤カマスやイカ、北寄貝、マグロの赤身づけなどが登場。ブリやカツオが入ることもあり、最後に穴子と玉子で終了となる。

赤カマスは備長炭で表面を炙り、香ばしさとふんわりとした食感に思わず唸ってしまう。北寄貝も軽く炙って上品な甘さを引き出し、七味をかけることでより甘みが強調されていた。鼻に抜ける七味の香りもいい。