TOKYO HIP BAR Vol.34
西新宿の“秘密基地バー”は、元ガソリンスタンド
写真:お店から
西新宿の片隅にある小ぶりな白い建物。中に光るのはシェル石油の古いネオンサイン。外には大ぶりのキャンプテント。そんな佇まいにひかれて入ってくる人も多いというこの場所は、ガソリンスタンドでも、キャンプ場でもなく、ラムとプレミアムテキーラの専門バーです。
満タンにするという意味を持つ「FILL UP」の店名からわかるように、ここは元々は30坪ほどの小さなガソリンスタンド。高度経済成長期にエネルギーを注ぎ続けたこのガソリンスタンドに敬意を払い、“今度は人々のエネルギーを満タンにしていこう”とバーが開かれたのが7年前。以来、ラムやテキーラブームの先駆けのお店として、ファンに愛され続けています。
「外観が気になっていらっしゃる方が多いので、実はラムとテキーラのバーであることを知らずに入る方が多いんです。そういう方をラムやテキーラのファンにするのがおもしろいですね」と笑うのは、店長の七海豊和さん。
ラムやテキーラに馴染みがない方にも美味しく飲んでもらえるよう、飲みやすいカクテルとして提供したり、普段飲むお酒の好みに近いような味わいのボトルを案内して、ラム・テキーラファンの市場を開拓しています。「テキーラもラムも食事と合うお酒。食と合わせて気軽に楽しんでもらえたらと思います」というおすすめ通り、ナチョスやブルスケッタなど、お酒に合う食事も用意されています。
テキーラ初心者にも飲みやすい
映画に因んだ赤のカクテル
7周年を迎えたFILL UPが今月から特別カクテルとして出しているのが、「ウェンディ」。赤い毛糸がグラスに結ばれたこのカクテルは、お客様とのご縁でプロデュースすることになったという公開中の映画「500ページの夢の束」のためのカクテルです。
映画は脚本家を目指す少女が夢を追うストーリーで、“明日元気になれそうな味わい”をイメージして七海バーテンダーが作り上げたもの。カクテルはテキーラをベースに、エルダーフラワーコーディアル、ライムジュース、グレナデンシロップ、フレッシュラズベリーを加え、最後に心身のストレス軽減させるというハーブともいわれるタイムが刺されています。タイムの爽やかな香りの後に、甘酸っぱいラズベリーが広がり、わずかにテキーラを利かせた優しい味わいです。
赤い毛糸はこの主人公ウェンディが着ているニットにちなんだものですが、運命のような赤い糸は歴史あるガソリンスタンドを引き継いだFILL UPの思いや、長年みなに愛されつづけてきた一人一人との繋がりのようにも感じられ、7周年にふさわしい愛に溢れています。昭和の東京の面影を残す西新宿7丁目の秘密基地。FILL UPの仲間に、どうぞ参加ください。