おしゃれフードトレンドを追え! Vol.30

寒い日は異国情緒たっぷりのアジア鍋に限る理由

22℃から0℃。気温変動の激しさについていけず、体調ダウン気味の近頃。ファッション業界は展示会シーズン(2019年春夏ファッションの受注・展示)真っ盛りだが、人に会うたびに「喉が痛い」「鼻水が……」と風邪の話ばかり。こんな時期のごはん会は、鍋の店と決まっている。冬は鍋でしょう!というのはどの業種でも定番だが、おしゃれ系人種の場合は「火鍋行こう」「薬膳行こう」「ベトナム?中国?台湾?」といった、一捻りある異国鍋に行くのが昨今のメインストリームだ。ひと昔前(約10年前)は鍋といえばみんなモツ鍋だった。代官山の蟻月や中目黒の鳥小屋はファッション業界人だらけで、週一回はモツ鍋を食べていたような記憶さえある。

 

さてアジア異国鍋にどうしてこんなに惹かれてしまうのか? それはまず、東京にいながらにして味わえる外国感だ。見たことがない食材を使っていたり、店員が片言の日本語でオーダーが正しく伝わったか不安が残る感じだったり、全てがエキゾチックでミステリアス。クリエイティブな発想には、見たことがないもの、味わったことがない未知の世界を開拓することが大切。そんな刺激、あるいは辛味を与えてくれるのが異国鍋なのだろう。

 

ファッション業界の方々にはもはや定番となった異国鍋の店を、いくつかご紹介したい。懐かしいね、えっ今さらじゃない!?という声も聞こえるが、そんな方は間違いなくクリエイティブ系職でしょう。これらのお店を初めて知ったというあなたには、新たな異国鍋をどんどん開拓していただきたい。

神田ガード下の異国!羊肉しゃぶしゃぶ鍋なら「味坊」へ

羊肉しゃぶしゃぶ(出典:お肉女さん

 

神田にある本格中華料理の「味坊」は、とにかく雑多な庶民感と異国感が半端ない。もちろん店員さんは全員中国人。日本語が分からない方もいるので、オーダー時にメニューの名前を言うと「番号で言って!」と注意されることもある。ここは中国北東部の黒竜江省の羊肉料理が名物のお店で、中国の方々も連日訪れる。注文必須のラム串5本セットはジューシーなラムが絶品で、春雨とパクチーのサラダ、山椒チャーハンなどスパイス感が独特な一風変わった中華料理だ。冬は炭火火鍋をオーダーするのがお約束。火鍋の鍋とは違い煙突がついた羊肉しゃぶしゃぶの鍋で、具は羊肉、ほうれん草、キャベツ、大根、春雨、高野豆腐など、締めは中華麺だ。スープはクコの実、ナツメ、生姜、長ネギなど羊肉に合う香辛料が入ったクリアなスープ。香菜を入れた胡麻だれにつけて食べるのだが、この胡麻だれが本場の味、日本人では作れない絶妙なスパイス感だ。付け合わせの白菜漬けがまた美味。異国を求めて神田まで足を運ぶおしゃれ人が後を絶たない。

冬は名物のレモングラス鍋!新大久保の人気店「ベトナムちゃん」

南国ムードのある店内(写真:お店から)

冬季限定ベトナム鍋は4,500円(税抜)のコース。前日までに予約を(出典:えすいさん

 

辛味も少ない優しい味の料理を提供する人気店「ベトナムちゃん」。新大久保駅からすぐ、韓国料理エリアから少し離れた“東南アジアゾーン”に店を構えるベトナム料理店だ。店内のカラフルな壁紙、器や籠などの食器類、スタッフの制服、それぞれにベトナムの現地感が溢れていてかわいらしさもいっぱいだ。

 

こちらの名物は「冬季限定レモングラス海鮮鍋」。レモングラスのハーブやスパイスの入った鍋の周りにぐるっと海老、鶏肉、牛肉、つみれ、あさり、イカ、サーモン、貝などの具材がどっさり盛られている。レモングラスの香りが効いていて、辛さより爽やかさと酸味が引立っておりパイナップルなどの甘みも絶妙にマッチ。レモングラス鍋の〆は麺で! 具材の旨味が加わったスープに入れてグツグツすれば、もう風邪も飛んで行きそうだ。バインセオや春巻きとベトナムビール333をかわいいベトナム女子スタッフにオーダーすればもうお腹いっぱいになる。

旬野菜のコラーゲン鍋で美肌に!?渋谷の本格四川「月世界」

出典:ayaminnieさん

出典:ayaminnieさん

名物のよだれ鶏(撮影:小泉恵里)

 

昔は女子に大人気だった月世界だが、最近はアーティストや映像系などの男性クリエイターたちの姿もちらほら見かける。ここは渋谷道玄坂裏、ラブホ街のど真ん中にある、小さな本格四川料理店だ。旬の野菜とオリジナルスパイスをたっぷり使った体にいい料理が、私たちを惹きつけてやまない。コラーゲン鍋はきのこ鍋(豚肉しゃぶしゃぶ・大量のきのこ・発酵漬物など)と火鍋(羊肉・豚肉・レタス・さつまいもなど)から選べて、どちらもプルプルコラーゲンを入れる鍋で、翌日の肌状態への期待が高まるビューティー鍋だ。名物よだれ鶏や有機野菜蒸しなどもオーダー漏れなきように。

 

異国鍋があるお店は、普段はなかなか行かないエリアやガード下などミステリアスな場所にあることが多い。青山・六本木の庭から抜け出して、遠出するのも外国気分をアップさせてくれるのだろう。未知なる世界を求めて、冬はアツアツの鍋をいただこう。