お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない!といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度美味しいこの連載。第6回は、町歩き編! 猫井先生がスイーツトレンドの町として注目する「清澄白河」の美味しいものを紹介します。

【猫井登のスイーツ探訪6】〜清澄白河でスイーツ町歩き編〜

 

編集(以下、編):今日歩く「清澄白河」ってどんな街なんですか?

 

猫井(以下、猫):ガイドブック的に言うと、「江戸以来の下町情緒あふれる隅田川と運河に囲まれた緑豊かな水辺の街」「深川江戸資料館や東京都現代美術館などがある、歴史とアートの街」ということになりますが、2000年以降、大江戸線の開通、半蔵門線の延伸で交通の利便性が向上したことから、高層マンションの建設が盛んになり、小さなお子さんがいる若い家族も多く住む街ですね。

 

2015年にはブルーボトルコーヒーが日本第1号店を出店したことから、コーヒーの聖地としてクローズアップされ、おしゃれなカフェのほか、ブーランジュリー、パティスリー、雑貨店などが急増しています。

 

〜清澄通りを森下方面へ歩き、小名木川に架かる橋を渡り、左手2本めの道〜

【1軒め】リコッタチーズパンケーキは必食!「イキ エスプレッソ」

出典:サロンちゃん

 

編:わぁ〜。いきなりおしゃれなカフェですね!

 

猫:2016年1月に茅ヶ崎市より移転オープンした、「エスプレッソとライフスタイルを融合したオセアニアスタイルのカフェ」というコンセプトを掲げるおしゃれなお店です。

 

 

こちらはスイーツ類も充実。スフレみたいにふんわりとした「リコッタチーズパンケーキ」(写真下)は人気ですよ! そのほか、日によってはティラミスなどもあります。

 

出典:910ta693さん

そうそう。この辺りのカフェに入ったら「KIYOSUMI SHIRAKAWA FREE MAP ROUTE」をまず入手してください! 無料で、レジや座席の横に置いてあります。カフェやそのほかの主要なお店が載っていて、非常に便利です!!

 

〜再び清澄通りに戻り、森下方面へ〜

 

編:今度はどちらへ?

 

猫:お腹がいっぱいになったので、少し歩きましょうか。「カトレア」さんに行ってみましょう。カレーパン発祥のお店ですよ!

 

編:パン屋さんじゃなく、スイーツのお店の紹介を……。

 

猫:まぁまぁ。この辺りに来たらこのお店は絶対に外せませんから! 歴史的に非常に重要な意味を持つお店ですし、こちらのカレーパンは絶品ですよ!!

 

編:(猫井先生は歴史研究家だから、こういうお店を見つけるとと燃えちゃうんだよなぁ……)

 

 

出典:chokkoさん

 

猫:カトレアの前身である「名花堂」は1877年(明治10年)創業。昭和2年、カレーパンのルーツといわれる「洋食パン」を実用新案登録されました。

 

ちなみにカレーパンの焼き上がりは、7時、11時、15時の1日3回。紡錘形のものが普通の辛さのカレーパン、丸い形のものが辛口です。

〜清澄通りを、小名木川の方向に戻り橋の1本手前の道を左へ〜

 

猫:さて、商店街を少し歩いてみましょうか。「高橋」と書いて「たかばし」と読みます。昔ながらの商店街ですが、最近、オシャレなイタリアンやバルなども増えています。

 

 

例えば「ベッラ・ナポリ」さんは、日本におけるナポリピッツァの先駆的なお店として有名で「食べログ ピザ 百名店 2018」にも選出されていますね。いつも人でいっぱいですよ!

編:こちらの商店街は、おせんべい屋さんとか、懐かしい雰囲気のお店が多いですね。

 

猫:森下4丁目の信号の手前あたりにある「ブーランジェリーメゾンノブ」さんのパンも絶品ですよ。地元の人がひっきりなしに入っていくでしょ? ハード系や14時頃焼き上がるバターたっぷりの「食パン」のほか、デニッシュパンなどのヴィエノワズリー系も充実している実力店です。

〜森下4丁目の信号で右折、小名木川を渡って東深川橋の交差点の1本手前の道を左へ〜

 

猫:あそこに見えるのが「ヒキダシ」というカフェです。

 

編:変わった名前ですね。

 

猫:革製品を製造する工場をリノベーションして作られたカフェで、お店の壁一面に「引き出し」があるんです。こちらは、シフォンケーキやタルトなどの「おやつメニュー」も充実していますよ。

〜清洲橋通りに出て、白河三丁目の交差点を右へ。三ツ目通り左手2本目の道〜

【2軒め】アートチョコレートも食べられるビーントゥバー専門店「アーティチョーク チョコレート」

編:こちらは、なにかの工房ですか?

 

猫:カカオ豆の焙煎からチョコレートの製造・販売までを行う、ビーントゥバーのお店です。産地別のタブレットが有名ですが、“骨付き肉”のようなアートなチョコレートも有名ですね。期間限定でパフェも食べられますし、接客もとても丁寧で試食にも応じてくれますよ。

 

出典:えもやん★スイーツハンターさん

 

編:本当だ! チョコレートといわれなかったら気づかないで食べちゃいそうですね。

〜清洲橋通りを隅田川の方へ東深川橋の交差点を越えて1つ目の角を左へ〜

 

猫:ちょっと寄り道して、面白いお店というか工場をご紹介しましょう。

 

編:工場ですか??

【3軒め】格安で購入できるホールケーキが人気「藤堂プランニング」

猫:こちらは、三笠会館のシェフパティシエなどを歴任された藤堂シェフによるスイーツ工場ですね。時間によっては、丸ごと1ピース試食しながらチョイスできることで、テレビなどで取り上げられて有名になりましたが、これは味に納得した上で購入してほしいというシェフのサービス。「スフレチーズケーキ」は、藤堂シェフの長年作り続けてきたスペシャリテです。

 

出典:えもやん★スイーツハンターさん

 

編:ホールケーキを格安で購入できるって珍しいですね。ホームパーティーをする時に重宝しそう!

 

猫:小さなお子さんを持つ家族が多く住む地域ですからね。バースデーケーキとかにはいいでしょうね。

 

出典:えもやん★スイーツハンターさん

〜スイーツを求めて町歩きは後編へと続く〜

次回、スイーツ町歩き「清澄白河」編後半は、数々の受賞歴を持つ有名パティシエのケーキ店や、イタリア生まれの新感覚デザート専門店をめぐります! お楽しみに。

 

文・撮影:猫井登