4. カナダからの逆輸入。寿司の未知なる可能性を示す炙りの雄「寿司虎」

二子玉川は、地方の実力派2軒がしのぎを削る回転寿司注目の街となっています。名店のひとつが「九州寿司 寿司虎 Aburi Sushi TORA」。九州・宮崎発の回転寿司「寿司虎」がカナダで大ブレイクさせた「Miku」「Aburi TORA」を、さらに進化させた業態です。

「バンクーバーの『Miku』は、ハリウッドセレブも来店するほどの有名レストラン。中でも炙り寿司が人気で、それを日本に逆輸入したのがこちらの業態。炙り寿司に対していかに我々が無知であったかを思い知らされる出来栄えで、バーナーで炙った寿司が手抜きに思えてくるほどです。見た目の鮮やかさもさることながら、それぞれの寿司に合ったソースで食べさせるという工夫がとにかく素晴らしい。冷めてもこれほどまでにおいしい炙り寿司には出会ったことがありません」

ソースで食べるという斬新さ、工夫されたトッピングが新たなおいしさを生み出しており、世界に通用する寿司と言えるでしょう。

九州寿司 寿司虎 Aburi Sushi TORAの炙り寿司/写真:お店から

「中でもイチオシの『炙りサーモン押し寿司』は炙りサーモン、特製ソース、ハラペーニョが絶妙にシンクロして、炙り寿司の未来を感じさせる一品。僕自身、炙り寿司はほとんど食べないのですが、これだけは別格です。また、最新の急速凍結技術を使った『氷結熟成寿司』は、思わず唸ってしまう衝撃の寿司。鮮度が良い魚が旨い寿司になる、という暗黙の常識を覆し、冷凍魚でもここまで旨い寿司になるのかと考えさせられました。熟成過程を解凍に結び付けて完成された寿司に仕上げるまでの苦労は相当なもののはず。寿司の未知なる可能性を感じさせてくれる一軒ですね」

まちむすめ
「炙りサーモン押し寿司」税込374円   出典:まちむすめさん
「熟成特選三貫づくし」(氷結熟成寿司)税込759円/撮影:米川伸生

【イチオシポイント】
寿司の新たな文化を創造する新時代の炙り寿司! 氷結熟成寿司にも注目

5. 京都を感じさせる優美さと季節の寿司が魅力の「CHOJIRO」

「九州寿司 寿司虎 Aburi Sushi TORA」と双璧をなす二子玉川の人気回転寿司が、京都発祥の「廻転寿司 CHOJIRO」です。運営元の本社は大阪にあり「にぎり長次郎」と「廻転寿司 CHOJIRO」を、京都と大阪を中心に展開。東京にあるのは今回紹介する「廻転寿司 CHOJIRO 二子玉川店」のみです。

「CHOJIROの素晴らしさを一言で言うとセンスの良さ。料理の完成度、盛り付け、器などどれをとってもセンスの良さが滲み出ています。京風な上品さを感じさせる店の雰囲気も既存の回転寿司とは一線を画しており、女子会やママ会をするグループが多いのも特徴の一つですね」

「季節のおすすめプレート」/撮影:米川伸生
「あわびの水貝」(季節のメニューから)/撮影:米川伸生
CHOJIRO内観/撮影:米川伸生

大阪と言えば回転寿司発祥の地であり、100円均一が当たり前の土地柄。その地にあって高価格帯でも好評を博しているのには理由がある。

「一つひとつの仕事がしっかりとしているので、回転寿司にありがちな忙しさゆえの雑さがほとんどない。それは丁寧な盛り付けや寿司の握りにも表れている。よく『回転寿司で高いお金を出すなら普通の寿司店に行った方がいいですよ』と言われるのですが、それは求める価値観が違うだけの話。回転寿司=100円の価値観が常識であった大阪でグルメ回転寿司が人気になるのはやはり価格に見合った、むしろそれ以上の価値があると認められたからでしょう。回転寿司が安い寿司を食べる場所ではなく『気軽に行けるおいしい料理が食べられる心地よい場所』という価値観は普通の寿司店ではできない回転寿司だけの強みです。一番の楽しみは2ヶ月ごとに変わる『季節のメニュー』です。日本で一番、旬のメニューの出来が素晴らしい店、と言っても過言ではないと思っています。おいしさ以上の心地よさやゆっくりと食事を楽しみたい方に是非、おすすめしたいお店です」

【イチオシポイント】
「季節のメニュー」の出来栄えが素晴らしい! あらゆるセンスが抜群

6. 宇和島名物の鯛やハマチ・ブリが絶品の「すしえもん」

最後は、今回紹介した中では最も都心から遠い場所にあるお店。八王子にある「回転寿司 すしえもん イーアス高尾店」です。

「『回転寿司 すしえもん』は愛媛発祥で、四国を代表する名店です。特に宇和島直送の鯛、ハマチ、ブリに関しては、首都圏で味わえる中でも屈指の味わい。高い養殖技術を誇る宇和島の鯛はそこらの天然鯛よりもはるかに美味です。その鮮度をしっかりと保った寿司が味わえるのが素晴らしい。宇和島の魅力が詰まった『宇和島五貫王』や宇和島名物の鯛めしを寿司で表現した『鯛めし風軍艦』は必食です」

「宇和島五貫王」800円/撮影:米川伸生
「鯛めし風軍艦」300円/撮影:米川伸生

「四国から首都圏に進出してきた回転寿司店はこれまで皆無。ほとんどの方にとっては未知の寿司文化だと思いますが、とにかく鮮度へのこだわりが半端ない。それは『ゴリゴリ伊達真鯛』など商品名にも表れています。また一つひとつの商品への妥協のなさも感じざるを得ません。良い商品だけを提供したいという心意気にあふれた商品ばかりなのも素晴らしい。施設(イーアス高尾)側がどうしても来て欲しいと懇願したのも頷けます」

「ゴリゴリ伊達真鯛」/撮影:米川伸生

ちなみに、同店のオーナーは元プロ野球選手の岩村敬士さん。岩村さんの実弟はメジャーでも活躍された岩村明憲さんということで、店内には親交のある選手から寄贈されたグッズが飾られているほか、スタッフのユニフォームや野球場をイメージした内観など、野球色あふれる空間になっています。

親交のある野球選手のグッズも多数展示されている/撮影:米川伸生

【イチオシポイント】
ゴリゴリの鮮度感がピカイチ! 豪快な寿司が味わえる

それぞれの個性を放つ、非大手チェーンの実力派回転寿司。米川さん曰く、東京の回転寿司業界ではコロナ禍によって住宅地や郊外に注目が集まっているとのこと。これからも目が離せません。

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文/中山秀明 監修/米川伸生