お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。第23回は、猫井先生が思わず“蔵前スイーツロード”と命名したくなるほど注目しているという、東京・蔵前周辺のスイーツスポットを紹介します。前編は、浅草橋〜蔵前方面のお店をチェック!
【猫井登のスイーツ探訪23・前編】〜蔵前スイーツロードのおいしい店(浅草橋〜蔵前)〜
猫井先生
今回は、私がいま最も注目している「蔵前スイーツロード」をご紹介したいと思います。
食べログマガジン編集部
「蔵前スイーツロード」? そんなおいしそうな響きの道があったのですね!
猫井先生
まぁ、私が勝手にそう呼んでいるだけですけどね(笑)。というのも、蔵前近辺を中心とした浅草橋から田原町までの道沿いには注目すべきスイーツ店が多数あるんですよ。
食べログマガジン編集部
どうりで聞いたことがないと思いました(笑)。そもそもこの辺りはどんな地域なんですか?
猫井先生
今は問屋街として知られていますが、その昔、花柳界が賑わっていた頃の面影が強く残る地域で、お寿司屋さんや天ぷら屋さんが多くあり、神田川沿いには屋形船の船宿や佃煮屋さんもあり、江戸情緒が味わえる地域です。前編では、浅草橋から蔵前方面に向かう道すがらにあるお店を紹介します。まずは明治中期から100年以上の歴史がある「梅花亭」に行ってみましょう。
【1軒め】「和菓子処 梅花亭」
食べログマガジン編集部
こぢんまりとして可愛らしい雰囲気のお店ですね。
猫井先生
こちらのお店には、特におすすめの「三笠山」「子福餅」「三色 梅最中」という3種類の和菓子があるんです。「三笠山」は、青エンドウの餡を使っているのが特徴的で、一人の職人さんがすべて手焼きで作られているそうですよ。
食べログマガジン編集部
透明感のあるうぐいす色で綺麗ですね〜。見た目的にはどら焼きにも似ている気がするのですが、違うお菓子なんですか?
猫井先生
基本的には同じものですね。関西ではどら焼きのことを「三笠山」「三笠」と呼ぶ人が多いんですよ。奈良の三笠山から見える月について詠んだ、阿倍仲麻呂の百人一首の歌に由来するともいわれていて、どら焼きの形が奈良の三笠山から昇る満月に見えるから、または三笠山の稜線をイメージしているともいわれます。
食べログマガジン編集部
へー! なんだかロマンチックですね。三笠山以外のお菓子はどんなものなんですか?
猫井先生
「子福餅」は、北海道十勝産の小豆を艶やかに炊いた粒あんを薄いもち皮で包んだものです。そして「三色 梅最中」は、こしあん、小倉あん、白あんの3種があります。
※価格はすべて税込