久しぶりに登場したイタリアンの注目店

手当ても焼き加減も完璧なステーキは必食

ここのところ話題の店が少なかったイタリアンですが10月29日、注目したいお店「ムレーナ」がオープンしました。最寄り駅は三越前とはいえ、場所はかつて薬問屋が軒を連ね、今も製薬会社が多くある界隈。夜の人口は少なく、飲食街とは言い難いエリアです。お店も、もともとは飲食店のセントラルキッチンだったという物件で、厨房に4、5席程度のL字形カウンターという簡素な内装。

それでいながら料理が抜群にうまく、シェフが華麗な経歴かつ、人好きのする性格というギャップが魅力です。42歳の溝口真哉シェフは「アカーチェ」「フィオッキ」、サローネグループなどを経て、渡伊。帰国後に、滋賀の有名精肉店「サカエヤ」のレストラン「セジール」のシェフを務めていました。

十勝若牛のステーキ 写真:溝口智彦

料理はイタリアの郷土料理から手打ちパスタ、そして多くのシェフが熱望するサカエヤで手当てされた牛肉のステーキまで、シンプルながら味のポイントが明確で唸る味。会話は弾み、お酒が進みます。まだまだ手探り状態とのことなので、どうブレイクしていくのか、しばらく目が離せそうにありません。

10種類揃うパスタが魅力

神泉には11月1日、「ess.(エス)」がオープンです。旧山手通りから1本入った地下。かつては中華「文琳」があった場所といえば、キャリアの長いグルマンの方ならおわかりかと思います。

店内は長いカウンターが伸び、オープンキッチンの贅沢な空間。ほかにテーブル席が6席。シェフは「イル・テアトリーノ・ダ・サローネ」のツインシェフだった北野敏晴さんと山口智也さんで、サービスも含め、全員がサローネグループ出身。それだけに安定感は抜群です。

サルデーニャ産カラスミと白葱のアーリオオーリオ 撮影:大木淳夫

料理はアラカルト中心で、なんといっても10種あるパスタが魅力的。「サルデーニャ産カラスミと白葱のアーリオオーリオ」と「自家製黒毛和牛パンチェッタのカルボナーラ」をオーダーしましたが、どちらも高レベル。食べ慣れた大人が集うようなお店になればいいですね。

イタリアンクレープとナチュラルワインの店

10月31日、代々木八幡にオープンした「stelo」も気持ちのいいお店でした。店内にはなんと木が植えられていて、全体のセンスの良いシンプルな内装と相まってホッとさせてくれます。

特徴はイタリアンクレープことクレスペッレをメインに打ち出していること。ほうれん草を練りこんだ生地の「自家製ツナとグリルナス サラダ仕立て」は、もう一つのウリであるナチュラルワインとの相性がとてもよく、全体のコンセプトがしっかりしていることがわかります。クレープはデザートも含め6種あるので、楽しく悩んでみてください。

クレープ 自家製ツナとグリルナス サラダ仕立て
クレープ 自家製ツナとグリルナス サラダ仕立て   写真:お店から

中国料理の勢いは止まらず。カジュアルな価格で楽しめる2店

新たな手土産に「焼き豚饅」

中華は相変わらず元気です。11月12日、飲食業界の有名人・中島武社長率いる際コーポレーションが、三田に中国屋台料理「虎記 田町」をオープンしました。

次々と新しい提案を繰り出す中島さんが今回仕掛けたのは豚饅頭。蒸しだけではなく「焼き豚饅」もあって、これがおいしい。テイクアウトもできるので、新たな手土産としても注目されそうです。

焼き豚饅 撮影:大木淳夫

塩茹で肉や麻婆豆腐は、肉の種類が選べるし、「本場四川担担麺」をはじめ、麺飯類も充実。しかもこのグループのいいところなのですが、クオリティの割に値段は控えめです。こんなお店が近所にあったら最高なので、ぜひ多店舗展開していただきたいところです。

通いたくなる、幡ヶ谷の中華

10月11日、 幡ヶ谷にオープンした「yum」も通いたくなるお店です。

まずオーダーした「yumのラム焼餃子」が素晴らしい味で、いきなり心を掴まれました。ラム肉とドライトマトとのことですが、噛むとうまみのジュースが口中を満たします。

有名店出身の点心師である西原みのりさんの腕は確かで、自由が丘「起率礼」の井上史子さんといい、最近の女性シェフの活躍は注目です。柔らかな接客で心をほぐしてくれるソムリエ、渡邉與義さんの薦めてくれるワインや紹興酒も適格。それでいて、こちらも「虎記」同様、カジュアルな価格で楽しめますから、たまりません。素焼きそばもおすすめです。

yumのラム焼餃子
yumのラム焼餃子   写真:お店から