風味豊かなおでん出汁を活用した〆のご飯
![「おでん屋 平ちゃん」〆のご飯](https://magazine.tabelog.com/uploads/2021/08/IMG_3428.jpg)
〆のご飯は、季節によって変化し、ランチとディナーで異なる。この日、紹介されたのはランチのご飯で人気だという、おでん出汁を使った「鯛茶漬け」だった。
甘みのある鯛にコクのあるごまだれがからみ、深い味わいを出している。最初の数口は鯛とご飯で食べ、残した数枚の切り身はご飯の上へ。そこにシンプルなおでん出汁をかけた出汁茶漬けは、さらりと食べることができてしまう。
![「おでん屋 平ちゃん」〆のご飯](https://magazine.tabelog.com/uploads/2021/08/IMG_3442.jpg)
同店ではサスティナブルの取り組みにも積極的だ。鯛茶漬けで使用する鯛は、環境負荷に配慮した漁業者や養殖場に与えられる国際的な制度であるASC認証を受けた愛媛県の真鯛。さらには「平ちゃん」自身もASC認証の水産物を扱うために必要なCoC認証を取得し、SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)に取り組んでいる。
この取り組みは同店の成り立ちにも関係しており、ラペで関わってきた生産者たちの食材を少しでも多く定期的に活用していきたいという思いから、飲食店にとって厳しい時期ながらもオープンを決意したそうだ。
なお、ディナーの「〆のご飯」も季節によって異なるが、同じくおでん出汁を使った土鍋ご飯などだ。夏場はタコを一緒に炊き込み、鮮やかな食べられる花・エディブルフラワーを散らしたご飯だったが、秋になればキノコなど季節のご飯を。そしてゆくゆくはおでんのラーメンやハンバーガーなど自由な発想で〆の食事を展開していきたいという。
コースの感動を締めくくる満足度の高いデザート
![「おでん屋 平ちゃん」デザート](https://magazine.tabelog.com/uploads/2021/08/IMG_3456.jpg)
コースの最後を彩るのはデザート。松本シェフ曰く「和食のコースのデザートはフルーツなどシンプルなものが多いのですが、やはりフレンチ出身としてはデザートにも満足感を持ってほしい」とのこと。
確かにラペはデザートにも力を入れている。ただ、そのままフレンチのデザートを取り入れては同じになってしまうため、「平ちゃん」ではラペでも人気の「韃靼そば茶のブラマンジェ」の他、旬のフルーツを使った「平ちゃん特製 季節のフルーツパフェ」を用意している。
秋からはシャインマスカットがふんだんに使われたパフェが登場する。バニラのムースの上にシャインマスカットをのせ、ヨーグルトのブラマンジェ、白ブドウジュースのジュレ、木の芽のソルベなどが層を成す。上にあるのはサクッとした食感を演出するメレンゲと、ペルノー酒というお酒で作ったぷるぷるとしたシートだ。一つひとつの完成度が高く、大満足のデザートとなっている。
若きシェフの新たな活躍の場に
![「おでん屋 平ちゃん」のシェフ根内氏](https://magazine.tabelog.com/uploads/2021/08/IMG_3491.jpg)
「おでん屋 平ちゃん」は、松本シェフの実家がかつて営んでいたおでん割烹を元にスタートしたが、厨房で腕をふるうのは、ラペのオープン時から松本シェフを支えてきた根内大和シェフだ。ホテルの料理人出身ということから和食の経験があり、フレンチのエッセンスが香る和食にぴったりの人材だろう。根内シェフ本人は「かなり和食に寄っていると思っている」と言うが、培われたフレンチのセンスが至る所で絶妙なアクセントとなり、庶民的なおでんをコース料理に仕立て上げている。
松本シェフの「若いスタッフに活躍の場を設けたかった」との言葉通り、脇を固めるスタッフも若手が揃っている。メニューに関しても春巻きやつみれなどはイベント時からのものだが、スルメイカなどは根内シェフのアイデアによるものだ。
オープンしてから数ヶ月。現在はラペのイベント時を彷彿させるメニューもあえて出しているが、今後はさらに若い感性による新たなおでんと、おでんを進化させた料理が次々と登場してくるに違いない。
※価格はすべてサービス料・税込。