〈食を制す者、ビジネスを制す〉
多忙な人の起床時間は?
ビジネスパーソンの皆さんは朝何時頃起きているだろうか。会社勤務の場合なら、始業時間が朝9時~9時半くらいだろうから、6時半とか7時くらいが起床時間かもしれない。他方、フリーランスで仕事をしている場合は、夜中に仕事をして、正午ごろに起きだして一日が始まるという人も少なくない。
実際、作詞家の秋元康さんは、打ち合わせなどの仕事を終えて帰宅するのが午前2~3時。それから1人の時間を使って作詞や原稿執筆などの仕事をして、就寝するのが午前6~7時。その後、正午ごろに起きて午後から仕事に出かけるという生活パターンを送っているという。ちなみに執筆作業などが多い秋元さんは日頃、あまりお酒を飲まないというから、私たちがイメージするよりも、ストイックな生活を送っているかもしれない。
起業家の場合も事業を立ち上げる際は、昼も夜もない。ハードワークに次ぐハードワークとなる。楽天の三木谷浩史さんは、創業して1年半の間、毎日2時間しか寝なかったという。肉体的には疲労していたというが、精神的にアクティブでないと道は拓けない。ビル・ゲイツの場合も創業当初、仕事で最も興が乗るのがなんと午前2時。36時間ぶっ続けで仕事をして、10時間ほど睡眠をとる。目覚めてピザを食べて、また仕事を始めるといった生活を送っていたという。
朝風呂の効用
とはいえ、世の中の大半のビジネスパーソンは朝型の生活を送っていることだろう。朝の時間といえば、何かと忙しく、ドタバタして出かけるという人も少なくないはずだ。一方、朝の時間を大事にするために、極端な場合、早朝3時に起きて、出勤する7時までの4時間をジョギングや読書などトレーニングと勉強に使っている人もいる。どちらにしても朝の時間の使い方で、最も重要なことは、自分の頭と身体がきちんと動ける状態にすることにある。
そのとき最も簡単で有効な方法は朝風呂だ。朝起きて、寝ぼけた頭を活性化させるには風呂に入るのが一番。ゆっくり入って汗をかけば、前日のお酒だって抜ける。早朝からホテルのプールなどで泳げる立場にある人はいいが、朝の時間を有意義に過ごすためには朝風呂が現実的だ。この朝風呂の習慣を大事にしていた経営者もいる。例えば、現在のホテルオークラや大成建設などの礎をつくった大倉財閥の創始者である大倉喜八郎だ。彼は富豪になるための秘訣を披露した自著で次のように語っている。
「私の強壮を助長するにあずかって力あると思うのは、私は毎朝起きるや否や必ず入浴するのである。それは私の習慣となっておるのである。私は別段に時間を定めて運動というものはしないが、この入湯が自ら運動となって、これが為に血管の循環を助け、悪気をも払い、皮膚を清潔にすると同時に、その強壮を促すに於て多大の効果があるのである。のみならず入湯の精神上に及ぼす効能はまた驚くべきものがあって、毎朝床を蹴って起きて、入浴一番すれば、心気たちまち爽然として天地皆春の如き感が起こるのである。とにかく私の健康は朝風呂の為に多大な貢献を得ているのである」(『致富の鍵』)
出張の時も朝風呂派
私も毎朝、朝風呂をすることにしている。それも1年中欠かさない。15~20分程度で、頭もスッキリして、身体も爽快。仕事ができる態勢に整えることができる。
先日、出張で香川県高松市に行ったときもそうだった。宿泊したビジネスホテルの最上階に大浴場があったので、午前6時に起床して利用した。
前日はよく食べて、よく飲んだ。香川県といえば、さぬきうどん。出張だったので、有名どころの店には行けなかったが、普通の店でももちろんおいしい。どの店も一定のレベル以上で、さすが香川県だと感じた。それでも夕食となれば、うどんだけでは物足りない。何か香川の名物はないか――。そんなとき思い出したのが、「骨付鳥」だ。これは香川県丸亀市の名物料理で、塩コショウやニンニクなどで味付けした骨付きの鶏もも肉を特製の油で焼いたものだ。骨付鳥の有名店といえば「一鶴」。本店は丸亀市だが、高松市にも支店がある。早速、行ってみたが、これが良かった。鶏は2種類あって、「おやどり」は歯ごたえがあり濃厚な旨み、「ひなどり」は柔らかくジューシー。入店後、つまみをいくつか摘まんだあとに「ひなどり」を注文した。これがビールに本当によく合った。そして、〆には鶏の旨みが詰まった炊き込みご飯の「とりめし」というコース。こうして充実した高松の夜を過ごしたのだが、実は「一鶴」の骨付鳥は横浜でも食べることができる。「一鶴横浜西口店」で、JR横浜駅から徒歩5分だ。ぜひ行ってみてほしい。
それにしても「骨付鳥はうまかった」。そんなことも思い出しながら、ホテルで朝風呂をしたあと朝食で和定食を食べて、ホテルの周囲を散歩しているとJR高松駅の近くに朝から営業している立ち食いのうどん店を見つけた。朝風呂のおかげでまだお腹に入る気がして、2回目の朝食に挑むことにした。