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【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】2月を振り返る
今月は創業70周年を迎える老舗からはじまり、本物の北インドカレー、お母さんのスパイスカレー、そして個性あるスープカレーの4軒でした。寒い時期なので裏テーマに「身も心も温まるカレー」と考えてご紹介した次第です。
カレーにも様々な形があります。「カレーは家庭のカレーに限る! インドカレーやスープカレーやスパイスカレーは苦手!」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、本当に美味しいお店のカレーを食べれば印象も変わるはず。
何より人生の楽しみが増えます。流行のカレーも良し、伝統的なカレーも良し、家庭のカレーも良し。決めつけず素直な気持ちでカレーを楽しんでいただけたらと思います。
【第1週のカレー】創業70周年!日本最古のインド料理店で味わう古き良き名物カレー
日本最古のインド料理専門店とは、いったいどこかご存じでしょうか?
答えは東銀座にある「ナイルレストラン」です。「新宿中村屋」も古くからインド式のカレーを提供していますが、インド料理専門店となるとナイルレストランが初。今年で何と創業70周年を迎える老舗です。
「ナイルレストラン」外観
21世紀に入り、インド料理店も様々なスタイルのお店が増えました。北、南、さらにはもっと細かい地域を追究した、本格的な現地の味をいただけるお店もあります。
ナイルレストランはどうかというと、まだインドのスパイスも簡単に入ってこなかった時代から存在するお店ですから、日本における古き良きインド料理といえるような味がベースとなっています。その感覚は残したまま、現代的で本格的な現地の味そのままのメニューもいただくこともでき、様々な楽しみ方ができるお店といえるでしょう。
名物「ムルギランチ」
名物メニューは「ムルギランチ」1,500円。店員さんから物凄い勢いでこれをすすめられますが、初訪問の方はこれで間違いありません。骨付きチキン、スパイスで味付けしたマッシュポテト、キャベツ、ご飯、そしてカレーソースが一皿にのったワンプレートメニュー。ランチという名前ですが昼でも夜でもいただけます。
インド人店員さんが「マジェテ食ベテ!」と言いながらチキンの骨を取り、そして混ぜてくれるのを見るのもまた楽しいひと時。程良くスパイシーでありながらまろやかさもあり、肉と野菜の美味しさをスパイスが引き立てていて、食べる人の年齢も時代も問わない美味しさであり、カレー好きなら一度は食べておかないとならないマストメニューといっても過言ではありません。
「チキンマサラ」
他のメニューも美味しいので色々食べたい時には複数人で行くのが良いでしょう。「チキンマサラ」1,450円は辛口でセミドライタイプの本格的なインドカレー。シンプルかつ力強く、多層的に重なるスパイス感が鶏肉の旨味を立体的に立ち上げ、美味しさの体積を広げています。
「海老カレーライス」
爽やかな「海老カレーライス」1,400円と合わせて食べると、軽快なカレーと重厚なカレーの対比で楽しさも増しますし、混ぜて食べればその美味しさも多角的に広がっていきます。
時代を問わない美味しさ、古き良き美味しさ、そして現代的な美味しさまで、様々な美味しさが味わえる文化遺産的名店。僕自身、10代の頃から今に至るまで通い続けているお店なのですが、どの年齢の時に食べても美味しいと感じるのは凄いことです。
愛されて創業70周年
人気店のまま70年続いているのには、確かな理由があるのです。
※価格はすべて税込
【第2週のカレー】せんべろの街 赤羽で飲む前に食べたい北インドカレー
飲み屋街としてすっかり有名になった赤羽。週末ともなると多くのお店が満席状態の賑わいです。そんな時は、今回ご紹介する北インド料理の名店「バーワルチー」がおすすめ。
「バーワルチー」の外観
テイクアウトメインの小さなお店ですが、ニューデリー出身のマスターが作る、現地の味を忠実に再現した本格的な北インド料理はどれも絶品! 個人的な話ですが、赤羽は僕の家から遠いにもかかわらず、ここのカレーが食べたいがために何度も足を運んでいる大好きなお店です。
インドのビールやワインもボトルで置いてあるので、実はお酒を飲めるお店でもあるんですよ。お昼はランチのセットメニューが基本ですが、こちらのお店が本領発揮するのは、やはり夜のアラカルト。
「チキンベイガン」
「チキンベイガン」1,250円は、バーワルチーオリジナルレシピの鶏肉と茄子のカレー。絶妙なスパイス使いで素材の美味しさが存分に引き出されていて、とにかく美味しい! マスター曰く「インドの露店の味」ということで、毎日食べても飽きのこない健康的な美味しさなのです。
「パラクパニール」
もうひとつ、「パラクパニール」1,250円も僕のお気に入りのメニュー。インドのカッテージチーズが入ったほうれん草カレーなのですが、インドほうれん草カレーランキングをつけるとしたらここが僕のNo.1!
