「食べログ 中国料理 TOKYO 百名店 2021」「食べログ 中国料理 EAST 百名店 2021」「食べログ 中国料理 WEST 百名店 2021」が発表された。本稿では、百名店選出店をベースに、フードライターの森脇慶子さんに「中国料理の今」を解説してもらった。
教えてくれる人
森脇慶子
「dancyu」や女性誌、グルメサイトなどで広く活躍するフードライター。感動の一皿との出合いを求めて、取材はもちろんプライベートでも食べ歩きを欠かさない。特に食指が動く料理はスープ。著書に「東京最高のレストラン(共著)」(ぴあ)、「行列レストランのまかないレシピ」(ぴあ)ほか。
百花繚乱状態。多様化する中国料理店
今、食のジャンル全般において共通して言える流れをあげるとすれば、それは“多様化”だろう。中国料理も然りだ。
広尾「茶禅華」や外苑前「慈華」、白金台「ShinoiS」等々に代表されるモダンチャイニーズの高級店や、白金高輪「蓮香」、四谷三丁目「南方中華料理 南三」、代々木上原「マツシマ」など2016~2017年に次々と頭角を現したマニアック系中華。
そして、中国東北地方の羊料理に特化した御徒町「羊香味坊」や湖南料理を提供する銀座「珞珈壹號」といったレアな地方料理にシフトした店もあれば、六本木「虎峰」のようにフレンチなど他ジャンルの食材や手法を取り入れたイノヴェーティヴ系まで、まさに百花繚乱状態と言ってもいいだろう。
20〜30年ほど前までは斬新だったカウンター中華や、フランス料理の如く一皿ひと皿を一人前ずつ提供するスタイルも、最近ではすっかり定着。今となっては、もはや大皿中華の方が稀少的存在かもしれない。