とんかつの奥深さを改めて実感

とんかつは「TOKYO X」の味が引き立つように、とてもシンプルな「またいちの焼塩」「熟成本山葵」「スーパー特選太陽ソース」で勝負している。繊細な味もパンチのきいた味も共に堪能できるため、とんかつの奥深さを改めて実感することができる。

また、香の物は自家製の季節野菜を使った糠漬けで、ひと口かじると油が切れてさっぱりし、いったん口の中がリセットされる。塩、わさび、ソースの味でとんかつを楽しむわけだから、このリセットするという行為が、とても重要な意味を持つことになる。サクッとした食感も実に心地よく、このアクセントも食感の“リセット”と言えよう。

とんかつのピンク色の断面が美しく、思わず食欲をそそられる。

お椀とご飯も、とことんこだわる

主役のとんかつだけでなく、脇を固めるお椀とご飯にも徹底してこだわるのが同店の流儀。お椀は豆腐の赤だしで、押し豆腐にして食感を出した木綿豆腐がごろんと入る。味噌も八丁味噌と桜味噌を合わせてオーブンで焼くことで、渋みと香ばしさをプラスして奥行きのある味に。

ご飯は「山形県産の合鴨農法つや姫」を使用し、銅の羽釜で注文ごとにふっくら炊き上げる。なんと贅沢なご飯であろう。とんかつ以外はすべておかわり自由なので、ボリュームたっぷりのとんかつを心ゆくまで堪能することができる。

こだわりの米を銅の羽釜でふっくら炊き上げる。

“香り”の融合が期待感を高めていく

同店が、このとんかつランチを提供する上で大切にしているのが“香り”。肉を焼く薪火の香り、衣づけをした肉を揚げるラードの香り、ふっくら炊き上げるご飯の香り、深みのある味噌を用いた赤だしの香り……。“ライブキッチン”と呼ぶ、舞台のようなつくりのオープンキッチンの厨房で、一つひとつの調理工程とともに新たな香りが発生し、それらが一体となって客の期待感を高めていく。

とんかつ専門店には、とんかつ専門店ならではの魅力があるように、同店には同店ならではの、日本料理の技術を生かしたとんかつがある。繊細に調理していきながらも、パンチをきかせる部分はしっかり強める。さらに、これまで味わったことのない、目で見て、耳で聞いて、鼻で嗅いで、舌で味わう、演出性も大きな魅力の“未体験”のおいしさ。それが、「薪火燻し焼き 東京Xロース勝つランチ」なのだ。

※価格はすべて税込。要予約

※本記事は取材日(2021年6月24日)時点の情報をもとに作成しています。
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取材・文:印束義則(grooo)
撮影:玉川博之