〈食べログ3.5以下のうまい店〉

グルメなあの人にお願いして、本当は教えたくない、とっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、年間100店以上の焼肉店に通う焼肉作家・小関尚紀さんが、クリエイティビティ溢れる若き店主が手掛ける六本木の注目店を紹介。
目の前で焼き1枚ずつ提供する“寿司店のような焼肉店”

巷では「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて噂がまことしやかに流れているようだが、ちょっと待ったー!
食べログ3.5以上の店は全体の3%。つまり97%は3.5以下だ。
食べログでは口コミを独自の方法で集計して採点されるため、口コミ数が少なかったり、新しくオープンしたお店だったりすると「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことが十分あり得るのだ。
点数が上がってしまうと予約が取りにくくなることもあるので、むしろ食通こそ「3.5以下のうまい店」に注目し、今のうちにと楽しんでいるらしい。

東京屈指の焼肉激戦区であり、グルメな人々が集う東京・六本木。数々の人気店がひしめくエリアで小関さんが紹介してくれたのは、東京ミッドタウン向かい側の路地裏、喧騒から少し離れた場所に2025年10月オープンした「焼肉 東京24区」。
食べログの点数は2026年4月時点で3.12ながら、“劇場型焼肉”というコンセプト、希少な北海道和牛「知床牛」の提供など、 独自のスタイルを打ち出している注目店だ。

小関さん
今注目の生産者、大橋遼太さんが北海道大空町の大橋牧場で生産している知床牛。大橋さんはEXILEのSHOKICHIさんとタッグを組んで、ブランド牛「八将牛」を育てていることでも知られています。知床牛は何がすごいのか? このご時世、輸入飼料に頼らず、北海道由来の粗飼料で育成されたメイドイン北海道の和牛で希少! そんな知床牛が都内で食べられる店があると聞きつけ訪問してみました。いや~赤身肉が濃厚です。

席間を広くとったカウンター7席と個室4席のみの店内は、余分な装飾のないミニマルな空間。
メインのカウンターでは、目の前の厨房で肉の切り付けと味付けを行い、炭火とガスロースターを使い分けて丁寧に焼きあげたものを1人1枚ずつ付け台に出すという、江戸前寿司を思わせるスタイルで提供している。

小関さん
2025年10月オープンでまだまだ新店。店内はカウンターメインのオープンキッチンで、ライブ感のある劇場型焼肉です。風味もダイレクトに感じ、目にも楽しくてさらにおいしくいただけます。一品、一品、こだわりのある店主の説明を聞きながら食べてみてください。おいしさが倍増しますよ。

全国各地から“理想のホルモン”を買い付け
「サービス料をいただくからには、お客様に楽しんでもらえるおもてなしをしたい。そのためにどうするか考えた結果、寿司屋のようなスタイルに辿り着いたんです。目の前で仕上げたものを召し上がっていただくことが、家庭では味わえない特別な体験になると思うので」と話すのは、店主の木原 翔さん。
子役や広告代理店勤務という異色の経歴を経て、人気焼肉店「KINTAN」グループに就職。六本木の割烹「感情」でも経験を積み、2025年に独立して同店をオープンした。

また肉を扱うからには牛の肥育も経験したいと考え、北海道の牧場で住み込みで働いたことも。そこで出会ったのが「知床牛」だった。
「出産から屠畜まで見させてもらった中で、北海道産の飼料にこだわった育て方や、まるでコンソメスープのようなうまみをたたえる肉質に驚かされました。しかしブランドとしてはまだあまり認知されていなかったので、ぜひ東京で広めたいと自分の店で使わせてもらうことになったんです」


小関さん
店主の木原さんは有名焼肉店「KINTAN」や、鴨とそばの割烹料理「感情」での勤務経験がありつつ、大橋牧場で住み込みで働き、知床牛に惚れ込んだという本格派。知床牛を知り尽くした店主が繰り出すメニューは、知床牛のよさを最大限引き出しています。

メニューは2つのおまかせコース(スタンダードコース9,900円〜)のほか、アラカルトで1枚ずつのオーダーも可能。“食べ疲れしない焼肉”を意識し、部位は赤身が中心となっている。

また “ワインに合う焼肉”もコンセプトのひとつで、ワインのラインアップも充実。割烹店で培った知識をもとに木原さんがセレクトしたブルゴーニュ産の銘柄を取り揃えている。
小関さんのイチオシはコレ! 食べ比べを楽しめる「赤身四種」

知床牛の濃厚なうまみを、部位ごとの違いを感じながら堪能できるのが「赤身四種」。部位はその日の入荷状況に応じて変わり、それぞれ塩・タレから希望の味付けを選べる。この日の部位は、写真左上から時計回りに、トモサンカク、ウチモモ、ランプ、カメノコ。



小関さん
同じ赤身と括るにはもったいないのが知床牛。部位によって風味や肉の濃厚さ、食感が驚くほど違います。仕入れ状況により部位は変更になりますが、訪問した日の部位はランプ、カメノコ、シンシン、ミスジでした。店主がおいしく焼いてくれるのですが、思わず自分でも焼いてみたくなる知床牛でした!