緊急事態宣言発令に伴う営業時間短縮の要請を受け、ランチタイム営業を開始した飲食店が増えている。なかには、これまでディナータイムやコースのみの提供で、少しハードルの高かった人気店なども。そこで、当連載でも臨時特別企画として、フードライター・森脇慶子が注目する店のランチメニューを全4回にわたり紹介。今回は、東京・白金高輪で長く愛される和食処「福わうち」に注目!
【森脇慶子のココに注目 臨時特別号Part2】「福わうち」
白金高輪の地で21年、深夜の食を支えてきたうまいもん屋「福わうち」も、去年の4月からコロナ禍で昼営業に切り替えた一軒だ。大将の三宮昌幸さんは次のように語る。「今は、11時30分から20時までの通し営業です。17時からはコース(8,000円、10,000円)のみになりますが、それまではアラカルトはもちろん、テイクアウトのお弁当をお店で食べていただくこともできますよ。もちろん昼飲みもOK!」と、ちょっと耳寄りな話では?
和牛カルビを使った豪快な肉じゃがに、わさび塩で食べるマグロのトロかつ、玄界灘の新鮮なごまさば等々、数々のベストセラーメニューを生んできた同店だけに、コロナ禍でメニューを絞っているとは言え、往年の人気メニューは健在だ。
そんななか、ランチにうってつけなのがご覧のセットだ。題して「大人の塩鮭定食」3,300円。大きな角皿にずらりと並ぶは、銀鮭の自家製塩鮭を筆頭に鰻の蒲焼、海老の甘酢あん、ほうれん草やもやしなど野菜のナムルと色とりどり。どれから箸をつけようか迷ってしまいそうだ。
脇を固めるのは、三宮さんの故郷の味“筑前煮”に、明太子をトッピングした茶葉卵。そして、小ぶりながらも和牛リブロースのかぶりを使った柔らかなローストビーフが花を添える。なるほど酒を誘うおかずが並ぶあたり、確かに“大人”の塩鮭定食と呼ぶにふさわしい。
定番の卵焼きにしても、いわゆる江戸前風の甘辛味ではなく、甘さはグッと控えめ。しらすにネギ、明太子が入ってこちらも酒を呼ぶ味に仕上げられている。これら豪華なおかずに、お茶碗山盛りのご飯とお味噌汁が付くわけだが、この定食なら、いきなりご飯にいく前に、筑前煮や茶葉卵、ローストビーフなどで軽く一杯、昼飲みも悪くない。
直に塩漬けにするのではなく、塩水に漬けることで身が締まり過ぎずジューシーに焼き上がる塩鮭は、塩分もまろやか。半分はそのままつまみで、後の半分はご飯のお供でいただけば、まさに一粒で二度楽しめるよう。これらのおかずをきれいに折詰にしたのが、テイクアウト版「大人の鮭弁当」2,500円だ。
三宮さん曰く「見た目よりもボリュームがあるので、ひとつのお弁当をご夫婦2人で味わうお客様もいらっしゃいますよ」とのこと。そんなボリュームたっぷり感もこの店らしい。
テイクアウトはこのほかにも、ロースハムのハムカツがドカっと存在感を示すおかか入りの「海苔弁当」1,800円や、「肉じゃがカレー丼」「筑前煮カレー丼」各900円に、「魯肉飯(茶葉卵入り)」1,000円など豊富に揃っている。
※価格はすべて税込