4,000円と7,000円のコース。どちらを選ぶ?

寿司ブルペン
「ダンクおまかせ」で提供されるマグロ中トロ(左)と車海老(右)。カワハギ(中央)は追加注文で提供していただいた。

「ブルペンおまかせ」でも非常に満足感が高いが、せっかくならば「ダンクおまかせ」がおすすめだ。すべてのネタにおいて、ランクが上がるのはもちろん、提供されるネタも白身なら鯛やクエなど、より高級な魚になる。トータルで見れば、一般的な寿司屋で7,000円で食せるネタ以上のものが楽しめるのだから、満足感も大きいだろう。

例えば「ブルペンおまかせ」の人気のネタである車海老。上質な車海老を炊いて、芝海老のおぼろとワサビを添えた手間がかかった一品で、海老の弾力と甘み、香りが楽しめる。

同じネタでも同じ味わいにはならないから、もう一貫が楽しい

寿司ブルペン カワハギ
追加でお願いしたカワハギは、備長炭で軽く炙った肝付き。

追加の寿司をお願いしたい場合は、穴子に差し掛かる前に声をかけてもらえるのでその時に注文する。お腹の具合を確かめながら、いっぱいになってしまうようならシャリを少なめにしてもらうことも可能だ。

もちろん、コースで一度食べたネタを再度おかわりしてもOK。しかも、佐々木さんのこだわりとして、同じネタをまったく同じ状態で出すことはない。添える薬味が変わったり、最初に炙っていなければ軽く炙ってみたり。マグロも仕入れ状況によって異なるが、大間産と八戸産がある日で最初に大間産を出したなら、次は八戸産にするなど。同じネタを食べても、さらに異なる味わいを楽しむことができる。

魚屋の孫だから、魚をおいしく食べてもらいたい

寿司ブルペン 佐々木さん
それぞれの魚のおいしさを引き出していく佐々木さん。

店長の佐々木さんは、弱冠25歳の若手職人。祖父が魚屋を営んでいたため、幼いころから魚が好きだったという。魚のおいしさを最大限に表現できる寿司に興味はあったが、まずは和食をきちんと学びたいと料理屋で修業し、その後、「りんだ」で寿司職人として経験を積んできた。

それだけに魚への愛情も深い。その魚を最もおいしく食べてもらうためには、どんな仕事を施せばいいのか。常に考え、「同じ魚でも、こんな味わいが違うんだ」と感じてほしいと細やかに配慮する。寿司の技巧だけではなく、和食の調理方法なども活用しているのだから、客にとっても記憶にある魚以上の味わいや食感で寿司が楽しめるのだろう。

寿司ブルペン
店長の佐々木男駆さん(右)と運営の森学人さん(左)。2人とも20代半ばの若手だ。

魚屋の孫として、今後、使ってみたい魚はあるものの、今はまだ、寿司ネタとして確立されている魚をさらに深掘りしていきたいと語る佐々木さん。

一つのコースの中でも同じ味わいがないのだから、通うたびに新しい味との出会いがある。オープンからわずか2ヶ月ですでに何回も訪れているリピーターも多いのも頷けるというもの。そして、これから経験をどんどん積んでいく、若手職人たちを見守っていきたい店だ。

※価格はすべて税込。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2021年11月22日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:岡崎たかこ(grooo)
撮影:松村宇洋