【第4週のカレー】肉と油が奏でる重厚なハーモニー! 正統カレーを踏襲して生まれた異端系間借りカレー「カリー・ザ・ハードコア」

ハードコア。本来は中核という意味を持つ言葉ですが、芸術の世界においてハードコアとは従来よりも過激で荒々しい表現法のものを指します。音楽においてのハードコアは、激しいリズムに轟音のギター、叫ぶようなヴォーカルが乗るものを指すのですが、そのような意味でカレーのハードコアを体現しているお店が大久保にあります。

店名も「カリー・ザ・ハードコア」。串カツのお店のランチタイム間借り営業のいわゆる間借りカレーなのですが、カレーの種類を欧風カレーやインドカレーなどのジャンルに分けることが不可能な、まさにハードコアスタイルなカレーを出すお店なのです。

「ハードコアカレー」

看板メニューの「ハードコアカレー」1,000円は、チキンドラムが2本、ハンバーグの原型となった料理ともいわれるドイツの「フリカデレ」的なハンバーグが5個、同じくドイツのシュマルツをアレンジした食用油がのるという、肉と油にまみれた重厚なカレーです。

オイリーでスパイシーなカレーにシュマルツが溶けていくと甘味を感じます。それが、元々ある油感もスパイス感もさらに強く感じさせます。アブラマシマシならではの魅力と魔力。カロリーはおいしいということを痛感します。

肉と油のおいしさを引き立てるスパイス感といえばパキスタンカレーを思い出しますが、こちらのシェフもパキスタンカレーの名店にハマったのがカレー作りを始めるきっかけだったそうです。元々料理が好きで様々な料理を独学で覚え、イベントでカレーを提供し始めたらそれが好評となって間借りカレーのお店を営みだしたのが1年前。ちょうどコロナ禍が始まった頃にお店も始まり、コロナ禍の大きな波の中で1年続いたというのは素晴らしいことですし、続くべくして続いたおいしさと確かな個性があるのです。

「ソーセージピザハードコア」

1周年記念の限定メニューもとんでもない個性的なものでした。「ソーセージピザハードコア」1,300円は、カレーの上にソーセージピザがそのままのるというもの。しかしこのピザ、生地はカレーに合わせるパンの一種である「パロタ」であり、ピザソースにもカレーで使うスパイスを使用してあり、カレーとの相性が意外にも良いのです。

ちなみに限定メニューはこのような変化球のみならず、パキスタン系のマトンカレーやオジリ(羊や牛の内臓を使用したカレー)など、正統派の現地系カレーもあります。つまり、正統派を知っているからこその異端なのです。ロックンロールを聞いてこそハードコアパンクの面白さがわかり、オールドスクールを聞いてこそハードコアヒップホップの深さに気づくように、正統派のカレーを知った上での激しさを追求したカレーであるからこそ、ちゃんとカレーらしいおいしさが消えていません。

RPGやシミュレーションゲームのパラメータ振り分けに例えるなら、攻撃力や武力に全振りし、ほかは最低値というような、そんな男らしく無骨なカレー。三国志で例えるなら呂布。ドカベンで例えるなら岩鬼。そんなカレーなのです。そしてここのカレーは、その例えを理解できる方ならきっと楽しめるカレーだと思うのです。

大久保エリアにはカレーの名店がひしめきあっているのですが、その名店に負けない強い個性を持ったハードコアなお店。カレー好きで肉や油が好きなら、是非とも行ってみてください。

※価格はすべて税込

※本記事は取材日(2021年1月25日)時点の情報をもとに作成しています。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/