味わえば、まさに口福。絶品タマゴサンド

タマゴを愛してやまない料理人、“エッグマスター”にタマゴ料理への熱き思いを存分に語っていただく本連載。今回の主役のひと皿は「タマゴサンド」にクローズアップした。

 

ふわふわのパンと、濃厚なタマゴのハーモニー。タマゴサンドは、手軽に食べられて昔から万人に愛される、王道サンドイッチのひとつ。そんなタマゴサンドだが、昨今洋食店のオムレツや寿司屋さんの卵焼きなどをサンドしたものなど、バラエティ豊富なのも魅力的だ。

 

今回伺ったのは、老舗喫茶店「喫茶YOU」。銀座の名店を営む“エッグマスター”に、タマゴサンドにかける思いを語っていただいた。

創業当初から愛される、「喫茶 YOU」の「オムレツサンド」

「オムレツサンド」800円(税込)、「珈琲」500円(税込)

東銀座・歌舞伎座の裏に店を構える喫茶店「喫茶 YOU」。老若男女問わず多くのお客さんが訪れる名店だ。創業四十数年の同店では、オムレツを挟んだ「オムレツサンド」をセレクト。「腕を磨いたベテランスタッフのみつくることが許されているメニューなんです」と教えてくれたのは店長の松嶌龍子さんだ。

 

「現在、キッチンスタッフは総勢7名。そのうち5名がオムレツサンドをつくることができます。オムレツサンドは焼き加減や混ぜ加減、空気のふくみ加減やひっくり返すタイミングなど、少しでも手順を間違えると仕上がりや風味が変わってしまう難しい料理。見習いのスタッフは、ベテランスタッフがつくったオムレツサンドと自分がつくったものを食べ比べ、勉強していきます」と、松嶌さん。

 

そんなオムレツサンドの誕生は創業当初まで遡る。歌舞伎座の役者さんが劇の合間に食べられるように、と先代が研究に研究を重ねてつくったのがその起源。ふんわりと軽く、滑らかな口当たりは、どこのタマゴサンドとも似て非なる存在だ。

 

使用するタマゴは1皿あたり2個。塩分控えめの自家製マヨネーズで味を付け、ふんわりと軽く仕上げている。お好みで塩をふりかけて、途中で“味変”するのもオススメなのだとか。ひと口食べると、どこかつるんとした喉越しと、タマゴのやさしい甘みが食欲を増進させてくれるひと皿。

「オムライス 」11:30〜15:00は1,100円(税込)、15:00〜18:00は1,300円(税込)。ともにドリンク付き

「喫茶 YOU」に来たのなら、1日100皿以上注文が入るという人気の「オムライス」も見逃せない。甘いクリームの香りが口中に広がる、濃厚な一品。ほどよくお腹に溜まり、しかし重すぎないオムライスにするため、2種類のホイップクリームを使って仕上げている。

 

「毎日来店しても飽きがこないようなメニューづくりを心がけていて。喫茶店だけど、しっかりごはんも食べられる店にするために、オムライスを出し始めたんです。もともとはサンドイッチとコーヒーしか出しておらず、お客さんもここまでいなかったんですよ」と、松嶌さん。

 

今では、連日行列ができるほどの人気店となった「喫茶 YOU」。そんな店を切り盛りする店主は、タマゴへの愛も深い。

 

「タマゴは大好きな食材です。特に、オムライスが好きでね。小さい頃、誕生日にオムライスを食べに、家族がレストランに連れていってくれたんです。年に一度だけお目にかかれる、特別なひと皿でした。オムライスは私にとって、思い出のメニュー。対してオムレツサンドは、創業当初からあるので四十数年の歴史があります。『喫茶 YOU』のオムレツサンドも、オムライスも、誰かにとっての思い出になるようなメニューだったらうれしいですね」と、松嶌さん。

 

