フードライターの森脇慶子さんが、オープン間もない新店から「いま訪れるべき良店」を厳選。トレンドに流されない確かな審美眼で、グルメならチェックしておくべき注目店をまとめて紹介します。
森脇慶子が注目する新店
1. 上(東京・麻布十番)

話題の和食店のオープンや移転、リニューアルが目立ちました。
肉割烹の先駆けでもあり、世界的ガイドブックにも紹介された実績を持つ「上」。西麻布で多くの食通を魅了してきた同店が、この7月に移転。麻布十番に、更にアップグレードしてオープンしました。

「肉は、神戸の純但馬牛。牛肉本来の旨みを味わえるようサシが入りつつも、赤身の質の良い肉を選びました」とは大久保丈太郎料理長。カウンターの向こうにどっしりと構える特注の炉窯で焼きあげる炭火焼きのステーキは、真紅の断面も美しく、しっとりと柔らか。噛み締めるほどに旨みが広がります。まさに「火を通じて素材の本質を引き出す」と語る大久保料理長の料理哲学が反映された逸品でしょう。コースは、このほかリブマキの刺身など全11品ほどで35,000円(サービス料別)。〆には手打ちそばも出ます。
上
[東京] 麻布十番駅 164m / 牛料理、日本料理
3.06 17人
¥30,000~¥39,999
¥30,000~¥39,999
月曜日、日曜日
東京都港区麻布十番2-8-6 ラベイユ麻布十番 3F
2. 黒豚ふくや(東京・内幸町)

「食べログ とんかつ 百名店」にも選出されている鹿児島の「とんかつと、しゃぶしゃぶ。黒豚ふくや」が満を持して東京進出。この8月11日、銀座はコリドー街にオープンしました。木肌の温もりが伝わる店内は、囲炉裏を囲むカウンター席が圧巻。奥は個室やボックス席もあり、集まりの多い季節には重宝しそうです。

豚はもちろん鹿児島産の六白黒豚。脂と赤身のバランスの良い肩ロースを手切りで提供。厚みのある肉ならではの存在感ある味わいを堪能させてくれます。また、手切りゆえの不均等な断面に出汁がよく絡むのも旨さの秘訣でしょう。その出汁もユニークで、通常の和出汁に加え桜島大根の割り干し大根をプラス。割り干し大根の仄かな甘みが豚の脂の甘みと呼応して余韻豊かなおいしさを楽しませてくれます。そのほか黒豚のとんかつも絶品。軽やかでいてジューシーな味わいは、幾つでも食べられそう。ちなみにとんかつとしゃぶしゃぶがセットになったコースは7,000円から。
黒豚ふくや
[東京] 内幸町駅 386m / しゃぶしゃぶ、とんかつ、居酒屋
- 22人
¥4,000~¥4,999
¥1,000~¥1,999
-
東京都中央区銀座7-2-1 東京高速道路 山下ビル 銀座コリドー街 2F
3. 無室(東京・銀座)

日本料理に薪焼きを取り入れた独自のスタイルで高い評価を得ていた「麻布室井」がリニューアルオープン。店名も「無室」と変え、この8月7日、新たなスタートを切りました。ここでは、話題を呼んだ薪焼きは封印し、炭火のみで勝負。それも、今の自分たちに必要な火を突き詰めていった結果なのだとか。室井大輔さんによれば「香りを足すのではなく、素材の持ち味をより前面に引き出すための炭火。そう思っています」とのこと。料理も、より削ぎ落とされた美味を追求。これまで以上にシンプルに仕立てられています。

また、畳敷きのフラットなカウンターが目を引く内装は、壁をソリドにするなど新しい素材を施す一方で、古材を用いたりと新旧の素材を組み合わせることで「茶室とギャラリーを混ぜ合わせたような唯一無二の空間に仕上げています」と室井さん。ホスピタリティ溢れるサービスも魅力です。
無室
[東京] 銀座駅 124m / 日本料理
- 4人
-
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日曜日、祝日
東京都中央区銀座5-5-12 HULIC&New GINZA MIYUKI 5 10F
4. 実朴(東京・恵比寿)

「明寂」をはじめ、数々の名店を世に送り出してきたレストラン界の名伯楽・林亮治さんが新たに手がけたのは、ちょっと上質な日常使いにぴったりの和食店「実朴」です。この7月20日、恵比寿にオープンしたこの店で陣頭指揮を取るのは、坂本料理長。京都の老舗寿司割烹「蘭」や割烹「安久」等で修業を積んだ新鋭です。

「肩肘張らずに楽しめる和食屋さんをやりたかった」との言葉通り、メニューはすべてアラカルト。手軽な酒肴から小鍋仕立ての“すっぽん鍋”や“牛肉かつ”といった一品もの、シメの炊きこみご飯や親子丼までざっと60種余りがずらり。最初に出される3品ほどのお決まりの後はお好きにどうぞ、という自由度の高さは食いしん坊にとっては、まさに願ったり叶ったりでは? ちなみにお決まりは先付けとお椀、そして最後のデザートがセットで3,500円。各種料理は550円〜。深夜25時(ラストオーダーは24時)までの営業と夜遅くまで開いているのも何かと重宝。さまざまなシチュエーションにも応えてくれそうです。
5. 恵比寿 焼鳥よし乃(東京・恵比寿)

高級路線まっしぐらの感のあった焼鳥も、近頃はやや落ち着きを見せ、その反動からか昔ながらの“町焼鳥”を再評価する声も増えています。そんな中、この8月6日、恵比寿にオープンしたのがここ「焼鳥よし乃」です。ビルの4階、無機質なトーンでまとめた店内は、昭和の町焼鳥とは一線を画すシックな雰囲気ながら、メニューはフレンドリー。串5本に小鉢と前菜がつく3,500円〜のコースに加え、アラカルト串や一品のおつまみも豊富に揃い、その日のシチュエーションや腹具合でいかようにも使いこなせる勝手の良さもうれしいところでしょう。
渋谷の焼鳥店で8年間の修業後、独立した店主が焼く鶏は、甲州地どりをベースにはかた地どりや水郷赤鶏等々5〜6種類を用意。その日の肉の状態や部位に応じて使い分けています。〆の食事も、鶏ラーメンあり、チキンカレーありとバラエティ豊か。食べて飲んで(飲み加減にもよりますが)10,000円で事足りる値段設定も良心的。気軽にふらっと立ち寄りたい時に覚えておきたい一軒です。