ほうれん草の旨味や甘味はもちろん、ある種のエグみもあえて消さずに残し、スパイスマジックによってほうれん草の持ち味すべてが高められ、美味しさのレベルを最大限に増しているのです。ほうれん草がスパイスの力を借りて全力で美味しくなっているとでも言いましょうか。
そこに入るパニール(インドチーズ)は、ほうれん草の味を見事に引き立て、ほうれん草が持っていない美味しさでサポートする最高の具材。ほうれん草好きにはたまらない一品です。
「タンドリーロティ」
インド料理といえばナンを思い浮かべる方も多いでしょうが、こちらでは「タンドリーロティ」400円がおすすめ。全粒粉の香りがカレーの香りをさらに深め、高め、香りの相乗効果が生まれるのです。
化学調味料や着色料は完全無添加を徹底し、己の知識と技術のみで素材の美味しさをマックスまで引き上げることができるマスター。最高にカッコいい! 生粋の料理人なので、食べ方や飲み方、所作などが良くない人に対しては厳しいです。しかしそれは最高の状態で本物のインド料理を食べて欲しいという熱い思いから来るもの。
酔っ払ってから行くのではなく、お酒を飲む前のウコン摂取という意味で行くのが良いかもしれません。ウコンは別名ターメリック。カレーに無くてはならない代表的なスパイスですからね。
※価格はすべて税込
【第3週のカレー】HPもフル回復!東新宿の“お母さんのスパイスカレー”って?
本格的なカレーを提供するお店には名店で修行した誇り高き職人のようなシェフがいたり、他の何にも似ていない自由な発想で作られたカレーのお店には自由な考え方で我が道を行くようなシェフがいたりと、カレーと作り手の人柄は共通する部分も多いように感じます。
今回ご紹介するお店「サンラサー」のカレーは、インドやスリランカの作り方を基本としながら、日本人がオリジナルの感性で進化させた、所謂スパイスカレーという範疇にあるカレーでありながら、昔ながらの家庭料理を味わっているような気持ちにもなる癒やしの美味しさです。
これは何故かというと、店主がお母さんのような方だから。言わば「お母さんのスパイスカレー」。そんなカレーなのです。
お店の場所は、ゲーム好きなら知らない者はいないであろうスクウェア・エニックス本社の近く。ビルの3階にある小さなお店であり、カレーの提供数にも限りがあるので確実に食べたい方は予約必須ですが、早い時間なら予約せずにいただけます。
完売のお知らせ
メニューは「定番カレー」と「週替わりカレー」、そして「アチャール」(スパイス漬け物)が色々というラインアップ。この日の定番カレーは麻婆カレー。そして、週替わりカレーはポークタマリンドカレーでした。アチャールも色々と気になったので、全部のせ的な、「わんぱく」1,900円でいただきました。
「わんぱく」
麻婆カレーは、マンゴーソースがかかっているというのが非常に個性的。マンゴーの甘味と酸味が加わることによって、他に無いオリジナルの味になっているのが流石です。
そしてポークタマリンドカレー。これがまた凄かった! タマリンドのフルーティーな酸味と豚肉の甘味が、唐辛子の辛味を上手に包み込み、渾然一体となった美味しさに仕上がっていました。
サラダにも注目
サンラサーはサラダのドレッシングが非常に美味しいこともその特徴なのですが、そのドレッシングにしろアチャールにしろカレーにしろ、フルーティーさを感じることが多く、これが食後に感じるお母さんが作った家庭料理的な優しさに繋がっているのかもしれません。
「チャイブリュレ」
デザートに「チャイブリュレ」400円もいただきました。程良い甘味が癒やし効果をさらに深めてくれます。小さなお店で立ち食い形式でありながら、ここまで気持ちがほっこりするのは凄いことです。
それは料理の力ももちろん、店主さんの人柄もあってこそ。お客さんの悩み相談を聞いているシーンにもしばしば巡り合います。お会計をすませると「いってらっしゃい! 頑張ってねー!」と笑顔で手を振って見送ってくれました。
場所柄ゲーム業界の方も多く常連として通うお店であり、店主さん自身も大のゲーム好きということもあって、お店の中にはセーブポイントまであります。
ここで回復!
