連載「今週のカレー」でお馴染み、カレーおじさん \(^o^)/のカレーな1カ月を振り返りつつ、翌月のカレーに備えようというこの企画。8月に出会ったのはどんなカレー?

【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】8月を振り返る

涼しくなったと思えばまた猛暑が返ってきて、今年の夏は過酷です。個人的に例年以上の忙しさで、倒れそうなスケジュールだったのですが、倒れることなく乗り越えられたのはカレーのおかげ。スリランカフェスにはじまり、名店のランチ開始、古き良き知る人ぞ知る名店、下町の裏路地で見つけたスパイスカレー、神保町の愛のあるお店。

 

今月も充実したカレー月間となりました!

【第1週のカレー】「セイロン・イン」

スパイスカレーブームの勢いがまだまだ衰えない今日この頃。大阪でスパイスカレーがブームといえる程にブレイクしたのは、大阪にある「セイロンカリー」や「ロッダグループ」などのスリランカ料理の名店がきっかけのひとつだともいわれています。そこからさらに西へ行った福岡でも「ツナパハ」を筆頭に、やはりスリラ​ンカ料理の人気店が地元の人にはよく知られているのですが、東京のスリランカ料理となると、意外と目立ちません。

 

 

そんな東京で、1991年から続く歴史あるスリランカ料理店が中目黒の「セイロン・イン」です。それほど大きなお店ではありませんが、連日盛況​の人気店。スリランカは日本と同じく“だし文化”があるのですが、モルジブフィッシュ(カツオ節を荒削り状にしたもの)をだしに使った料理は日本人の味覚にもよく合い​ます。スリランカも島国なので魚を使った料理も多く、そういう意味でも日本人との相性は良いんですね。​​

 

 

この日食べたのは、「マトンカレー」850円〜。カレーと一緒に食べるのはライスでも良いですしパン系でも良いのですが、おすすめは「ゴダンバロティ」150円(一枚)。パリっと焼かれた部分と、しっ​とりとした部分の食感の変化が楽しいです。​

【第2週のカレー】「桃の実」

本郷三丁目駅近く、大通りから少し入ったエリアにあるビストロ「桃の実」。こちらは普通のビストロとは違い、絶品南インド料理もいただけるお店です。オーナーシェフの瀬島さんは、南インドの有名ホテルで修行された本格派。カレーマニアなら知らない者はいない​という程の人気シェフです。

 

昨年水道橋にもセカンドブランド的な姉妹店を出店し、どちらも人気店なのですが、本郷はディナータイ​ム営業のみのビストロで、昼に桃の実の料理をいただくとなると水道橋に行くしかありませんでした。しかしこの夏、遂に本郷の桃の​実でもランチ営業を始めたのです!​

 

 

ランチメニューは「ビリヤニセット (チキンorベジタブル)」各1,500円のみ。​ビリヤニは同店夜の人気メニューですが、ランチ用に味付けも違うものになっています。

 

 

チキンは北インド風のスパイシーな美味しさ​で、ベジタブルはマイルドで奥深い美味しさと、しっかり差があるのでどちらも食べたいところ。セットにつくのはサブジ(野菜のカレー炒​め)、ダル(豆のスープ)、ライタ(ヨーグルトサラダ)、ピクルス。ビリヤニだけ食べても美味しいのですが、これらをそれぞれ合​わせながら食べると別の美味しさに生まれ変わるのはインド料理の醍醐味でもありますね。

 

夜は予約がいっぱいで入れないこともある人気店ですが、ランチ営業はまだあまり気づかれていない様子。今が狙い目です!

【第3週のカレー】「けらら」

スパイスカレーがブームだというと、色々な意見が出てきます。そもそもスパイスカレーとは何なのか? ブームとかじゃなくて昔からずっとあるものだろう? etc…個人的にはどの意見も間違っていないと思います。そもそもカレー、あるいはcurryという言葉自​体の成り立ちからして曖昧なものですから。カレーが好きな方がそれぞれ自分の思うカレーを語る。それで良いんですよ。どれが正解​でどれが間違いと考えるからややこしいことになるわけで。​

 

 

