閑静な住宅地に行列店が神楽坂からお引越し

こだわりのコーヒーとスイーツで表参道、代官山、神楽坂へと移転するごとにファンを拡大してきた「珈琲日記」が本店リニューアルに伴い、支店1号店となる四谷三丁目へお引越ししました。グランドオープンはちょうど新型コロナが猛威をふるっていた6月。喫茶店としては異例とも言える、完全事前予約制、都内限定で2名まで、滞在時間は90分まで、身分証提出、小学生以下はご遠慮いただくなど、かなり厳しく律していました。

四谷三丁目から徒歩8分ほど

緊急事態宣言が明けてからは少しずつ緩和し、ようやく、一部の席でフリー客も入れるように。すべてはお客さまの笑顔のため。おいしい!と笑顔になって、また笑顔でお店に戻ってきてもらえるように感染対策を徹底しているのです。

苦手なものだからおいしく作れる!

ところでコーヒーのおいしいお店はたくさんあるのにどうしてこんなに人気なのでしょうか。店主の小林正哉さんに伺いました。

「私はもともと紅茶専門だったんです。どちらかと言うとコーヒーは苦手で、おまけに猫舌だから熱いのも苦手。だから何とかして冷めてもおいしいコーヒーを作れないかと原産地まで行って研究したり、化学を勉強したりしながら焙煎を究めました。失敗を重ねながらもコーヒーを苦手な自分がおいしいと思えるものを淹れることができるようになりました。

コーヒーの何が嫌いかとお客さまに伺うと、ほとんどは酸味とおっしゃる。だからフルーティーなフレーバーを中心にした豆を芯までしっかり熱を入れて、苦味と酸味のバランスがちょうど良く取れたところで焙煎を止め、浅煎りでも酸味が優しくなるようにしています」

33年もの間、コーヒーと向き合ってきた店主、小林正哉さん

カップによっても味の感じ方が変わるため、浅煎りと深煎りでそれぞれ形状と厚みの違うカップを使うというこだわりよう。

またコーヒーのメニューには銘柄ごとに浅煎りか深煎り、酸味、苦味の他におすすめのペアリングが記載されているのにも驚きます。例えば「珈琲日記のティラミス」はコーヒーなら深煎りのブラジルやコロンビア、紅茶はイングリッシュミルクティーがベストだそう。実際に試してみると浅煎りは酸がより際立ってしまい、深煎りだとすべてが調和してまろやかに感じました。こんなにも違うのかとペアリングの妙に感動します。

可愛くて写真を撮らずにはいられない「珈琲日記のティラミス」(1,100円)は事前予約制。2021年は12月5日(日)まで

しかし聞けばティラミスも小林さんは苦手だったそう。「スポンジがべちゃべちゃしたのがどうにもダメで、だいたいエスプレッソの苦味はコーヒーの苦味と喧嘩してしまうので合わないんです」と。そうしてできたのがこのおいしすぎるティラミスです。

ココアパウダーは苦みが程よくチョコレート感があるヴァローナ社のものを使用しており、生クリームはティラミス専用のオリジナルレシピ。オレンジコーヒーシロップが染み込んだチョコスポンジの間にはドリップした特別なコーヒーで十勝産小豆を炊いて作った“コーヒー餡子”と生クリームを和えた「つぶあん生クリーム」。その上にはマスカルポーネチーズと「那須御養卵」を使ったパータボンブ(卵黄クリーム)を合わせた自家製ティラミスクリーム。中には甘味ゼロのコーヒーゼリーが隠れています。ココアパウダー以外はすべて自家製。深煎りコーヒーとの相性は完璧です!