お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。第13回後編は、前編に続き、東京・上野周辺の老舗甘味処&カフェを紹介。

【猫井登のスイーツ探訪13・後編】〜老舗和菓子屋さんのメッカ。上野で甘味処巡り〜

【4軒め】食べ歩きにも◎。明治創業の小倉アイス発祥の店「みつばち」

 

猫井先生

後半は、明治42年(1909年)創業の甘味処「みつばち」というお店からスタートです。なんと、「小倉アイス」210円(税込)発祥のお店なんですよ!

 

食べログマガジン編集部

こちらのお店が発祥だったとは知りませんでした! 小倉アイスってどうやって誕生したんですか?

 

猫井先生

もともと氷屋さんをされていたのですが、冷夏で売れ残った小豆がもったいないからと、アイスクリームを作る氷の入った桶に入れておいたところ、小豆のまわりが凍ったそうです。それを食べてみたらおいしかったので、甘みを調整してでき上がったのが小倉アイスというわけです。お店の中でも食べられますが、テイクアウトすることもできるので、これからの季節に食べ歩きを楽しむのも良いと思いますよ。

 

食べログマガジン編集部

近くに湯島天満宮もありますし、上野周辺はお散歩するのにぴったりですね。

【5軒め】東京かりんとう御三家のひとつ! 「かりんとう ゆしま花月」

 

猫井先生

次のお店は、昭和22年(1947年)創業の「かりんとう ゆしま花月」です。店名にもあるとおり、「かりんとう」540円(税込)が有名なお店ですね。

 

食べログマガジン編集部

昔ながらの雰囲気のお店ですね! かりんとうって、昔からあるお菓子なんですか?

かりんとう ゆしま花月の「かりんとう」
 

猫井先生

もともとは、奈良時代に唐から伝わったものだといわれています。今のような形になったのは、明治初期ですね。あるお店が生地を棒状にして油で揚げ、黒糖をつけて売り出したらヒットしたことがきっかけで、庶民のお菓子として定着するようになったそうです。こちらのお店は、浅草の「小桜」、銀座の「たちばな」と並び、“東京かりんとう御三家”に数えられています。

 

食べログマガジン編集部

“三大だんご”に、“かりんとう御三家”も! 今日は各ジャンルの東京トップ3に君臨するお店がいっぱい登場しますね!

 

猫井先生

そして次は、“東京三大どら焼き”のひとつが登場しますよ(笑)。

 

食べログマガジン編集部

どら焼きまで! 何という名前のお店なんですか?

【6軒め】ちょっとしたプレゼントにも最適。東京三大どら焼きのひとつ「うさぎや」

 

猫井先生

「食べログ スイーツ 百名店 TOKYO 2019」にも選出されている、創業大正2年(1913年)の「うさぎや」です。こちらのどら焼きは、浅草の「亀十」、東十条「草月」と並んで“東京三大どら焼き”と呼ばれています。そして、お店に入る前に屋根に注目してみてください。

 

食べログマガジン編集部

あ、屋根の上にうさぎがいますね!

「どらやき」
 

猫井先生

お店の初代が卯(うさぎ)年生まれだったことから、店名を「うさぎや」にされたそうですよ。こちらのオススメはもちろん「どらやき」200円(税抜)です。

 

食べログマガジン編集部

生地と餡のバランスが絶妙ですね。

 

猫井先生

「焼き菓子」と呼ばれているお饅頭も秀逸で、6つとか8つとか箱詰めにしてもらうと、重宝します。小さな箱でビジネス用の鞄にも入りますし、大げさでなく、ちょっとしたプレゼントに最適です。さぁ、買い終わったら、カフェの方に行きましょう!

「焼き菓子」各種の箱詰め

【7軒め】開店開始10分以内の入店でしか食べられない超レアスイーツも! 「うさぎや CAFE」

 

食べログマガジン編集部

へぇ〜、カフェもあるんですね!

 

猫井先生

こちらの名物は「うさパンケーキ」650円(税込)というもので、開店時間の9時〜9時10分までに来店した人しか食べられないので、ハードル高めなスイーツですね。

 

食べログマガジン編集部

開店から10分以内って、かなり気合が必要ですね! 一体どんなスイーツなんですか?

shelah
「うさパンケーキ」   出典:shelahさん
 

猫井先生

「うさパンケーキ」は、先程訪れた「うさぎや」の工場から運ばれてくる焼き立てのどら焼きの皮にバターやあんこをつけて食べるというものです。こちらは数量&時間限定ですが、ほかにもレギュラーメニューの「うさどらフレンチ焼き」870円(税込)もおすすめですよ!

 

食べログマガジン編集部

「うさどらフレンチ焼き」というと、どら焼きとフレンチトーストが合体したハイブリッドスイーツということですか?

「うさどらフレンチ焼き」
 

猫井先生

ご明答! ずばり、「うさどらフレンチ焼き」は、「うさぎや」のどら焼きをフレンチトースト風に仕上げているものです。生地からバターがじゅわっとしみ出て、中のあんこも柔らかくトロリとしていて、これはもう、どら焼きとは異なるスイーツになっていますね。

elynchan117
出典:elynchan117さん
 

食べログマガジン編集部

これは……特に女性が大好きな食感のスイーツですね。

 

猫井先生

まだほかにもありますよ! 9月に入っても暑い日が続いていますから、「うさ氷」というかき氷もおすすめです。こちらのかき氷は、超軟水の「ハワイウォーター」の氷で作られているので、天然氷で作ったかき氷のような滑らかな口溶けが楽しめます。もちろん中には、どら焼きにも使用している、うさぎやさん自慢のあずき餡がたっぷり入っていますよ!

きゅいそん
「日本酒うさ氷」1,100円(税込)   出典:きゅいそんさん
 

食べログマガジン編集部

「うさ氷」っていう名前もまた可愛いですね。しかも、日本酒やコニャックをかけて食べるタイプのかき氷もあって、大人気分に浸れそうです。

 

猫井先生

是非、仕事終わりに食べたいですね! 今日はまだ仕事中なので(笑)、「狭山抹茶氷」870円(税込)をオーダーしましょう。

「狭山抹茶氷」
 

食べログマガジン編集部

わぁ〜、運ばれてきた瞬間に抹茶の良い香りがしますね。

 

猫井先生

「狭山抹茶氷」は、「うさ氷」と同じく超軟水のハワイウォーターの氷に、甘さ控えめで、少々苦みの効いた抹茶シロップがたっぷりとかけられたものです。氷の中に隠れたあずき餡と合わせて食べると、抹茶のほろ苦さとあずきの甘みがよく調和し、至福の味わいですよ!

 

食べログマガジン編集部

しかも、こちらのかき氷は夏季限定ではないので、夏以外も食べられるのが嬉しいですね!

 

取材・文・写真:猫井 登