【噂の新店】「Minariva」
東京を食べ歩いている人であれば、新旧問わず、行きつけの港区イタリアンがぱっと頭に思い浮かぶはず。そのくらい、港区には不思議とイタリアンが多い。海が隣接しているエリアではあるが、同じくイタリアンレストランの宝庫である鎌倉や葉山のように魚や野菜といった地元食材が“時差ゼロ”距離から仕入れられるという店が多いわけではない。では、なぜ港区には昔からこれだけ個性に富んだイタリアンが多く集まるのか?
理由はいくつか考えられるが、親しみを込めてイタ飯と呼ばれた時代から、おそらくその陽気さや肩ひじの張らなさがこの界隈で食を楽しむ人々のニーズと合致していたからということも大きいように思う。会食でもデートでも、誘うのも誘われるのも(もちろんひとりでも)、ご馳走するのもされるのも、すべてのシーンにおいてバランスがよいうえに、港区イタリアンは料理をアラカルトでも提供する店が多い。
「あの店のパスタがおいしい」「この店の肉焼きが最高」と常連はお気に入りの料理を目指して行きつけ店に通う。そうしたイタリアンをいくつか知ることも、都会で暮らす大人のたしなみであり楽しみでもあるのだ。
西麻布に新たに誕生した、最先端の港区イタリアンとは?

それだけイタリアンの強豪ひしめくエリアとなると、新規オープンをする店はなにかしら強力なアピールポイントが求められるが、西麻布の「Minariva」は、まさに「おもかじ、いっぱ~い!」な好スタートを切り、食通のあいだで話題に。
中目黒の超予約困難店「メグリヴァ」の姉妹店というバックグラウンドはもちろんこのうえなくキャッチーではあるが、カウンター席のみというイマドキな設え、メニューはアラカルト主体でワインは1人ボトル1本以上を開けることが推奨。ここから「料理だけではなく店で過ごす時間をゆっくり楽しんでほしい」というメッセージが伝わる。

お気づきの方も多いと思うが、店名は港区のミナであり、皆でわいわい食に興じるという意味も込められているそう。メニューは17種前後を用意しており、なかには「メグリヴァ」直伝の料理も多数。

今回厨房を任された金子太朗シェフは調理師専門学校を卒業後、フランスへ渡りブルゴーニュやプロヴァンスの星付き店で腕を磨いた。帰国後は目黒の「レストラン ラッセ」で副料理長を務め、レストランアドバイザーやケータリングに携わるなど、ジャンルや働き方も含め、さまざまな経験を積みながら視野を広げてきた。ともにキッチンに立つ飛田悠輔シェフは前職は、中華料理店で働き、今回のオープン準備期間は「メグリヴァ」にて、スペシャリテのレシピをいかに再現するか、それ以上にもとのレシピを生かしながらどのように自分たちの個性を出していくのかを金子シェフとともに熟考したと話す。

