とろける口当たりがやみつきに。ふわふわのスフレ料理

タマゴを愛してやまない料理人、“エッグマスター”にタマゴ料理への熱き思いを存分に語っていただく本連載。今回は「ふわふわのスフレ料理」にクローズアップした。

 

スフレとは、卵白を泡立ててつくるメレンゲをベースに、様々な材料を混ぜてオーブンで焼いたタマゴ料理のこと。口に入れるとすぐに溶けて消える、その独特の食感に虜になる人も多い。

 

一度食べると癖になるスフレ料理。今回は、スフレオムレツで有名な「ビストロ チック」さんにインタビュー。スフレを愛する“エッグマスター”にその魅力を伺った。

モンサンミッシェルのオムレツをオマージュ。「ビストロ チック」のスフレオムレツ

2015年秋に麻布十番にオープンした「ビストロ チック」。“ニューヨークでフランス人が営むビストロ”というコンセプトも納得の内観は、アンティーク調でオシャレ。そんな同店の看板メニューはスフレオムレツだ。「スフレオムレツは皆さん頼まれます。オムレツが名物ならとりあえず頼んでみようかな……といった感じでご注文いただきますね」と語るのは、副料理長の萩原さん。

「フランスのモンサンミッシェルでは、大きなスフレオムレツが有名なのをご存じですか? 昔、本場のスフレオムレツをオーナーが食べたことがあるそうです。見た目は大きくてインパクトがあり、しゅわしゅわとした食感も面白い。そこで、これをうちならではのスタイルでつくれないか、と思ったそうです。そして、ソースを豪華にして、もっと食べ応えのあるオムレツをつくってみようと始まった料理がこのオムレツなんです」と語る萩原さん。

 

「ビストロ チック」のスフレオムレツは、香ばしいカリッとした食感と、舌の上でとろけるような柔らかさが同居する逸品。さらに存在感のある濃厚なポルチーニソースが絶妙だ。

「スフレオムレツ ポルチーニとトリュフのクリームソース」1,080円(税抜)

コツはメレンゲを固めに泡立てること。固めに仕上げることで、オーブンで焼いても萎むことなくふっくらと仕上がるのだとか。そんな同店が考えるスフレオムレツの魅力は“高揚感”にあるという。

 

「ふわふわの見た目や、甘いタマゴの香り、食べたときのしゅわしゅわとした舌触りなど、スフレオムレツの醍醐味は“ワクワク”や“高揚感”にあると思っていて。テーブルに運ばれてきたときから食べ終わるまで、お客様にはその高揚感を少しでも長く楽しんでもらいたいんですよね」と萩原さん。

「ビストロチック」のスフレオムレツは、そんな高揚感を長く感じられるよう、タマゴを3個使用し、あえて大きめにつくっているそう。皿からあふれんばかりの大きさのスフレオムレツは、見ているだけでも幸せな気持ちになってくる。看板メニューということで毎日たくさんの注文を受けるそうだが、その思いは変わらないだろう。

 

「スフレオムレツって料理自体はとてもシンプルで、ご家庭でも簡単につくることができるんです。だからこそ、お店で楽しんでもらうときには、家では感じられない贅沢な感覚を味わってほしいですね」と萩原さん。

 

たくさん食べても決して重くならない不思議な料理、スフレオムレツ。とっておきの高揚感を味わいにぜひ訪れてみてほしい。

 

ふわふわのスフレ料理が食べられる名店はほかにも

見ているだけで幸せな気分になるふわふわのスフレ料理。今回は、ほかにも絶品スフレ料理が食べられる名店を4店ご紹介。

1. フレンチシェフが織り成す鉄板スフレオムレツ。「ブロックス」の「ふわふわスフレオムレツ」

「ふわふわスフレオムレツ」677円(税抜)写真:お店から

恵比寿にあるフレンチ「オー・ギャマン・ド・トキオ」のオーナーシェフが2012年にオープンした創作鉄板フレンチのお店。

鉄板の上で丁寧に巻かれたスフレオムレツには、グリュイエールチーズが入っている。上からは白トリュフ入りのはちみつとリコッタチーズが。酸味や甘みなど、複層的な味わいが贅沢な逸品だ。

 

 

2. おいしさの秘密は三層構造。「イエローマークス」の「窯焼きスフレ」

「窯焼きスフレオムレツセット」980円〜(税抜)
「窯焼きスフレオムレツセット」980円〜(税抜)   写真:お店から

2019年9月に渋谷にOPENしたスフレ専門店。フライパンではなく「窯」で焼き上げた、窯焼きスフレオムレツだ。

 

こちらのスフレオムレツは、具材が3層になっている。1層目はオーダーを受けてから泡立てるメレンゲ。2層目はベーコンや季節の野菜等スフレと相性の良い食材を挟み、3層目にはタマゴ、ブイヨン、生クリームで仕上げた洋風たまごどうふが入っている。色々な味を一度に楽しめる、新感覚のスフレオムレツを食べに足を運びたい。

 

3. フランス・モンサンミッシェルから上陸。「ラ・メール・プラール」の「ふわふわオムレツ」

「ふわふわオムレツ」1,000円(税込)写真:お店から

有楽町に店を構える「ラ・メール・プラール」。フランスのモンサンミッシェルにある本店は、約130年の歴史を誇る名店だ。マリリンモンローからも愛されたといわれている名物の「ふわふわオムレツ」は、全卵を泡立ててバターと岩塩で焼き上げたシンプルなオムレツ。

 

ほかにもベーコンやチーズがのったオムレツや、スモークサーモンがのったオムレツなど、バリエーションも豊か。メレンゲを食しているかのような不思議な口当たりを堪能しに訪れてみてはいかがだろうか。

 

4. キメの細かい淡雪のようなオムライス。「Ailnoir」の「チキンライスの鉄板ふわふわオムライス」

「チキンライスの鉄板ふわふわオムライス」800円(税抜)写真:お店から

東高円寺にある、自然食にこだわったオーガニックレストラン「Ailnoir」。こちらの名物は、真っ白な生クリームのようなタマゴがかかったスフレオムライスだ。上にかかったタマゴは、まるでメレンゲで、口に入れるとすぐに消える独特の食感。

 

鉄板に近いタマゴは、少し焼けてスフレ状になっており、食べ進めていく度に違った食感が楽しめる。タマゴのなかには野菜の出汁で炊き上げたチキンライスが眠っており、鉄板で焼けた“おこげ”のチキンライスも絶品だ。

 

なかなかお目にかかれない、スフレオムライスが食べられる同店。独特の食感を楽しんでみてほしい。

 

 

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

軽やかな口溶けのふわふわスフレをずっと食べていたい

甘いタマゴの香りにふわふわの優しい口溶け……。ふわふわ、しゅわしゅわの食感を味わいにスフレ料理の名店へ足を運んでみてはいかがだろうか。次回は話題の「タマゴサンド」の“エッグマスター”をインタビュー。次回もお楽しみに。

 

企画・取材・文:天野成実(Roaster)

撮影:栗原大輔(Roaster)