小池さんおすすめの「オーダー必須」のメニューとは?

まず必ずオーダーしておきたいメニューを4品ご紹介。バリエーション豊かに、こちらでは白米をお供にしっかりいただくスタイルが小池流。「しんうち」ならではの一通り楽しめるコースメニューもあり。

「黒毛和牛上タン」4,800円(1人前)

薄く美しくオリジナルカットされた黒毛和牛上タン。サシが入っておいしいタン元だけを使用。タン元を縦にスライスすると筋肉部とも混ざりムラが生じるため、敢えて立体的にやわらかい上部のみを横にスライスすることで、雑味のない極上の部位のみが提供できる。1頭からたったの1.5人前しか取れないという希少さに驚愕する。

 

小池さん

分厚いのもいいですが、この美しいカットとちょうどいい薄さに惹かれます。手間をかなりかけているオリジナルカットの形にも濃い味わいにも、こだわりが詰まっていて驚きます。東京にある東京食肉市場から出荷される和牛タンは1日に約250本という少なさ!サクサクとした歯ごたえ、凝縮した旨みがね、もう堪らない。ロースターの中央でささっと火入れし、レモンを搾って口の中に頬張れば、幸せでしかない波が押し寄せます。

とてつもない厚みで存在感を発揮する「厚切り上ハラミ」も、絶対に頼んでおきたい名品メニュー。“断面萌え!”なサシの美しさを、焼く前から思う存分に堪能できる。タレものは、白米オーダーが必須だ。

「厚切り上ハラミ」3,600円(写真は1.5人前)

唯一無二な分厚さで圧倒される上ハラミは、ムダに手を入れず水に浸さない肉処理のおかげで、濃い味わいと旨みの凝縮を実現。熟成よりフレッシュな肉の方が、美味だとか。ジューシーな肉汁をも楽しめる。

 

小池さん

こんなダイナミックな厚みはなかなかレアで圧倒されるし、興奮しますね。厚切りのタレ肉って、じつは焼き加減が一番難しいんです。サッと焼いてひっくり返し、ゆっくりじっくり焼き、またこまめに返して、の繰り返しで、焦がさないように火入れします。ジューシーな肉汁を閉じ込める感覚で。焼いている時間も愛おしくなるほど、上ハラミの期待値の高さに、思わず笑みがこぼれるはずです。

肉の味わいに寄り添う、土鍋ご飯も絶品!

本家がある福井県の農家さんにお願いし、田んぼごと購入して作っている低農薬のコシヒカリを使用する土鍋ご飯にも注目。酸化を防止するため、玄米の状態で一旦店へ運んでから、キッチンで精米するこだわりよう。

「土鍋ごはん」900円

“肉のワンバウンド”に欠かせない白米も、焼肉店での重要なメニューのひとつ。肉とのハーモニーを考え、土鍋でじっくり炊いた米をじっくりと味わいたい。

 

小池さん

「タレ焼肉にマストなご飯は、残念ながらこだわっていないがっかりな焼肉店も多いのが事実。しかしこちらは、肉も白米も最高の相乗効果を叶える、ベストな状態の土鍋ご飯があるのが心強いです。芯が立っていてそのおいしさは止まらず、食べ過ぎてしまうのが困るほど。

新感覚のシグニチャーメニューも必食!

シマチョウ、ギアラ、コプチャン、新鮮なホルモン3種を厳選した「もつしゃぶ」も是非食べておきたいシグニチャーメニュー。焼肉の流れに変化球を投じる、新感覚のしゃぶしゃぶを味わいたい。

「もつしゃぶ」1,600円(1人前)

すべてのコースにも入っている定番メニューのもつしゃぶは、ここでしか食せない、スペシャルメニュー。一番出汁にサッとくぐらせたもつは、濃厚だが意外にも脂っぽくない! 自家製ポン酢に、鬼おろしをつけていただくスタイルで。上品な脂の甘みが口いっぱいに広がり、病みつきになる人が多数。

もつしゃぶ後の〆には、天日塩を加えたひと口スープを。3種のホルモンの良質な脂が、濃厚な旨みやいい出汁となり、ホッと一息つける。

 

小池さん

ホルモンは焼いた方がおいしいと思い込んでいたので、このもつしゃぶに衝撃を受けて、概念が変わっちゃいました。にんにく系にいきがちなところを、こちらは昆布鰹のあっさり出汁でしゃぶしゃぶするのもいいし、当日仕入れたばかりの素材の良さが際立っています。ぷるぷる食感と甘みを楽しめるコプチャン、ほどよいシャキシャキ感を味わえるギアラ、皮と脂身のバランスよきホルモンの王様シマチョウなど、甘みのバリエが豊かで、階段を上るようにおいしさも増していく! 新鮮さが一目でわかるピンクのギアラに、きゅんとしてしまうほどです。

とにかく仕入れルートが強く、最高峰の希少部位ばかりのラインアップに感銘を受けた小池さん。素材がおいしいのは大前提としても、タレの旨さへの追求も素晴らしく、一目置くのも納得できる。えだ(肉)が甘いので、喧嘩しないよう、甘すぎないタレの塩梅を計算。4種の砂糖、醤油、昆布出汁、フルーツ数種をベースに、多良間島の黒糖でまろやかな味わいを実現。焼肉を最大限に高める、さまざまな工夫に溢れた惜しみないひと手間が、肉好きたちを魅了する。肉&タレ→濃厚スープ→米の完璧なる小池流ループで、きっちり“ととのう”聖地だ。

肉への愛情と探求心を語りあう小池さんと店主・金石さん。卸業者「芝浦ほるもん」のクオリティがいかに素晴らしいかを話す二人は、最高な肉を目の前にして、自然と笑顔に満ち溢れていた

和牛にも土鍋ご飯にもこだわり尽くし、進化を続ける神楽坂の名店「しんうち」。予約困難になる前に、まずは早めに訪れ、常連を目指したい。

※価格はすべて税込

撮影:八木竜馬 取材・文:濱口眞夕子(SEASTARS Inc.)