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〈食べログ3.5以下のうまい店〉

グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、京都在住のライター・中井シノブさんが薦める、朝からおいしいラーメンが食べられるお店を紹介します。
有名俳優も訪れた朝から開く鶏そば専門店
巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

今でこそ「朝ラーメン」は朝食の選択肢の一つとして定着しました。しかし以前は、早朝営業といえば「夜から朝まで通し営業」というお店が多かったのではないでしょうか。そんな朝ラーメンのイメージを一新し、新たな境地を拓いたのが「鶏そば223」です。朝からでも心地よく食べられるようにと店主の堤さんが考案したのは、重さを感じさせない、あっさりと澄み切った鶏そばでした。

地下鉄烏丸線「北大路駅」から徒歩10分。繁華街から少し離れたこのエリアは、大学や住宅が多いため人通りが絶えません。北大路通りに面したお店は、「お洒落なカフェかな?」と思わず足を止めてしまうような洗練された外観。今では開店前から行列ができるほど、多くのラーメンファンを引きつける人気店になりました。

店主の堤啓太さんが料理人を志した原点は、高校時代のアルバイトでした。「自分が作ったものを『おいしい』と食べてもらえる喜び」を知り、調理師専門学校へ進学。卒業後は中華料理店で腕を磨いたのち、京都のラーメン店へ転身します。そこで11年間、スープや麺の仕込みから接客・店舗経営まで徹底的に学んだ経験が、自身の店を立ち上げる確かな土台となったそう。
朝からでもすっと食べられるあっさり味の要は、丁寧に取る鶏スープ

長年勤めた店が醤油・味噌系だったことから、「自身の店では方向性の違う『究極の塩ラーメン』を作る」と決意。鴨川近くでの週1回の間借り営業を経て、2020年8月に「鶏そば223」をオープンしました。 朝から夕方までの営業スタイルに合わせ、目指したのは「うまみがありつつ、朝でもすんなり味わえる軽やかな塩ラーメン」。
試行錯誤の末に生み出した黄金色の鶏スープは、濃厚さとあっさり感を見事に両立させています。そのおいしさの要となっているのが、梅のエキスを与えて育った和歌山県産「紀州うめどり」です。

鶏ガラともも肉、さらには徳島県産の地鶏「阿波尾鶏」の鶏節を惜しみなく加えて煮込むことで、スープの99%が鶏だしという濃厚さに。そこに生姜など香味野菜も加え、丁寧に灰汁や脂をすくい取りながら煮込むこと3時間。旨味が最高潮に達したところで火を止め、静かに濾していきます。低温で煮込む、丁寧に濾すといったフレンチの技法を融合させることで、圧倒的な透明感と、うまみ・酸味のバランスが美しく調和する極上のスープが完成するのです。

合わせる麺は、京都の有名製麺所に特注した、しなやかで口当たりの良い細麺。300種類以上もの候補の中から何度も試作を重ね、自慢のスープに最も馴染むものを選び抜きました。なめらかでのど越しが良く、澄んだ旨塩スープとの相性も抜群。この細さと軽やかさが、朝から食べても胃に負担をかけない優しい一杯を生み出します。

トッピングの主役は、丁寧に仕込まれたしっとりもちもちの鶏チャーシュー。低温調理でじっくり熱を入れることで、スープとよくなじむジューシーな食感に仕上げています。厚切りなのにきめ細かでスッと噛み切れる軟らかさも魅力。程よいうまみを持ちながら主張し過ぎない絶妙なバランスが、スープと麺のおいしさを際立たせます。

そして、旨塩味の要となっているのが特製の塩ダレです。フランス産の自然海塩「ゲランドの塩」やヒマラヤ産のピンク岩塩など数種類の塩を厳選してブレンド。さらに羅臼昆布、ドライトマト、昆布や干し椎茸、塩麹のうまみを重ね合わせ、鶏スープのおいしさを極限まで引き出すタレを完成させました。この塩ダレと鶏スープによる絶妙なアッサンブラージュ(調合)こそが、最後の一滴まで飲み干したくなる秘訣。すっきりとした後味の中に深いうまみの余韻が残り、思わず「また食べたい」と感じさせる一杯に。
まるで極上の「カップ塩焼きそば」。ジャンキー感がたまらない

「近くの大学に通う学生さんたちに満足してほしい」という思いから生まれたのが、この汁なしの「旨塩まぜそば」です。ほんのりオイル感をまとわせたサクサクのフリーズドライ調味料が味と食感のアクセントに。親しみやすい塩焼きそばのようなジャンク感と香ばしさがポイントです。

具材は一口大の鶏チャーシュー、半熟玉子、姫三つ葉。仕上げに、ごまやローストオニオン、ガーリック、菜種油、フリーズドライ醤油などをブレンドしたサクサクの調味料をたっぷりトッピングします。全体をしっかり混ぜて食べれば、まるで「高級カップ塩焼きそば」のような風味が口いっぱいに。「一度食べると病みつきになる」と評判の味わいです。途中でチリペッパーを加えて刺激的な味変を楽しむのもおすすめです。

うまみたっぷりの「鶏丼」は、醤油と昆布だしの特製タレを絡めた鶏もも肉がご飯の上に山盛りにされた人気サイドメニュー。ラーメンやまぜそばとセットなら半額で楽しめるのも大きな魅力です。満足感あるサイズなので、2人でシェアして楽しむのにも最適。店舗で使用されている「鶏そば223 オリジナルプレミアム醤油」は購入もできるので、お店の味を自宅で再現するお土産としておすすめです。

常連客のリクエストから商品化された特製オリーブソース「ナポリの恵み」。店内でラーメンの味変用として提供されている人気のソースで、オリーブオイルに貝だし、バジル、エシャロットなどを加えた本格的な洋風の味わいが特徴です。ラーメンにはもちろん、バゲットやチーズに合わせればワインにぴったりのおつまみとしても楽しめます。

2020年8月のオープン以来、自慢の鶏だしと旨塩ラーメンのおいしさがじわじわと話題を呼び、ファンを増やしてきた「鶏そば223」。多数のメディアで紹介され、有名俳優やタレントも訪れる人気店となった今も、その魅力は進化を続けています。「スープや麺だけでなく、サイドメニューやデザート、ビールやシャンパンなどのお酒も楽しめます。ラーメンの枠にとらわれず、自分なりのコースのように自由に満喫してもらえたら」と語る堤さん。ラーメン店の枠を超えた楽しみ方をこれからも提案します。
教えてくれた人

中井シノブ
京都在住ライター。京都を中心に関西の飲食店を取材紹介する。取材店は1.5万軒以上。趣味は外飯、外酒、猫とまったり。「本願寺新報」でコラムを連載中。



