【噂の新店】すし縁

ハードルが高いと思われがちな本格江戸前寿司のイメージを心地よく覆してくれる新星が築地に誕生しました。超人気立ち食い寿司店で1日700貫を握って腕を磨いた寿司職人と、料理人でもありバーテンダーとしても活躍した店主との最強タッグ! 今すぐ暖簾をくぐりたくなる!

築地市場に集まるおいしいもの好きの目の色が変わる寿司店がオープン!

築地四丁目交差点に位置します
築地四丁目交差点に位置します

東京の食の台所、築地。市場が豊洲に移転した今もおいしいものに目がない人々が集まってきます。その築地のど真ん中、築地四丁目交差点という特等席に「すし縁」がオープンしました。本格的な江戸前寿司が1貫400円から、しかも予約なしで気軽に楽しめるとあってオープン直後から話題となっています。

MAX7名のカウンター
MAX7名のカウンター

白木のカウンターが空間を占めるコンパクトな造りは、板場とゲスト、ゲスト同士の会話が自然と弾む距離感で、築地の街に似つかわしい。11:00〜15:00のランチは立食にし、16:00〜22:00のディナーは着席にしたのもこの街のニーズに応えてのこと。

左:白石竜輝さん、右:砂辺健太さん
左:白石竜輝さん、右:砂辺健太さん

この店を切り盛りする店主の砂辺健太さんはおでん、日本料理、イタリアン、フレンチ、メキシカンで腕を振るった料理人。一方の白石竜輝さんは大分県のホテルで割烹料理を学び、神楽坂の寿司店で修業。世界的レストランガイドにも掲載された「立喰い寿司あきら」では店長を務め1日700貫ほど握っていたそう。若い2人ですが、丁寧で温かみのある接客はこの小さな空間を居心地よくします。

左:「ジンジャーサワー」(770円)、右:「すだちサワー」(660円)
左:「ジンジャーサワー」(770円)、右:「すだちサワー」(660円)

「1貫から好きなものが頼めておいしい酒が飲める店を作りたかった」と話す砂辺さんはバーテンダー経験もあり、ビールもサワーもハイボールもハイレベル。割りものは炭酸の注ぎ方、氷の数、割り方、混ぜ方でおいしさが違うそう。「ジンジャーシロップは生姜に蜂蜜と6種類のスパイスを混ぜて常温で少し発酵させるように作っています。すだちサワーは酢橘の搾り方と果汁を注ぐタイミングを変えて“酸の層”を作るんです」という話を聞けば、おいしい理由がわかるというもの。日本酒のセレクトも「さすが!」というラインアップですが、プロのバーテンダーの作るサワーやハイボールもお試しあれ!

左:「和紅茶」、右:「緑茶」(各500円)
左:「和紅茶」、右:「緑茶」(各500円)

また寿司には欠かせないとのことで、茶にもこだわり、寿司店では珍しく「緑茶」「さんぴん茶」「ほうじ茶」「和紅茶」の4種類を用意しています。茶葉の開きと香りが違うからと1煎目と2煎目を混ぜ、その香りを存分に味わえるワイングラスで提供。ノンアル派も楽しめます。

絶品本格江戸前寿司が1貫400円から!

カナダ・バンクーバーに2年ほど住んでいた白石さんは英語も堪能
カナダ・バンクーバーに2年ほど住んでいた白石さんは英語も堪能

「『立喰い寿司あきら』の親方に『人の真似をしても意味がない。自分で考えて自分のおいしいと思う寿司を出しなさい』と教えられたので握り方も自分で考えました」と話す白石さん。シャリ玉にはふわっと空気を入れて、寿司種の上にのせたら力を入れないように左手首をくるっと返す握り方は確かに独特です。

こだわりの酢飯
こだわりの酢飯

酢飯は米粒が大きくて粘りが少なく冷めても甘みがある山形県産「雪若丸」に、赤酢とリンゴ酢と米酢のブレンド酢ときび糖で作ります。「マグロには赤酢をビシッと利かせた酢飯が主流ですが、僕の目指すのは食べ疲れせず、多種多彩な魚種に合うまろやかでバランスの取れた酢飯です」と白石さん。

「真鯛」
「真鯛」

本日は「お任せ6貫+巻物」(4,500円)をオーダー。1貫目は「真鯛」です。数日寝かせてしっとりとした食感を味わうことが多い魚種なので、こちらのとれたてを思わせるゴリゴリの弾力はむしろ新鮮で魅力的。ぷっくりと丸いフォルムでほんのり温かい酢飯は真鯛の上品な脂の甘みを引き立たせます。

「ほっき貝」
「ほっき貝」

「ほっき貝」はまな板にパチンと叩きつけ、キュッと身が反り返ったところで握ります。やわらかくも歯切れが良く、貝特有の磯の風味が広がり思わずニンマリ。

「新いか」
「新いか」

夏から初秋にかけてしか出会えない「新いか」も目の前で捌きます。ツルッとした舌触り、やわらかく初々しい甘みは「新いか」ならでは。こんな繊細な味わいにもこの酢飯はぴったりと寄り添います。

「新いかのゲソ」
「新いかのゲソ」

すると粋な計らいが! 「新いか」をオーダーすると捌いたゲソを炙ってくれます。塩加減もバチッと決まり、足先はカリッと、根元はクニュッとした食感の違いも相まって酒が進みます。

「本マグロ中トロ」
「本マグロ中トロ」

マグロは仲卸先で10日ほど寝かせたものを仕入れます。しっかり脂がのったマグロはため息が出るほどのトロットロの口溶けです。不思議なのは酢飯。こんな濃厚な味わいにも酢飯が負けることなく見事に調和する、このオールマイティーさに脱帽です。

「小肌」
「小肌」

江戸前寿司の代表格の「小肌」が登場しました。美しい光沢を放つその佇まいからおいしさが伝わります。身が厚い! 酢締めの加減も完璧! このレベルで1貫400円とは驚きです。

「とろたく」
「とろたく」

最後は巻物です。あおさが入っている海苔は巻く前に炙って、さらに香りを立たせます。マグロは粗くたたき沢庵との食感を合わせています。出汁を多めにして作る煮切りはどこまでも優しく、寿司種や海苔の香りやうまみを損なわずに味わいを豊かにします。

一度暖簾をくぐればたちまち虜に!

「あきら」に鍛えられました!
「あきら」に鍛えられました!

「立喰い寿司あきら」に育ててもらったと白石さん。「お客様は店ではなく、握り手で予約されるんです。入った頃は僕が握り手と聞くと常連さんの予約が入りませんでした。でも頑張っていたら半年ほど経ったあたりから予約が1人2人と増えたんです。それがモチベーションを上げてくれて、もっと頑張ろうと思いました。1年半過ぎた頃、ある常連さんに親方より好きだと言っていただいた時には思わず『よっしゃ!』とガッツポーズしてしまったほど(笑)。今の僕があるのは『あきら』のおかげです」と当時を振り返ります。

縁がつながっていくようにと思いを込めた店名
縁がつながっていくようにと思いを込めた店名

老舗の常識に縛られない感性が成し得た白石さんの握りと、バーテンダーの技が生きる砂辺さんの酒はまさに最強コンビ! 今後は要望の多かった「つまみ」が増え、テイクアウトも始まるとのこと。どこまでも“お客様ファースト”、人気店にならないわけがありません!

※価格は税込。

文・高橋綾子 写真・溝口智彦