そんな世間の流れなどどこ吹く風。昔から変わらぬスタイルを貫き通しているカッコ良いお店が新宿にあります。最寄り駅は新宿御苑​前の「けらら」というお店。オープンしたのは1993年。こちらは新宿御苑前の駅前だったのですが、そこから少し離れた今の場所に​移転したのが2006年。その歴史25年というベテラン店です。

 

 

おすすめはダブルセット。好きなカレーを2種類選ぶ、あいがけスタイルです。チキン、ポーク、ビーフのどれかと、それ以外のどれか​を合わせるのが良いでしょう。

 

元ミュージシャンであるマスターが作る独創的なけららのカレーは、流行のカレーに見えてそうではなく、どの時代に食べても美味し​いカレーなのです。

【第4週のカレー】「グラブロ」

大阪でスパイスカレーが流行したのは、東京の飲食店と比べて横のつながりが強く、レシピの共有でさえもしてしまうようなノリがあったということがその理由のひとつといえるでしょう。かつての東京の飲食店ではなかなかこうはいかなかったのですが、ここ数年でSNSの普​及もあり、カレーのお店同士がつながったり、あるいはSNSを通してカレーを知り、カレーに興味を持つ飲食店が増えたりと、東京の​カレー業界の流れも変わってきたように体感しています。​

 

 

そんな中、今回ご紹介するのは月島の路地裏にあるバー「グラブロ」。こちらのマスターはアメリカの日本料理店で何年も働いていた​そうで、和食系を中心としながらも様々な料理をいただけるお店。スパイスカレーもあるんです。平日ランチタイムはカレー専門店「グラブロ」と​して営業、夜は様々なおつまみとカレーもあるバー「蔵武浪」として営業しています。

 

 

ランチタイムはスパイスポスト系の「チキンカレー」850円と「キーマカレー」950円がいただけて美味しいのですが、こちらの真骨頂は夜のスペシャル。​

 

 

お任せで今日あるおすすめの具材をカレーにしてくださいと頼むと、色々とやってくれるんです。例えば今週いただいたのは、「鰆と夏​野菜のカレー」(時価)。鰆の味わいがこちらのカレーと相性も良く、野菜もバランス良くてカラフルで目にも舌にも美味しいです。基本的には​優しい味なのですが、スパイスビネガーを軽くかけると味の輪郭が際立って美味しさと深みが増します。​

 

もんじゃも良いでしょう。焼肉も良いでしょう。しかし、カレーだって最高に良いんですよ\(^o^)/

【第5週のカレー】「タケウチ 」

2011年にスタートした年に一度のカレーフェス「神田カレーグランプリ」が今年も開催されます。さらに、8月23日からは、スタンプを集めると神田カレーマイスターになれて、様々なサービスが受けられるという「神田カレー街食べ歩きスタンプラリー2018」なる連動企画も行われています。

 

今年は89店舗の参​加。全店制覇せずともコースに分かれていて、どこかひとつのコースでも制覇すればマイスターになれますから、そこまでハードルの​高いものではありません。ガイドブックを入手(駅や参加店舗などで無料配布中)し、参加店でカレーを食べ、スタンプを押してもら​うだけです。​

 

しかし89店舗もあると、どのお店に行けば良いのか分からない方も多いと思います。そんな中で僕がまずこのお店から行くことを​おすすめしたいのが、神保町の「タケウチ」です。

 

 

オリジナルフォンドボーに時間をかけて炒めた玉葱と野菜、スパイスを加えてじっくり煮込んだカレーは、どれを食べても美味しいの​ですが、看板メニューの「煮込みハンバーグカレー膳」850円は彩りも良く、栄養バランスも完璧で、手の込みまくった盛り付けは女​性受けも抜群。

 

 

そしてオリジナルの「キーマ風カレー膳」900円は、挽肉の代わりに海老、タコ、イカをミンチ状にして作ったシーフ​ードカレーで、驚きの美味しさです。メニューは日替わりのローテーションなのでブログをチェックしてから行くと良いでしょう。​

 

とにかく愛のあるお店です。味にも盛り付けにも接客にも愛を感じます。スタンプラリーをしなくても、このお店には是非とも行って欲​しいと思うくらい。マイスター目指すにせよ、目指さないにせよ、まずはここから始めてみてください!

取材・文:カレーおじさん \(^o^)/