食感と風味きわだつバターロール専門店がオープン

コロンと丸い形のバターロールは大人も子どもも大好きなパン。このバターロールに特化した専門店「パーカーハウスバターロール」が2021年11月、茅場町にオープンした。

丸くきれいにロールされた正統派ビジュアルのバターロール

バターロールはスーパーやコンビニでも売られている身近な存在だが、パンを作る水からこだわったパンは、今までのイメージを一新するようなおいしさ。

外はカリッと、中はしっとりモチッと、バターがジュワッとにじむ。シルキーでなめらかな口溶けはやみつきになるおいしさがある。この新しいおいしさが評判を呼び、早くも行列ができる人気店となっている。

オフィス街に現れた、まるでブルックリンにあるようなベーカリー

東京メトロ「茅場町」駅から徒歩2分。オフィスビルが並ぶビジネス街の中、運河沿いに立つ「GEMS茅場町」1階に「パーカーハウスバターロール」はオープンした。

黒いフレームに前面がガラス張りになった外観がモダンで、ニューヨークの街角にあるオシャレなベーカリーのようだ。

購入はトングを持って、好きなパンをトレイに入れるスタイル

店内に入ると焼きたてパンの香りが満ちていて、一気に幸せ気分。カウンターにズラリと並べられたパンは約10種類。 バターロール は「プレーン」「レーズン」「メロンパン」の3種類、その他にカラフルな惣菜パンが並んでいる。

店奥にテーブル9卓24席、テラスに3卓8席ほどのイートインスペースがある。セルフ形式のドリンクやスープのメニューもあり、焼きたてのパンと一緒に購入して食べることができる。

コーヒー豆はイタリアの老舗コーヒーロースター「ボンドルフィボンカフェ」のものを使用。本格的なコクのあるヨーロッパタイプのコーヒーも風味豊かなパンにピッタリだ。

運河側にはガーデン風のテラス席も2席ある。天気の良い日にはゆっくりとランチやティータイムを楽しめそうだ。

目指したのは“究極のバターロール”

厨房はカウンターのすぐ後ろにある。その場で作る焼きたてホカホカのパンが次々と並べられていく

パン業界は未経験という三澤零さん、八木英治さん、石井雄太さん3人のスタッフ。とにかく彼らのバターロールへの本気ぶりがすごい。

まずこだわったのは水だ。パンは小麦粉の次に水を多く使うが、同店では島根県金城の地下水を原水とした純天然アルカリイオン水を使用。アルカリイオン水は小麦の旨さを引き出すが、パンの成形が難しく、一般的にパンには向かないと言われてきた。

これを解決するために、さまざまな小麦粉を取り寄せ、試行錯誤を繰り返したのだとか。たどり着いたのが、小麦の中心部のみを使用したというカナダ産最高級クラスの小麦粉だ。

レーズンバターロールの成形中。この成形の前に下準備の成形がいるなど工程数が多く、手間暇がかかる

カナダ産の小麦とアルカリイオン水で作った生地に、さらに香りや味わいを高める熟成させた発酵種と、小麦のモッチリ感と甘みを引き出す北海道小麦の湯種をブレンド。小麦の香り高い、見た目もふっくらしたバターロールを作り上げた。

カリッとした皮にも秘密がある。国産有塩バターを巻き込んでロール形に成形するが、オーブンで焼いているときにバターがじんわり外に溢れるように工夫している。溢れ出たバターでパンの底がさらにこんがり焼けるというわけだ。

「パーカーハウスバターロール」のこだわりは、まだまだ続く。バターロールは冷めてくると、どうしても硬くボソボソしてくる。これはバターによるものなのだとか。同店ではしっとりの食感が焼いた次の日も楽しめるように、生地に太白ゴマ油とトレハロースもブレンド。翌日の朝ごはんにもおいしく食べることができる。