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揚げ物居酒屋とイタリアン。2つの顔を持つ「ニショク」
2020年9月、自由が丘にオープンした「ニショク」は、揚げ物居酒屋&イタリアンのテイクアウトという異なるジャンルをドッキングさせた珍しいスタイルの店。
立ち飲み、カウンター、テーブル席があり、様々なシチュエーションで使えると評判で、「こんな店が欲しかった」とリピーターが早くも続出しているのだとか! その魅力に迫っていきたいと思います。
大きく「揚」と書かれた看板に呼ばれてしまう!
自由が丘駅の南口から徒歩3分の地にオープンしたこの店の前で立ち止まる人をよく見かけます。どうやら「揚」という文字が大きく書かれた看板のせいらしく、「揚げ物屋さん?」「新しいお店?」とみなさん興味津々。
揚げ物をメインにした居酒屋か!と思いきや、たしかにイートインは揚げ物居酒屋だが、テイクアウトではイタリアンという2つの顔を持つ店というからびっくり!
それはおもしろそう!と、中へ入ってみると、まず手前にあるのは立ち飲みスペース。ですが、冷蔵庫をテーブル代わりにしているため、キッチンでお酒を飲んでいる感覚が楽しめ、さらにアルコール類は店内価格より200円引! しかも1ドリンクごとに割引になるとは、なんて太っ腹なんでしょう。
奥のカウンター席も調理台をテーブルにしているので、まるでキッチンで食べているかのような距離感。調理している様子を見ていると、「それ、こっちにもお願いします」とついつい頼んでしまうことになるので要注意ですが、この店のスペシャルシートであることは間違いないです。
2階はしっぽりできるカウンター席とテーブル席があり、様々なニーズに対応できるのでとても便利。
単なる居酒屋料理にあらず。アイデアあふれるメニューばかり
店内で渡されるステッカーのQRコードをスマホで読み取ると、メニューが表示される仕組み。紙のメニューを何度も触らなくて済むので、新しい生活様式にもマッチしています。
フードは揚げ物を中心に、「やみつきたたききゅうり」「キノコとチーズの玉子焼き」「スモークサーモンのチョレギサラダ」「カニのマカロニグラタン」など、ノンジャンルの居酒屋料理がズラリ。
料理長は外苑前「2colori(ドゥエコローリ)」「モツ酒場 kogane(コガネ)」など、数々の人気店で腕をふるっていた山口高志さんだけに、単なる居酒屋料理にあらず。キラリと光るアイデアとセンスが溢れています。
香り高くジューシーな「ラムカツ!!」
この「ラムカツ!!」、サクッとした食感の後に、グリルしたように香り高くやわらかい肉質のラムが現れます。そこにミモレットチーズのうまみと、ラムには欠かせないスパイスのクミンがさらに複雑味を増すのです。
オーストラリア産ラムのランプは脂が適度にのり、とってもジューシー。でも、ヘルシーなラムだけに意外に軽い味わいです。
低温調理した鴨と薬味が相性抜群の「鴨わさ」
こちら(写真上)は鳥わさならぬ鴨わさ。サラダ仕立ての九条ネギとミョウガ、わさび漬けの野沢菜、そしてわさび醤油とオリーブオイルで和えた鴨をのせています。ゆっくりと低温調理した鴨はものすごくやわらかい!
それにしても、かなりのボリューム。鴨は10枚ほどのっています。「昔から少量だと不安になっちゃうんですよね」と笑う山口さん。
絶対注文したい! 人気No.1の「揚げ物盛り」
さて、いよいよお待ちかねの揚げ物盛りが登場。「本日のおまかせ揚げ物盛り」には5種、7種、10種があります。
取材当日の10種は「メンチカツ」「ハムカツ」「鱈のフリット」「舞茸」「ナス」「かぼちゃ」「ズッキーニ」「オクラ」「ゼッポリーニ(イタリア・ナボリの郷土料理)」「エビの春巻き」で、定番のメンチカツ以外は、“今おいしいもの”ばかり。
そのままでも十分おいしいのですが、添えてあるシナモン、八角、マーマレードを入れて煮込んだ自家製ソースやいぶりがっこを使ったタルタル、トリュフ塩をつけて味変するのも楽しい! 何の揚げ物が入るかはおまかせですが、1階のカウンターなら「これ、入れて欲しい」ができるかも!?
定番の「メンチ」は完成までに試行錯誤があったそう。「どこにでもあるだけに、他との差別化を考えていろいろやってみたのですが、変えようとすればするほどおいしくなくなっていくんです。結局、信頼できる肉の業者さんから良い肉を挽いてもらって余計なことをしないと決めました。隠し味はちょっとの水です」と山口さん。
奇を衒わずに良い食材を使うことにしたので、厳選したのはパン粉と油。使用するパン粉は、アジやメンチにはクラスト(食パンの耳の部分)入りの粗挽きを、ラムカツにはクラム(やわらかい部分)だけを挽いたものを、と食材によって変えています。ぜひその違いを味わってみて!
油はパン粉に合わせていろいろ試してみた結果、パンチがあって香りが立つラード100%に落ち着いたそうです。「食材の味がしっかりしているので、このくらい濃い方が合いますね。だから何もつけずに食べてもおいしいんです」と教えてくれました。
カリスマ製麺師監修の麺を使ったパスタは、テイクアウトもOK
このシンプルで美しいパスタはイタリア・ローマの郷土料理、「カチョエぺぺ」をアレンジしたもの。本来はペコリーノチーズ、黒胡椒と鶏スープで作るところを、鶏スープの代わりに鶏節をたっぷりかけています。ふわふわの鶏節は食感も香りも格別!
麺は150gあり、なかなかの食べ応え。でも「浅草開化楼」のカリスマ製麺師、不死鳥カラスさんが開発した「低加水パスタフレスカ」は、いくらでもお腹に入ってしまいます。麺がのびずソースによく絡むので、テイクアウトにももってこい!
テイクアウトではトマトやクリーム系、イカスミなどのパスタ10種類に野菜や魚介のフリット、揚げピザも用意しています。
イタリアンを続けてきたからこそ「ニショク」スタイルが閃いた
長年、イタリアンに携わってきた山口さん。イタリアのナポリでは、ピッツァだけでなくパスタやフリットをテイクアウトしていることを知り、いつかイタリアンのテイクアウトを始めたいと思っていたそう。
「でも、そのままではイタリアと同じなのでフリットは揚げ物に代えて居酒屋に、パスタはテイクアウトにしたら新しいはず!と、閃きました。それに流行りのサワーとハイボールなら揚げ物に合うなと、店のコンセプトが決まったのです」
サワーは、定番の「生搾り! 瀬戸田レモンサワー」や「季節のフルーツサワー」など12種類。ハイボールにはフルーツやスパイスを使い、10種類もあります。自由が丘を中心に国産レモンの広報活動を行っている鈴木慶洋さんとコラボした、「レモンザムライの今月のレモンサワー」はここでしか飲めないと大人気。揚げ物には、やはりシュワシュワがぴったり!
揚げ物が食べたいからイートイン、イタリアンが食べたいからテイクアウトと、「ニショク」という店名の通り、2つの色を楽しんでみて!
※価格はすべて税抜