TOKYO HIP BAR

Vol.6 カクテルで見る、夏の終わりの夢。

 

夏には妖精の力が強まる日があるといいます。シェークスピアの喜劇「真夏の夜の夢」はある夏至のお話。結婚に問題を抱える男女と、喧嘩をする妖精の王と女王が、ある妖精の活躍で円満な結末を迎えます。夏の夜というのは、確かに何か特別な力が動くような、そんな気分にさせるものです。

 

そんな妖精の力を信じたくなるお店が、銀座5丁目にある“鉄の妖精”という名前のバー「The Iron Fairies Ginza(アイアン フェアリーズ ギンザ)」です。

 

出典:えりっぱらさん

 

出典:お店から
出典:お店から

 

扉を開ける前から始まる不思議物語。

中では鉄の鍵が妖精に変わる!?

 

エントランスの重いドアを開けると、出迎えるのは鉄でできた小さな妖精達。炭坑の奥底をイメージしたという店内には天井から無数の蝶蝶と鍵がぶら下がっています。聞けば、ここは世の中の排水溝に落ちてしまった鍵が集まってくる場所で、その鉄の鍵を妖精に変えているとのこと。妖精にする過程で必要になるマジックパウダーも壁にぎっしり並んでいます。

 

バーの商売道具であるボトルもバックバーには一切なく、徹底された妖精の世界が広がっています。カクテルは店名を用いた「Fairytail Mule」や、タコを使った「Pink Tako」など遊び心あるカクテルの数々。

 

出典:Testarossaさん

 

異空間以上のインパクトの

綿あめののったカクテルに二度目の驚き

 

名前から想像できないようなオリジナルカクテルの中で、こちらで頼みたいのは大きな綿あめに覆われた「Heaven Lonely Flows(ヘブン ロンリー フロウ)」。綿あめの中にはラムとラズベリーシロップ、レモンジュースの甘酸っぱいカクテルが包み込まれています。子供にかえったように綿あめを手づかみで食べながら、カクテルとあわせるのもこの妖精のいる空間ならではです。

 

こちらはバンコクで人気の「ジ・アイアン・フェアリーズ」の2号店。オーストラリア出身のコンセプターであるアシュリー・サットン氏が書いたおとぎ話「鉄の妖精」の世界を再現したバーだそう。一度伺ったバンコクの本店も木と鉄で作られた内装、細部にわたる妖精のディスプレイなど、作り込まれた世界観が広がっていて、バンコクの大人達も銀座と同様に、妖精達との夜を楽しんでいました。

 

妖精とはいえ、ファンタジー感ある可愛い妖精よりは、ティム・バートン監督が描くようなアートな風合いのある大人の雰囲気なので男性にもおすすめです。

 

バーが世間から一時離れるためのものだとするならば、究極のエスケープが体験できるのがこのバー。妖精達による夏の夜の夢を体験あれ。