定食王が今日も行く!
レストランから指名が絶えない秘伝の鯖を原宿で!
ザ グレイトバーガー初の和食店で
日本各地の美味い名産、特産定食を
明治神宮前の人気バーガーレストラン「ザ グレートバーガー」をはじめ、「グッドタウンドーナツ」「サンフランシスコピークス」など、数々の人気アメリカンフード店を手がける車田篤さんが、新たな店をオープンした。それがなんと定食屋だというから驚いた。「ザ グレートバーガー」からほど近い、キャットストリート裏の閑静な一角に「ザ テイショクショップ」はある。
「日本のことが大好きなアメリカ人がやっているちょっと風変わりな和食屋」をコンセプトにして、日本全国から厳選した食材で、オーソドックスな和食と日本酒、焼酎、ビールなどを一緒に楽しむことができる店を目指しているそうだ。日本各地にあるすばらしい食材を、原宿にいる若者や外国人にも提供し、地域活性化や食物の持続可能性につなげたいという思いが込められている。
店内の細部にもこだわっており、ショップロゴはファッションブランドを多く手がけるアートディレクターの正田啓介さんがデザイン。店名が印刷された壁紙もオリジナルのものを採用している。日本各地から集めた民芸品が店内を彩る。虎ノ門ヒルズアンダーズ東京の壁面などを手がける永田哲也さんの「和菓紙三昧」の作品も壁に飾られており、日本のさまざまな側面が凝縮された楽しい空間だ。
パリパリ!ふっくら!じゅわ!
ピザ用石窯で焼く「もの凄い鯖」
通常の定食メニューに加え、日替わりの定食メニューが3、4品あり、どれもオーソドックスで魅力的なため迷ってしまう。しかし一番手を飾るのは今、注目の越田商店が手がける「もの凄い鯖」の定食だ。銚子港近くにある老舗による、45年続く文化干しをピザなどで使われる石窯で焼き上げた逸品だ。
この鯖が実に旨い。石窯で四方八方から火入れした鯖は、干物と思えないほどふっくらした身に、パリパリの皮、溢れ出すさっぱりとした脂と完璧な仕上がり。調味料なしで焼きあげられた、その塩気や旨味のバランスこそ、「もの凄い鯖」の実力なのだ。数々のレストランに、「この鯖がなくては困る!」と言わしめた味に舌鼓を打つ。
「もの凄い鯖」は実は日本産ではない。サステナブルな漁業体制を確立したノルウェー産の大西洋サバを使用している。現在の日本では、この普通に美味い鯖を継続的に入手することが困難になってきているという。
すべての鯖は、手作業で三枚におろされ、秘伝のつけ汁に漬けこんだあと、天日干しして作られる。45年間変えていないこの秘伝のつけ汁こそ、この「もの凄い鯖」の旨さの秘密がある。元の原料は塩と水のみで、漬け続けることで鯖のエキスや骨髄がしみ出し熟成されたそう。このつけ汁からは、日本では通常見られない珍しい発酵菌が発見されており、医学分野での活用を見越して製薬会社などからも研究対象になっているという、「ものすごい鯖」なのだ。いつかこの鯖が世界を救うかもしれない。
キラキラ米、白い卵、大粒納豆
こだわり抜いた小鉢を堪能せよ
この店のこだわりは鯖だけではない。お米は岩手県盛岡市、佐々木浩之さんのひとめぼれをお店で精米しているそうだ。ちなみに十六穀米にも変更できる。厨房を覗き込んだところ、業務用の大量炊飯ではできないこの品質は、家庭用の高機能炊飯器でこまめに炊き上げたものだった。もちろん、無料でおかわりもできる。
こんなうまい銀シャリには、こんな追加トッピングもおすすめしたい。まずは北海道の小林農園の平飼い自然卵。市販の配合飼料や薬剤も使わず、緑餌で育った鶏の卵の黄身は白い! 米を食べて育った鶏の卵はオレンジに育つが、必ずしも味が濃厚というわけではない。出汁醤油をかけて食べるTKG(卵かけご飯)は、まろやかで上品な味わいだ。
そして、その粒のハリ感が噛めば噛むほどクセになる、宮崎県産の高千穂納豆。厳選した大豆に霧島の天然水を吸わせて、大釜でふっくら炊き上げた大豆は、ホクホクでハリがあり、噛むたびにその甘みや、旨味、粘りが増し、じゅわーっと口の中に広がる。ゴツゴツしたその食感は、クセになるおいしさだ。それ以外にも、追加の単品には大和とろろやいくらがあり、セットでついてくるしじみ汁にも圧倒される。「もの凄い鯖」だけでなく、他にも日本全国から白飯に合うおかずが厳選されている。まさに「THE TEISYOKU SHOP」は定食のワンダーランドだ。自分ならではの組み合わせで、最高の定食を完成させてみてはいかがだろうか。