すべてが刺激的な「おまかせコース」は、独創性の高い先付けでスタート

内容は季節や仕入れによって変わるが、取材時の「おまかせコース」とペアリングの一部を紹介しよう。

左から、里芋とモッツァレラチーズ、ししゃも有馬煮(撮影:食べログマガジン編集部)

先付けとして登場したのは、「里芋とモッツァレラチーズ」と「ししゃも有馬煮」。レベルの高い小皿料理に、握りへの期待がじわじわと高まっていく。ペアリングとして供されたのは、スパークリングワイン「フェッラーリ」の「マキシマム ブリュット(ロゼ)」だ。

握りは「本マグロ中トロ」から!

アイルランド産 本マグロ中トロ

ロゼは、握りの一番手として登場する、自慢の「本マグロ中トロ」にも合わせてセレクトしたという。そう、こちらでは初っ端から中トロが登場する。「まずは挨拶代わりに」ということだろう。クオリティーへの絶対的な自信の表れだ。

3種類の酢をブレンドした端正な赤酢のシャリが、中トロの脂を悠然と受け止める。めくるめく「鮨おにかい+1」ワールドのスタートにふさわしい逸品だ。

煮あん肝軍艦

クエは津本式血抜きを施し、10日間熟成させてから提供。低温調理でとろりと仕上げた白子はトリュフ塩でいただく。

「煮あん肝軍艦」は、本来は蒸し上げるあん肝をあえて30分煮込み、奈良漬とともに軍艦にした。一貫一貫に、ちょっとしたサプライズが潜んでいてエンタメ性も抜群だ。

あん肝に合わせて提供されたのは、白ワイン「トレッビアーノ ダブルッツォアンフォラ(バルバ)」。陶器で熟成した独特の味わいは、個性的な寿司に決して負けていない。といっても寿司の味を邪魔することもせず、互いのおいしさを高め合っている。これぞペアリングの醍醐味だ。

牡蠣酒蒸し

なかでも宮城県産の牡蠣を酒蒸しし、柚子の皮を忍ばせた「牡蠣酒蒸し」との相性は秀逸。ほかではなかなか見ない牡蠣の握りは、手渡しでサーブされる。

たっぷり牡蠣のエキスが染み出た煮汁は、おちょこで飲ませてくれた。美味なのはもちろん、その演出が心憎い。