多くのRPGが最初は家から旅立ちます。戦いに疲れて家に帰るとお母さんが待っていてくれて、HPもMPも回復してセーブもできたりして。サンラサーはまさに、そのようなお店なのです。戦いに疲れたら行ってみてください。きっと癒やされますから。
※価格はすべて税込
【第4週のカレー】こんな所に名店が!団地内の商店街にある絶品スープカレー店
カレーを食べ慣れている人とそうでない人では、カレーに対する認識も違えば好みも違い、マニア向けのカレーと一般向けのカレーはえてして違うものですが、本当に美味しいカレーであれば、マニアであろうとなかろうと、大人だろうと子供だろうと、多くの人が美味しいと感じるはず。
今回ご紹介するのは、どちらかというとカレーを食べ慣れている人が好むスープカレーというジャンルでありながら、食べ慣れていない人や子供でも美味しいと思える絶品スープカレーのお店「スープカレー鳩時計」です。
お店は京王線・武蔵野台駅から徒歩5分程の場所にある、車返団地内の商店街にあります。団地ですからメインの客層はファミリー層。武蔵野台という駅自体、住宅街なので居住者ではないとなかなか行かない場所ですが、このためだけに電車を乗り継いで行く価値があるお店です。
カフェのようなおしゃれで清潔感のある店内。週末のランチタイムともなると家族連れで満席となり、行列もできる程の人気ですが、平日夜なら今のところそれほど待たずに入れる可能性が高いです。
チキンと野菜のスープカレー
看板メニューは、「チキンと野菜のスープカレー」1,180円。様々なスパイスやハーブ、野菜を使って煮込まれたスープは優しくも奥深く、後を引く美味しさ。甘味、塩味、辛味、旨味、そしてハーブによってほんの少し感じる苦味まで含めて全ての味覚が刺激され、完璧なバランスの絶品です。
アジアンハーブとチキンのスープカレー
「アジアンハーブとチキンのスープカレー」1,350円はベースのスープにタイ系のハーブとココナッツミルクが追加され、チキンレッグも揚げ鶏になっていることによってエスニック感を増したもの。これまた最高に美味しい!
「ザンギ(北海道の鶏唐揚げ)」1個100円をトッピングすることもできるのですが、これがまた揚げ具合も下味も良く、おすすめです。こちらのスープカレーは食べ進めていくうちにじわじわと汗が出てきて、食べ終わると身も心もスッキリした気分になれるのも良い所。
食べる甘酒とアイスコーヒー
スープカレーのみならずデザートやドリンクもまた最高。デザートの「食べる甘酒」420円は、優しい甘味で辛い物を食べた後にぴったり。「アイスコーヒー」420円が合います。「特製チャイ」420円も忘れてはなりません。程良い甘味でじんわりと身体に染みる美味しさ。オリジナルの器にも物語性があって楽しいです。
特製チャイ
店主はスープカレーの名店「サムライ」の北海道スープ工場でスープカレー作りのノウハウを学び、サムライ下北沢店では毎週オリジナルのスープカレーも出していたそうです。鳩時計のスープカレーはサムライのスープカレーとは確実に違う味でありながら、超人気店サムライにも負けないオリジナルの美味しさだというのが素晴らしいじゃないですか。
メニュー
この味なら誰が食べても美味しいと思うでしょう。団地という場所で家族連れにも人気があるというのがその証拠。このカレーを食べて育つお子さんは幸せですね。カレーは好きだけどスープカレーはイマイチと感じている方にも是非食べてもらいたい逸品です。
※価格はすべて税込
取材・文・写真:カレーおじさん\(^o^)/