【肉、最前線!】

数多のメディアで、肉を主戦場に執筆している“肉食フードライター”小寺慶子さん。「人生最後の日に食べたいのはもちろん肉」と豪語する彼女が、食べ方や調理法、酒との相性など、肉の新たな可能性を肉愛たっぷりに探っていく。奥深きNEW MEAT WORLDへ、いざ行かん!

 

連載5回目となる今回はテラス焼肉の最新系。個性的な焼肉店が昨今建ち並ぶなか、どこにも勝る眺めと肉質の良さで、夏焼肉の決定版と言える新星をご紹介。

vol.5 焼肉は楽しくてナンボ!肉とテラス編

『神楽坂焼肉 Kintan』

日本人に焼肉好きが多いのは、経験としてその楽しさを知っているからだ。ほかのレストランとは違い、客が“調理”をするのが焼肉店の一番の個性と言われてきたが、最近はスタッフが丁寧に肉を焼いてくれるおまかせ焼きの店も登場。

 

ワインやサイドメニューを豊富に揃える店やコース仕立てで肉を提供する店もすっかりスタンダードになったいま、焼肉店にはさらなる個性が求められている。

日本一のサーロイン・ユッケ ハーフ&ハーフTM 2,480円

 

「これまでになかった焼肉店」を打ち出し、飛ぶ鳥を落とす勢いを見せているのが『焼肉 KINTAN』。

 

30日熟成させた牛タンの食べ比べや保健所に生食提供の認可を取ったサーロインユッケの甘辛タレとゴマ塩ダレのハーフ&ハーフ仕立てなどメニューの目新しさもさることながら、焼肉店らしからぬ洗練された空間や、行き届いたサービスで人気を確固たるものにしている。

 

自分で“調理”する楽しさに加えて、肉の品質も確かで料理やお酒のメニューも豊富、居心地がよく、会食やデート使いもできるとくれば繁盛しないワケがない。

黒毛和牛サーロインの炙りユッケ~ポン酢ジュレ添え~(6,500円のテラス限定コースの一例)

 

その『焼肉 KINTAN』の次なる一手が、この7月、神楽坂にオープンした最新店『神楽坂焼肉 Kintan』だ。系列店では初めて屋上にBBQテラスを設置。

 

東京に焼肉店は星の数ほどあるが、屋上テラスで(春は花見もできる)焼肉が楽しめるというのはレア。店はランチ営業もしているが、ここはディナー時のみ3組限定の特別席。

黒毛和牛サーロインの炙りユッケにはじまり、しっとり清流鶏とアボカドのシーザーサラダ、トリュフポテトフライ、黒毛和牛のピリ辛トマト煮込み、ラムチョップと骨付きソーセージの豪快プレート、鉄鍋ハラミステーキとチーズの盛り合わせとコースの内容も大充実。

鉄鍋ハラミステーキ シャリアピンソース(6,500円のテラス限定コースの一例)

 

さらに、ビールやワイン、カクテルなどの飲み放題が含まれて6,500円という驚きのコストパフォーマンスの高さだ。4名以上の予約の場合は、なんとスパークリングワインのマグナムボトルが1本ついてくるという至れりつくせりぶり。

 

ここ数年、“手ぶらでBBQ”を楽しめる店が流行しているが、焼肉店ゆえ、肉の質、費用対効果の高さはおそらく都内随一。上記のコースに加え、名物の牛タンなど、焼き物の追加オーダーができるのも嬉しい。

 

肉がおいしいのは大前提。そこに複合的な楽しみがあるのが、いまの東京焼肉の最前線だ。この夏は「焼肉はやっぱり楽しい!」と実感できる最旬店へ、ぜひ足を運びたい。

写真:石渡 朋
取材・文:小寺慶子