メニュー一つ一つに向き合い、最高の仕上がりを追求する喫茶店「喫茶 YOU」。その努力は、こちらを訪れる多くの人々にも伝わっているに違いない。東銀座を訪れた際は「喫茶 YOU」の逸品料理を食べに立ち寄ってみてはいかがだろうか。

 

粒揃い! タマゴサンドの名店はほかにも

今やタマゴサンドと言えば、ゆで卵をマヨネーズで和えた定番のタマゴサンドをはじめ、出汁巻き卵がサンドされたものや、ふわふわのオムレツがサンドされたものなど、多種多様。今回は、そんなバラエティ豊富なタマゴサンドで、人気の4店をご紹介。お好みのタマゴサンドを見つけてみては?

1.「みやざわ」の「たまごサンド」

たまごサンド 850円(税込)出典:koutagawaさん

銀座クラブ御用達のタマゴサンドといえば「みやざわ」の「たまごサンド」だ。使うタマゴは、なんと1人前あたりLL玉を2個半~3個分というボリューム感。さらにマヨネーズはコクのあるまろやかなものをセレクト。タマゴが濃厚で粘り気があるため、塩・胡椒・マヨネーズとシンプルな味付けながら、食べ応えは抜群だ。お酒のアテとしてもオススメというタマゴサンド。今夜のお酒のお供に選んでみては?

 

2. 「Camelback sandwich&espresso(キャメルバック サンドウィッチ&エスプレッソ)」の「すしやの玉子サンド」

「すしやの玉子サンド」410円(税込)、「スモールラテ」450円(税込)出典: えもやん★スイーツハンターさん

代々木公園からほど近い、奥渋エリアに店を構えるカフェ。こちらの看板メニュー、「すしやの玉子サンド」は元寿司職人の成瀬さんがつくる珠玉の一品だ。もっちりとしたコッペパンで挟んだタマゴは甘く優しい味わい。さらに、パンに塗ってあるカラシとバターがアクセントとなり、甘いタマゴとベストマッチ。厚焼きタマゴサンドブームの火付け役でもある同店。ここでしか味わえない絶品タマゴサンドをお試しあれ。

 

3. 「アメリカン」の「タマゴサンド」

「タマゴサンド」500円(税込)出典:フォーリンデブはっしーさん

ボリューミーなタマゴサンドを食べたいときは銀座にある喫茶店「アメリカン」へ。一人分とは思えないほど大きな食パンと、たっぷりタマゴを頬張れば、濃厚な黄身の味わいが口中に広がる。焼きたてパンを使ったふわふわ、まろやかなタマゴサンド。思いっきりかぶりついてみてはいかがだろうか。こちらのタマゴサンド、何と500円で堪能できるのもイチオシポイント。ワンコインでお腹いっぱいになる安くておいしいボリューミーなタマゴサンドは必食!

 

4. 「ポポー」の「たまごサンド」

「たまごサンド」240円(税抜)出典:黄昏ソルティさん

西日暮里にある「ポポー」は創業45年。現在でも朝8時から行列が出来るほど、長く多くの人々から愛される老舗サンドイッチ専門店だ。店内にはハムカツやフルーツなど多種多様なサンドイッチが陳列され、思わず目うつりしてしまう。人気の「たまごサンド」(240円)は、中からタマゴが溢れてしまうほどのボリューム。タマゴがたっぷり入った贅沢な逸品タマゴサンドを要チェック。

 

 

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

幸せを感じるタマゴサンドを口いっぱいに頬張って

見てうっとり、食べて感動するような5つのタマゴサンドを紹介した。お店によって表情が変わるタマゴサンド。あなたの逸品タマゴサンドを見つけてみてはいかがだろうか。次回は「とろ〜り目玉焼き料理」の“エッグマスター”をインタビュー。乞うご期待!

 

企画・取材:天野成実(Roaster)
文:宮垣歩乃佳(Roaster)
撮影:栗原大輔(Roaster)