本連載のナビゲーター、肉バカの小池克臣さん

小池克臣が推す「予約困難予備軍」の焼肉店

巷には「予約困難」な焼肉店がたくさん存在している。口コミやメディアへの掲載など、予約困難となる要因はさまざまだ。本連載では肉バカ・小池克臣さんに早めに押さえておくべき「予約困難予備軍」の焼肉店を焼き方のポイントとともに教えてもらう。

教えてくれる人

小池克臣
横浜の魚屋の長男として生まれるも、家業を継がずに、外で、家で、肉を焼く日々を送る。焼肉を中心にステーキやすき焼きといった牛肉料理全般を愛し、ほぼ毎晩、牛三昧。その様子をInstagramYouTubeで発信中。著書に『肉バカ。No Meat, No Life.を実践する男が語る和牛の至福』(集英社刊)。公式ブログ「No Meat, No Life.」。

神楽坂の路地裏に潜む、全個室の焼肉店

情緒溢れる美食も多く点在する神楽坂の街並みをぶらりと歩き、毘沙門天で知られる善國寺脇の小道を進むと、今回紹介する店がある。お月様のように浮かぶ丸い看板を見つつ、地下へ足を進めると、神楽坂に相応しい大人っぽい落ち着いた空間が広がっている。

プライベートを約束する中庭に臨む個室が特等席

1978年創業の福井「韓国厨房セナラ」の姉妹店として、2017年にオープンしたこちらは、8部屋すべて個室という、焼肉店にしては珍しいレイアウト。デートから接待、家族連れまでどんなシーンでも寛げる、プライベートな空間が魅力だ。クオリティの高い和牛のみを扱い、只ならぬ仕入れにこだわりを発揮する。

地下ということを忘れる、和空間が広がる中庭を囲む個室が人気。クローゼットにコートを入れられるのも、うれしいポイント。
エントランスを入ってすぐの廊下には、ダイナミックな肉塊が鎮座し、ゲストをお出迎え。一気に期待感が湧き上がるはずだ。東京食肉卸市場「芝浦ほるもん」から仕入れる、極上和牛の希少部位や最高級ホルモンを取り扱う。
 

小池さん

こちらの仕入れにも関わる「芝浦ほるもん」の中川さんに紹介されたことがきっかけで、一緒に訪問しました。まず全室個室でゆっくり寛げるのが良くて、神楽坂をお散歩できるロケーションも楽しいです。女性や仕事関係の方をお連れするにも最適な、きれいな内観で、コースも設定されていて、人にも紹介しやすく、オールラウンダーな焼肉という感じ。肉の仕入れは信頼できるルートや関係値が大切なんですが、肉好きが必ず唸るクオリティがここにはあります。

店名「しんうち」にも通ずる店主の熱き思いとは?

侍がいた江戸時代、刀鍛冶は依頼を受け、数本の刀を打ち、最も優れた刀「真打(しんうち)」を納品したことから、「焼肉しんうち」はこの鍛冶屋の流儀に倣い、肉の仕入れの一番いいものをお客様に提供するよう、最善を尽くすという思いを店名に掲げている。10年以上付き合いのある「芝浦ほるもん」の中でも、極上の部位が入るルートが強み。最高級のクオリティとサービスを目指す。

代表・金石 昌さん
 

小池さん

とにかくホルモンのクオリティが、半端なくて驚きます。最も肝となる仕入れ問屋選びを「芝浦ほるもん」の和牛に絞っていることは、信頼に値します。内臓の処理の丁寧さや、水を使わない処理のおかげで、味が濃く、鮮度の日持ちが全然違う!と語っていた金石さんのお話が印象的で……。肉のポテンシャルを最大限に実感できるメニューの数々が揃っています。