定食王が今日も行く!Vol.67
たれやトッピングも多種多様な納豆ワンダーランド!
昭和36年創業の老舗メーカーによる
納豆文化を盛り上げる挑戦
国道246沿い世田谷区池尻の交差点にある「せんだい屋」、実は山梨県笛吹市に工場を持ち、昭和36年から納豆を作り続ける老舗メーカーだ。店内には日本各地からセレクトされた鑑評会受賞商品から、オリジナル製品、そして人気のなっとうドーナツや小丸ふらい、甘納豆などのお菓子類などを販売している。
3代目社長の伊藤英文さんは、東京のインターネット広告代理店で10年働いた後に、家業をついだそうだ。昭和40〜50年代、山梨県は全国でも納豆の消費量がかなり多く、納豆屋が多く存在したそうだが、最近では消費量や店舗数も減少しつつあるそうだ。
そんなか納豆の食文化を盛り上げるために、イートインができる店舗を開店。納豆食べ放題は、今でもかなりの人気で、ランチタイムには行列ができている。食べ放題で、たらふく納豆を食べたはずなのに、帰りには持ち帰り用にまとめ買いをしてしまう。そんな納豆の魅惑にメロメロになる、“納豆ワンダーランド”だ。
9種類の納豆が食べ放題
自分だけの味を見つけたい!
せんだい屋のイートインのメニューは、もちろんすべて納豆が主役。その中でも納豆好きにたまらないのが「納豆食べ放題定食」だ! 納豆好きを名乗っておきながら、納豆を本格的に食べ始めたのは、実は東京に来てからだ。西日本エリアでも都道府県によって納豆を食べる文化、好き嫌いはかなり分かれる。納豆の面白さは、豆の種類、容器、食べ方によって、かなり多様なキャラに変身することだ。
食べ放題定食に“焼き鮭”を追加。ひじきの煮物に、野沢菜の漬物に、お味噌汁と、旅館の朝を彷彿させるような、日本の朝定食の定番セットだ。
まずは必ず食べて欲しいのが「えだ豆納豆」。北海道産のえだ豆品種の青大豆を使用。口に入れた瞬間に、豆の甘みをじゅわっと感じる。匂いも控えめで、納豆が少し苦手な人でも食べやすいはず。
そしてせんだい屋のロングセラー「国産100%大粒納豆」。第11回、第15回全国納豆鑑評会にて会長賞を受賞。真珠のようにキラキラ輝く北海道産大粒大豆を使用ぢし、クセがなく食べやすい。ご飯がどんどん進む逸品だ。
きび、ひじき、ワカメ、
混ぜて、かけて、より美味しく!
豆の種類の違いだけでなく、混ぜ方でもかなり味わい方が変わる。ごま納豆、わかめ納豆、ひじき納豆、きび納豆など、複数の具材と絡めることで納豆の新しい味わいを感じることができる。
ひじき納豆、わかめ納豆は、わかめやひじきなどミネラル分たっぷりの海藻ならではの凝縮した香りや旨味が、納豆を包み込みご飯に合う。白飯が進むおすすめレシピ。
きび納豆は栄養満点のきびが、大豆のまわりをコーティングする新食感! ふっくらとした大豆ときびのプチプチの食感が交わり、口の中で弾ける。
きひ割納豆には生卵をつなぎにすることで、その食感がより生きてくる。他にも大根おろしや、梅ちりめんなどのトッピングを加えることで、自分だけの納豆の食べ方を見つけることができる。
陶芸家で美食家としても知られる「北大路魯山人」も納豆の混ぜる回数について、1922年に雑誌『星岡』の中で語っている。何も加えず、硬くなるまで混ぜる。まとまりだしたら、醤油・たれを加えて混ぜる。そして辛子、ネギなど薬味を入れる。混ぜること、加えることでどんどん味や表情を変えていく、カメレオン俳優のような納豆。粘り強く混ぜることで本当の旨味を味わえるはずだ。自分だけの納豆の楽しみ方を、ぜひ見つけてほしい。